「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日:内閣官房,消費者庁,厚生労働省,経済産業省,国土交通省,公正取引委員会)及び「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」(令和4年3月30日)に関する公正取引委員会の取組をまとめています(令和4年3月30日更新)。
「優越Gメン」の体制創設
公正取引委員会は、独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する執行体制の更なる強化を図るため、「優越Gメン」の体制を創設しました。
「優越Gメン」は、①独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査、②大企業とスタートアップとの取引に関する調査、③荷主と物流事業者との取引に関する調査など、優越的地位の濫用に関する各種調査において、関係事業者に対する立入調査などの業務を担当します。
下請法違反行為の再発防止が不十分な事業者に対する取組の実施
公正取引委員会及び中小企業庁は、下請法に関する新たな取組として、再発防止が不十分と認められる事業者に対し、指導を行う際に、取締役会決議を経た上での改善報告書の提出を求めていくこととしました。
具体的には、下請法の違反行為について繰り返し指導を受けることとなる事業者等に対し、必要に応じて、取締役会決議を経た上での改善報告書の提出を求めていきます。
「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」の策定
公正取引委員会は,令和3年9月8日,中小事業者等への不当なしわ寄せが生じないよう,取引の公正化を一層推進するため,「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定し,同年11月24日,現下の経済状況に適切に対応しつつ,取引の公正化をより一層推進する観点から,同アクションプランの改定を行いました。
今般,公正取引委員会は,当委員会を含む関係省庁において,「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月27日)が取りまとめられたことを踏まえ,新たに「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定し,取引の公正化の更なる推進を図っていくこととしました。公正取引委員会は,今後も引き続き,関係省庁と緊密に連携を図り,中小事業者等から寄せられる情報も活用し,体制強化を行いつつ,執行強化の取組を進め,独占禁止法・下請法違反行為に対して厳正に対処していきます。
- (令和4年3月30日)「令和4年中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」の策定について
- (令和3年11月24日)「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」の改定について
- (令和3年9月8日)最低賃金の引上げ等に伴う不当なしわ寄せ防止に向けた中小事業者等取引公正化推進アクションプラン
独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の対象業種の選定
公正取引委員会は,独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関して,労務費,原材料費,エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種について,関係省庁からの情報提供や要請等を踏まえ,発注者側・受注者側の両面の立場があることを整理し,サプライチェーンのつながりに基づき,緊急調査の中心となる対象業種として22業種を選定しました。ただし,具体的な調査対象は今後更に精査していきます。
価格転嫁を困難にする代表的な阻害要因としては,値上げ要請を理由とする転注・失注リスク,ユーザーに対する価格競争の影響による転嫁の受入れ困難,発注者や元請の立場が強く価格交渉が困難である点が見受けられました。
国民生活の視点からそれらを取り巻くサプライチェーン・バリューチェーン全体の価格転嫁の構造については,3つに分類されるところ,今回の緊急調査は,サプライチェーンやバリューチェーンのつながりを踏まえて実施することとし,川上・川下の関連業種について,22業種以外でも必要な範囲で実施していきます。
優越的地位濫用未然防止対策調査室の設置
公正取引委員会は,独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する執行を強化するため,新たに「優越的地位濫用未然防止対策調査室」を設置しました。
「優越的地位濫用未然防止対策調査室」では,転嫁円滑化施策パッケージに基づく独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査,大企業とスタートアップとの取引に関する調査などの取組を進め,優越的地位の濫用の未然防止をより一層図ってまいります。
独占禁止法の適用の明確化(「よくある質問コーナー(独占禁止法)」の更新)
公正取引委員会は,労務費,原材料費,エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引が独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当するおそれがあることを明確化するため,公正取引委員会のウェブサイトに掲載している「よくある質問コーナー(独占禁止法)」のQ&Aを追加する更新を行いました。
公正取引委員会は,独占禁止法違反行為の未然防止の観点から,今回追加したQ&Aの周知徹底を図るとともに,独占禁止法違反行為に対しては厳正に対処していきます。
下請法上の「買いたたき」の解釈の明確化
労務費,原材料費,エネルギーコストの上昇分を取引価格に反映しない取引は,下請法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることを明確化するため,「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を改正しました。併せて,「下請法のQ&A」も更新しております。
不当なしわ寄せに関する下請相談窓口
公正取引委員会では,取引先から不当なしわ寄せを受けるおそれのある中小事業者等から,「買いたたき」を含む下請法上の解釈に関する相談を受け付ける「不当なしわ寄せに関する下請相談窓口」を設置しており,フリーダイヤル(0120-060-110:不当な下請取引ゼ(0)ロ(6)ゼロ(0)110番)で御利用いただくことができます。
違反行為情報提供フォーム
公正取引委員会では,下請事業者が匿名で,買いたたきなどの違反行為を行っていると疑われる親事業者に関する情報を提供できる「違反行為情報提供フォーム」を設置し,広く情報を受け付けております。
提供いただいた情報は,転嫁円滑化施策パッケージに基づく独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査(公正取引委員会)や下請法上の定期調査(公正取引委員会,中小企業庁)における対象業種の選定,調査票の送付先の選定などに活用させていただきます。
なお,このフォームは違反行為を申告するものではありませんので,具体的な違反行為の事実を報告し,個別事件調査を求め,より詳細な情報提供を行うことを希望される場合は,このフォームではなく「インターネットによる申告」から申告してください。
