平成27年4月15日
公正取引委員会
公正取引委員会は,競争政策への理解の促進と地域の経済社会の実情に即した競争政策の運営に資するため,各地域の有識者150名に独占禁止政策協力委員を委嘱しており,公正取引委員会が行う広報活動等に御協力いただくとともに,独占禁止法等の運用や競争政策の運営等について意見聴取を行っている。
平成26年10月から平成27年3月にかけて,独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見の概要は,次のとおりである(地域ブロックごとの詳細は別紙参照)。
1 公正取引委員会の今後の活動について
公正取引委員会の今後の活動に関する意見を聴取した。
主な意見の概要
- 公正取引委員会の活動や独占禁止法については,教育現場でしっかりと勉強する機会が少ないと思うので,教育現場における広報活動にもっと重点を置いてはどうか。(北海道)
- 公正取引委員会は,当然のことながら厳しい姿勢で臨まれていると思うが,震災復興に関し,違法行為がないか注視していただきたい。(東北)
- 経済発展のために規制緩和が有効な手段であるということは理解するが,一定の規制が必要という意見も踏まえたバランスの良い競争政策の展開に期待している。(関東甲信越)
- 現在でも,広報活動をしっかりとやっていると思われるが,これを継続していくことが大事である。(中部)
- 公正取引委員会の活動を広く国民に知ってもらうためには,独占禁止法違反行為が身近な消費生活に影響を与えるものであるということを理解してもらえるようにすることが重要である。(近畿)
- 違反行為の公表は,企業の予見可能性を高めるものであるため,違反行為の未然防止に役立つ重要な活動であると考えている。(中国)
- 平成26年6月に公表された「保育分野に関する調査報告書」を読んだが,制度設計の面でも公正取引委員会が果たす役割は大きいと感じた。引き続き,関係省庁との連携を図っていただきたい。(九州)
- 公共事業の入札談合については,税金が絡むだけに国民の批判は根強い。違反行為の摘発や未然防止に引き続き注力していただきたい。(沖縄)
2 消費税転嫁対策に係る公正取引委員会の取組について
平成25年10月に消費税転嫁対策特別措置法が施行されたところ,同法施行に係る公正取引委員会の取組に関する意見を聴取した。
主な意見の概要
- 消費税率が10パーセントとなれば,中小企業への更なる影響が懸念される。公正取引委員会においては,引き続き,監視をお願いしたい。(東北)
- 消費税率の引上げから1年ほど経過したが,今後も消費が伸びないとなると,買手側も値下げを考えざるを得なくなり,消費税の転嫁拒否が改めて問題となる可能性があるので,引き続き,監視の目を光らせていただきたい。(関東甲信越)
- 消費税率の引上げが実施される前から,十分な広報活動が行われていたと思うが,法律を説明したパンフレットには,悪意のある事例が多く掲載されているため,「自分には関係がない」と受け取ってしまう企業もいるのではないか。「うっかり違反」が起きないよう,このような視点からも広報活動をしてほしい。(中部)
- 消費税転嫁対策については,過去の消費税導入時・引上げ時以上に調査に力を入れた結果,消費税の転嫁がスムーズに行われ,十分な成果が出ていると感じている。しかし,事件として取り上げられている事案は一部にすぎず,表に出ていない違反行為も存在すると考えられることから,これからも監視活動を怠らず,違反行為の摘発に力を入れていただきたい。(四国)
3 下請法・優越的地位の濫用規制の普及・啓発について
公正取引委員会が実施している下請法・優越的地位の濫用規制の普及・啓発に関する意見を聴取した。
主な意見の概要
- 優越的地位の濫用を受ける立場の者から違反行為を申し立てることは難しいと思われるので,違反行為の未然防止のために,違反行為者となり得る親事業者にも知識を得てもらうことが重要と考えている。(北海道)
- 優越的地位の濫用については,法律の表現が抽象的であるため,どういった行為が実際に優越的地位の濫用に該当するのか,適切に示されるべきである。(関東甲信越)
- 公正取引委員会と業界団体の連携を強化し,もっと情報を発信していくべきである。このような細やかな取組を進めることが,中小企業に対する下請法・優越的地位の濫用規制の啓発・普及につながっていくと思う。(近畿)
- 下請取引に関して,いまだに発注書面の交付が行われないケースがあるのではないか。これがきちんとされていなければ,責任の所在が明らかにされず,結局は弱い者にしわ寄せが行くことになってしまう。そのようなことにならないよう,しっかりと監視をお願いしたい。(中国)
- 広報活動は,限定された相手に繰り返し行っても効果が薄いと思われることから,対象範囲を広げ,より広い層への広報活動に努めていただきたい。(四国)
- 現場の営業担当者はノルマに縛られるが,ノルマばかりを意識すると,どうしても取引先にしわ寄せが行き,結果,独占禁止法違反に問われるリスクが出てくる。これを防ぐためには,経営者の意識改革が必要である。(九州)
- 親事業者における法令遵守の意識を高めることでしか,下請いじめや優越的地位の濫用はなくならないと思う。引き続き,法令遵守の徹底を求める講習会の開催が必要である。(沖縄)
4 その他
前記1から3までの項目以外についても,独占禁止協力委員から意見が寄せられた。
主な意見の概要
- 日本の企業が海外に進出して問題を起こしているケースが出てきている。これらの中には,違法な行為をしているという認識がないまま問題を起こしているケースもあると思うが,それは日本にとっての損失になると思われる。(関東甲信越)
関連ファイル
(印刷用)(平成27年4月15日)独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成26年度下半期)について(PDF:291KB)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局官房総務課
電話 03-3581-3649(直通)
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