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(平成30年6月28日)携帯電話市場の競争政策上の課題について(平成30年度調査)

平成30年6月28日
公正取引委員会

1 調査の背景・趣旨及び調査方法

 携帯電話は国民生活に必要不可欠なものであり,その競争環境の整備は政府の重要課題である。
公正取引委員会は,平成28年8月2日に「携帯電話市場における競争政策上の課題について」(以下「平成28年度調査」という。)を公表したが,今般,平成28年度調査のフォローアップを含めた調査を行った。
 本調査では,平成28年度調査で取り上げた事項についてのフォローアップに加え,携帯電話市場における消費者の行動等の状況についても調査・検討を行った。また,MVNO(注1)の競争環境の整備の観点から重要な要素である。接続料等の制度等についても,競争政策の観点から検討を行った。
 この検討に際し,MNO(注2),MVNO,端末事業者,中古端末販売事業者,販売代理店等の携帯電話市場の関係事業者に対してヒアリングを行うとともに,消費者に対して,ウェブアンケートを実施した。また,有識者からも意見を聴取するために「携帯電話分野に関する意見交換会」を開催した。
(注1)Mobile Virtual Network Operator(①MNOの提供する移動体通信サービスを利用して,又はMNOと接続して,移動体通信サービスを提供する電気通信事業者であって,当該移動体通信サービスに係る無線局を自ら開設しておらず,かつ,運用をしていない者)の略
(注2)Mobile Network Operator(電気通信役務としての移動体通信サービスを提供する電気通信事業を営む者であって,当該移動体通信サービスに係る無線局を自ら開設(開設された無線局に係る免許人等の地位の承継を含む。)又は運用している者)の略

2 通信役務及び端末の供給の現状と競争政策上の課題

(1)通信と端末のセット販売

 平成28 年度調査においては,MNOの端末価格の大部分を毎月の通信料金から値引きするセット販売の見直しが望ましいとしていたが,平成28年度調査の公表以降も依然としてセット販売が常態化している。また,MNOは,端末購入補助を行わない代わりに従来提供してきたプランよりも通信料金を安くするプランを新たに導入したが,特定の端末の購入等を条件としており,必ずしも汎用的なプランとはなっていない。このため,通信料金単独では大幅には値下がりしておらず,通信役務市場の競争が十分に進んでいるとは言えない。
 また,通信と端末のセット販売においては,端末価格の大幅な割引を強調して表示しているが,MNOは端末のみの販売は行っていないため,値引き前の端末価格で販売された実績は少ないと考えられる。

(2)期間拘束・自動更新付契約(いわゆる「2年縛り」)

 2年間の通信契約の継続利用を条件に月々の通信料金を1,500円割り引く,いわゆる2年縛りについて,平成28 年度調査においては,契約解除料(契約期間中の解約で9,500円)はスイッチングコストとなるため,必要最小限にすること等が望ましいとしていたが,平成28年度調査の公表以降も依然として契約解除料は変更されていない。
 また,MNO各社は従来のプランに加えて,平成28年6月から,当初の契約期間である2年経過後は,いつでも契約解除料なく解約できる新たなプランを導入したが,消費者にとって実質的な選択肢として機能するプランとなっていないことなどにより,現在のところ,MNO3社の利用者は,2年縛りを選択し続けることが多いと指摘されている。

(3)将来的な端末の下取りや同じプログラムへの加入等を前提としたプログラム(いわゆる「4年縛り」)

 KDDI株式会社及びソフトバンク株式会社は,平成29年7月以降,端末を4年間(48回分)の割賦払いとし,一定期間経過後 ,旧端末を下取りに出すこと,新端末についても同じプログラムに加入すること等を条件に,最大2年間(24回分)の端末の残債を免除するプログラム(4年縛り)を導入した。
 4年縛りは,残債の免除を受けるための条件を満たさない場合の負担が大きいことから,一度4年縛りを契約してしまうと,利用者のスイッチングコストが高まり,他の通信会社への乗換えが実質的に困難になるおそれがある。
 また,4年縛りは消費者に対して,あたかも端末を半額で購入できるかのような印象を与えているとも考えられ,4年縛りのプログラムの表記や,店舗での実際の説明振りによっては,利用者がプログラムのメリット・デメリットを正確に理解しないままに契約してしまうおそれがある。

(4)SIMロック

 平成28年度調査においては,自社で販売する端末を用いて他社の通信役務を利用することを制限するSIMロックは,スイッチングコストを増加させるものであり,SIMロックを設定しないことが望ましいとしていたが,MNO3社は,盗難防止等の観点からSIMロック自体は必要とし,平成28年度調査の公表以降も依然としてSIMロックを設定している。

(5)その他解約の際のスイッチングコストになり得るもの

 前記(1)ないし(4)以外にも,消費者にとってスイッチングコストとなり得るものがある。例えば,契約の解約月の通信料金等について日割り計算をせずに,1か月分の料金を支払わなければならないことや,携帯電話番号ポータビリティ(MNP)手続における手数料等のように,消費者は解約の際に様々な手数料等を支払わなければならず,期間拘束契約の更新月に解約したとしても,これらが組み合わされることで,契約解除料以上の金額になることがある。

(6)中古端末の流通

 平成28年度調査においては,MNOが下取りをした中古端末の国内での販売を端末メーカーが制限することや,MNO等が不当に高い価格で中古端末を購入することは,独占禁止法上問題となるおそれがあるとしていたが,平成28 年度調査の公表以降も依然として中古端末の流通数は増加していない状況にある。
 MNO3社は中古端末のSIMロック解除に対応しておらず,これは中古端末の流通を制限する効果を持ち得る。また,MNOは4年縛りを提供するようになったが,これは将来の端末の下取りを前提とするものであり,現在の端末利用者が当該端末を中古市場に将来提供する機会の減少につながる可能性がある。

3 携帯電話市場における消費者の認識・行動の特性

(1)携帯電話の契約に対する消費者の認識

 消費者アンケートの結果によると,MNO利用者及びMVNO利用者の多くは,契約に際し 契約事項の説明を受けたことを認識し,また契約内容を少なくともある程度は理解していると 自己評価している。その一方,MNO利用者は,契約時に説明を受ける基本的な事項等であっ ても必ずしも十分には理解できていないか,理解していると思っていても,その理解が限定的なものにとどまっている可能性がある(なお,MNO利用者はMVNO利用者よりもその傾向 が強い可能性がある。)。
 MNOの契約プランを複雑と考える利用者は,MVNOの契約プランを複雑と考える利用者よりも多くなっている。

(2)他の通信会社への乗換え

 消費者アンケートの結果によると,通信料金や通信品質にかかわらず,現在契約している通 信会社を乗り換えるつもりがないMNO利用者は約半数存在する。
 プランの選択については,消費者は,実質的に同じ割引額を長期間の累積した金額で示され る場合と短期の金額で示された場合では前者に誘引されやすい傾向があると考えられる。
 乗換えに際しては,違約金や端末の残債・端末購入補助の存在がスイッチングコストとなっている可能性がある。

(3)MNOを想定したプラン(注3)とMVNOを想定したプラン(注4)の選択

 消費者アンケートの結果によると,MNOの利用者であってもMVNOを想定したプランを 選択した利用者が多く,消費者の選好と実際の選択との間に乖離が生じている可能性がある。その要因として,①現状維持バイアスが働いていること,②スイッチングコストが妨げとなっ ていること,③選好に沿った選択ができていないことなどが考えられる。
 (注3)最新の端末を分割払いにし,MNOの平均的な通信料金を組み合わせたプラン 
 (注4)MNOと同じくらいの性能だが少し安価な端末を一括払いにし,MVNOの平均的な 通信料金を組み合わせたプラン

4 競争政策上の考え方

(1)通信と端末のセット販売

 端末市場において,MNO各社が販売する端末のシェアは約9割であり,また,前記2(1) の販売方法がMNO各社によって並行して採られているという状況を踏まえれば,当該販売方法が,他の事業者の事業活動を困難にさせる場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある (私的独占等)。
 また,本来の価格として表示された価格で端末が販売された実績がないなど,根拠のない価格からの大幅な値引き額や値引き率を強調することで,他の事業者に係るものよりも著しく有利であると消費者を誤認させ不当に誘引する場合には,景品表示法上問題となるおそれがある。
 消費者アンケートの結果によると,契約に際して,一括で示される端末値引き額の大きさに誘引されて本来の選好に沿った選択をできていない消費者がいる可能性がある。商品・役務の 選択は消費者の選好を反映して行われることが望ましく,MNO各社は少なくとも期間拘束契約をする場合には,契約時及び契約更新時に当該期間において利用者が支払う通信役務と端末代金の費用総額の目安を消費者に示すことが望ましい。

(2)期間拘束・自動更新付契約(いわゆる「2年縛り」)

 2年縛りのプランと2年縛りのないプランがあるが,全体としてみて利用者を2年間拘束すること以外に合理的な目的はないと判断される場合であって,他の事業者の事業活動を困難に させるときには,独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占,取引妨害等)。
 また,2年縛りを自動更新することについても,実質的に消費者を拘束すること以外に合理的な目的はないと判断される場合に,他の事業者の事業活動を困難にさせるときには,独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占,取引妨害等)。

(3)将来的な端末の下取りや同じプログラムへの加入等を前提としたプログラム(いわゆる「4 年縛り」)

 4年縛りのプログラムは,金銭的な負担なくプログラムの解約等を行うことができる期間が なく,一度これを選択してしまうと,端末が高額になるほど消費者にとって乗換えの実質的な負担が大きい。同プログラムが,消費者の乗換えを断念させることで利用者の選択権を事実上 奪うものと判断される場合であって,他の事業者の事業活動を困難にさせるときには独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占,取引妨害等)。
 また,4年縛りはあたかも端末を半額で購入できるかのような印象を与えることも懸念され,その表示や説明の内容・方法によっては,他の事業者に係るものよりも著しく有利であると消 費者を誤認させ不当に誘引する場合には,景品表示法上問題となるおそれがある。

(4)SIMロック

 SIMロックが消費者にとって通信会社を乗り換える際の妨げとなり,他の事業者の事業活動を困難にさせる場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占,取引妨害等)。
 MNOは一定の要件を満たす場合に利用者の申請があればSIMロックの解除に応じること としているが,そもそもSIMロックはMNOの都合により設定されているものであり,当該 要件が満たされた場合には,MNO自らがSIMロックを解除することが望ましい。

(5)中古端末の流通

 MNOが下取りした端末について,その販売先の事業者に対して国内市場への販売を制限することは,MVNOやその利用者がMNOによるセット販売でしか販売されていない端末を入手することができなくなることにより,MVNOを排除する効果を持つ場合には,独占禁止法 上問題となり得る(拘束条件付取引,取引妨害等)。
 また,MNOが下取りした端末を販売する場合,国内で中古端末を販売する特定の事業者に 対して販売しない又は著しく不利な条件で販売するといった行為等についても独占禁止法上問題となり得る(取引拒絶,差別取扱い等)。
 特に,MNOの端末下取りプログラムを利用する消費者が多い場合に,下取りした端末の国内市場への販売を制限したり,国内で中古端末を販売する特定の事業者に対して販売しない又は著しく不利な条件で販売したりするときには独占禁止法上問題となりやすい。

(6)スイッチングコストを高める行為等の組み合わせ

 利用者のスイッチングコストを高める行為(SIMロック,2年縛り,4年縛り及びその他解約の際の費用を高める行為)等は,それぞれ単体の行為でも独占禁止法上の問題となり得るが,このような行為が組み合わされる場合には,それぞれの行為に基づき発生する競争排除効果が累積的に増幅され,独占禁止法上問題となるおそれが一層高まる(私的独占,取引妨害等)。また,根拠のない端末価格の値引き表示により不当に消費者を誘引する行為も,競争者排除効果を持ち得るため,前記の行為を独占禁止法問題となりやすくさせる可能性がある。

(7)その他消費者の特性に応じた競争政策上望ましい対応

 消費者の合理的な選択が妨げられないようにするため,MNOは契約プランの複雑さをもた らしている要因である通信と端末の一体販売や期間拘束・自動更新付契約等の改善をすることが望ましい。また,MNOは消費者の利用状況を把握していることから,各消費者の利用状況を踏まえ,定期的に消費者に最も適した契約プランを提示することなどを積極的に推進するこ とも望ましいと考えられる。

5 MVNOの競争環境を確保するための制度上の対応等

 MVNOは,MNOの通信回線網と接続又は通信回線網を利用することでサービスを提供して いるため,MVNOがMNOの通信回線網と接続又は通信回線網を利用する際の接続条件や接続料がMVNOの事業活動にとっては重要な要素である。
 通信回線網の接続又は利用に係る交渉では,一般的にMNOが強い交渉力を有しているが,現在の制度ではMNOは,MVNOと積極的に取引,接続するインセンティブを持たない。MVNOが携帯電話市場においてMNOの競争者として機能するためにも,MNOが接続料を引き下げ,MVNOとの取引に積極的に取り組むインセンティブを持つような制度設計を行うことが望まし い。その具体的な手段としては,以下の(1)ないし(3)が考えられる。

(1)接続料等の周波数割当への活用

 周波数の割当においては,周波数を割り当てられた場合の電波の活用として, MVNOに対する利用を促進する計画を有しているか等の審査基準が設けられている。この基準について,例えば,MNOごとの接続料の水準や,これまでどの程度接続料を低下させてきたか,MVN Oを通じたサービスの提供をどの程度行ってきたかなども考慮要素とすることなどが考えられ る。

(2)接続料の検証における一層の透明性の確保

 接続料は,「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」を超えない範 囲で設定することとなっていることを踏まえ,接続料の検証におけるより一層の透明化を図るために,例えば,有識者や専門家による定期的な議論を通じて,透明性・公平性を確保しつつ,MNOの算出する接続料が能率的な水準となっているか,各MNOは能率的な経営を持続的に行っているかどうかなどの観点から,接続料の具体的かつ定期的な検証を行うことが考えられる。

(3)接続料の推移(トレンド)における一層の予見性の確保

 各MNOが算出する接続料の推移(トレンド)に対するMVNOの予見性が高まれば,MV NOがMNOの通信回線網を選択する際の自由度が高まり,他方,MNOにとっては,MVN Oからの接続料収入を失う可能性が競争圧力となるため,各MNOに接続料を引き下げるインセンティブが生じると考えられる。したがって,接続料の推移(トレンド)におけるMVNOの予見性を向上させることが競争政策上望ましい。

6 公正取引委員会の今後の対応

 携帯電話市場においては,MNO及びMVNOという多様な主体が公正かつ自由な競争をする 中で,消費者のニーズに応じた多様なサービスが提供され,消費者がその選好に沿って,商品・ 役務を選択したり,円滑に変更できたりすることが重要である。
 現状では,MNO間の競争が必ずしも十分に行われているとはいえない中,MNO各社は利用者のスイッチングコストを高める様々な施策を講じており,市場に競争をもたらす上で重要な役割を果たしているMVNOの参入を阻害することも懸念される。
 このため,公正取引委員会は,特にスイッチングコストを高めることにより利用者を不当に囲い込む行為に対しては独占禁止法を厳正に執行していくことにより,MVNOの競争環境の整備,更にはMNO間の競争促進をも図っていく。
 また,MVNOの競争環境の整備の観点からは接続料等の制度面での対応も欠かせないと考えられることから,総務省に対する働きかけ及び連携を引き続き行っていく。
 さらに,消費者の選択が機能することも競争促進の観点からは重要である。本調査においては,比較的簡易なものであったが,行動経済学の観点も含めて,消費者の認識等についての分析を行 ったが,今後はより有効な調査・分析を行うことを検討していくとともに,消費者団体との連携 を通じて,有益な情報の提供に努めていく。
 携帯電話市場における競争環境の確保は,一般消費者の利益の確保,国民経済の健全な発達の促進の観点から引き続き重要であるとともに,同市場は,第5世代移動通信システム(5G)の実現に向けた取組が進んでいるなど環境変化の早い市場であること,MNOとしての新規参入が予定されていることを踏まえ,今後ともフォローアップ調査等を行っていく。 以上

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問い合わせ先 公正取引委員会事務総局経済取引局調整課
電話 03-3581-5483(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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