[配布資料]
平成31年度予算案における公正取引委員会の予算及び機構・定員について(平成30年12月21日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成31年1月9日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
平成31年度予算案における公正取引委員会の予算及び機構・定員について
皆様,明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
本日は,平成31年度予算案についてお話しいたします。
昨年12月21日に,平成31年度予算の政府案が決定されました。公正取引委員会の予算及び機構・定員案につきましては,配布した資料を御覧いただきたいと思います。
公正取引委員会の平成31年度予算は113億9000万円,前年度当初予算と比較しまして,4億1800万円,3.8%の増額となっております。
公正取引委員会では,「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」など5つの重点施策を掲げておりますが,平成31年度予算案につきましては,実績などを踏まえた既定経費の見直しを図るとともに,新たな施策や体制強化に係る経費を予算計上することによって,全般的に必要な予算が確保されていると考えております。
1つ目の「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」につきましては,国民生活に影響の大きい価格カルテル等に対する厳正な対処,企業結合事案の迅速な審査等に係る経費を計上しており,前年度に比べ2400万円増となる予算措置がされております。
次に,「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」ですが,こちらは主に優越的地位の濫用等の行為や下請法違反行為に対する厳正かつ効果的な対処に係る経費を計上しており,前年度に比べ200万円増の予算措置がなされております。
3つ目の「消費税転嫁対策」ですが,10月に予定されております消費税率の引上げを見据えまして,企業の方々が消費税の円滑かつ適正な転嫁を行いやすい環境の整備に万全を期するため,重点的に予算を配分しております。前年度に引き続きまして実施いたします悉皆的な大規模書面調査に加えて,未然防止のために必要な広報や書面調査の拡充,法執行体制の強化に必要な経費として,前年度に比べ1億8400万円増となる11億1800万円の予算措置がなされております。
「競争環境の整備」と「競争政策の運営基盤の強化」につきましては,競争政策に関する研究や海外競争当局との連携に係る経費等を計上しておりまして,いずれも前年度に比べ増額の予算措置がなされております。
機構につきましては,官房参事官及び上席企業結合調査官の新設,定員につきましては,厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用のための6人など,計21人の増員が盛り込まれております。
公正取引委員会としましては,平成31年度におきましても,こうした予算案等の内容を踏まえ,引き続き,積極的かつ的確な競争政策の運営に努めてまいります。
質疑応答
(問) 昨年,プラットフォーマー関連で実態調査を年明けにもとおっしゃっていましたが,その見通し,あるいは,もう既にやっているのか,その辺りを伺ってもいいですか。
(事務総長) 昨年来,プラットフォーマーに対する調査を開始しますということは申し上げております。現在もまだ引き続き準備中ではございますけれども,今月の後半くらいには開始できるのかなというふうに思っております。今,どのようなものを対象にしていくのかということについても最終的な詰めを行っているような状況でございます。
(問) 機構・定員のところにある企業結合の上席企業結合調査官というのは,どういう機能なんでしょうか。
(事務総長) 現在,企業結合課におきましては,企業結合課長のもとに,上席企業結合調査官が置かれております。上席企業結合調査官は,管理職としまして,企業結合案件の審査を,企業結合課長の指揮のもと行っておりまして,審査における上席審査専門官と同様に,いわば審査の実働部隊ということであります。今回,その上席をもう1名増設させていただくという内容でございます。ですので,いわば企業結合チームの長が増えることになりますので,それだけ案件が生じた場合にも,より迅速に対応できるようになるのではないかということを期待しております。
(問) あと,消費税の転嫁対策の調査とかですね,広報とかは,いつぐらい,もう10月なので,多分すぐ,あっという間に迎えると思うんですけれども,今後の目先,見えているスケジュールとかあれば教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 具体的に,いつ,どういうタイミングで何を始めるかというのがはっきり決まっているわけではありませんけれども,10月から引上げが実施されるとしましても,そのための交渉などはそれより前に始まるということだと思いますので,新年度の予算が成立しましたら,できるだけ速やかに,そうした広報活動とともに,そうした引上げ前の段階の事前の交渉などについても十分留意していただけるように,あるいは,その交渉状況というのが把握できるような対策はとってまいりたいと考えております。
(問) それは,今の時点でもできるものは,そういう情報収集とかそういった啓発はやっていくということですか。
(事務総長) 日常的に行っている啓蒙活動は当然行っておりますけれども,ある程度予算措置が必要なものにつきましては,やはり裏付けが必要になりますので。
(問) 消費税の転嫁対策なんですけど,万が一,消費税の引上げが取りやめになったという場合でも,この予算は執行されるんでしょうか。
(事務総長) それは,私からはお答えしにくい質問かと思います。私どもは,10月から消費税率が引き上げられるということを前提に万全の態勢を整えているということでございます。
(問) 先ほどのプラットフォーマーの調査,今月後半にもというようなところで,今,準備を進めているというところなんですけれども,基本的には,いわゆるGAFAと言われるような大きなところも含めて,業界のあらゆるところを調査するというふうに考えていいんでしょうか。それとも,もっと何か細かい,集中的に選択して調査するという考え方なんでしょうか。
(事務総長) 包括的な調査を行うこととしておりますので,基本的には全体の状況が把握できるようにということは考えております。ですので,いわゆる大きなプラットフォーマーはもちろん我々がアンケート調査などを行うことも予定しておりますけれども,それ以外にも,例えば,情報提供フォームのようなものを用意してですね,そこから一般の方々からの情報も出していただくと,そういったことも考えております。そういう意味では,かなり大規模なものになるのではないかというふうに今は想定しています。
(問) 調査は時間がかかるものだとは思うんですけれども,年内に終わるようなものなのか,それとも,もっと,そんなタームではなくて,もっと短く,半年ぐらいとか,何か月間とかで終わるようなものなのか,どういったものを想定しているんでしょうか。
(事務総長) 今申し上げましたように,大規模・包括的な調査でございますので,それなりに時間はかかるんだろうと思っております。ただ,途中といいますか,全てが終わってから結果を公表するというだけではなくて,節目節目,いろいろなタイミングがあろうかと思いますので,その際に何ができるのかということも考えながら進めていかなければならないと思っています。
(問) 今の御発言で,大規模な調査をやられるということでしたが,その規模感というのはどういったものですか。
(事務総長) 大規模と申しますか,かなり広範囲にやりたいと思っておりますので,何社とかそういうことが具体的に決まっているというわけではありませんけれども,そういう意識を持って,今,調査の設計をしているということでございます。
(問) 官房参事官の新設とあるんですけれども,今,参事官お二人いらっしゃるかと思いますが,新たな方というのは,どういうふうな役割を果たすんですか。
(事務総長) 官房参事官は現在2名おりまして,今後,3名ということになります。新たな参事官につきましては,基本的に,経済環境の変化に対応して,ガイドラインの策定やその普及啓発,競争促進のための調査・提言など,そうした競争環境の整備のための取りまとめといいますか,横串を刺した事務を行うということで設置をお願いしているものでございます。
(問) 具体的に言うと,例えば,今年も新たな案件があるかと思いますが,地銀のことであるとかプラットフォームだとか,そういったことも含め,競争政策のということですか。
(事務総長) 今でもいろいろな部門をまたがるような調査案件といいますか,そうしたものが必要になっております。例えば,ガイドラインを作るに当たっても,それは単に考え方を整理するというだけではなくて,最終的には法の執行にもつながってくる。そうしたことで,今,公正取引委員会の各部局をまたがって,それを横串を刺した立場で取りまとめるという役割を担ってもらうというふうに思っています。ですので,審査の部門ではありませんので,調査を行って,その成果を取りまとめて,それを政策に反映させていく,その基礎になるところでございます。
以上