[配布資料]
有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見について(平成31年2月28日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成31年3月6日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見等について
本日,私からは,昨年11月に開催しました有識者との懇談会についてお話しいたします。
この有識者との懇談会は,公正取引委員会の委員などが各地区に赴きまして,有識者との懇談を通じて,公正取引委員会の活動の御紹介をするとともに,各地域の実情や,競争政策・公正取引委員会に対する御意見・御要望を伺うことで,今後の競争政策の適切な運営に反映させていくことを目的としたものでございます。今年度は,お配りしました資料の別紙1に記載しております9都市で開催いたしました。
懇談会には,各地区の商工会議所などの経済団体,消費者団体,学識経験者,報道関係者,教育委員会関係者などの有識者の方々に御出席いただき,初めに公正取引委員会の最近の活動状況を御説明した後,御出席いただいた方々から御意見・御要望をいただく形を採っております。
本日は,各地区においていただきました御意見・御要望のうち,主なものを私の方から御紹介させていただきます。
まず,今年度の特徴といたしまして,配布しました資料の1頁目,下の方に記載がございますように,「地方都市における技術革新を進展させるためにも,IT分野のガリバー企業が新規参入を妨害するなどの技術革新の普及を阻む行為がないか目を光らせてほしい。」といった御意見のように,プラットフォーマーやビッグデータに関する御意見を多くいただいたということが挙げられるかと思います。これらの問題に対して,全国的に関心が高まっているということを実感いたしました。
独占禁止法の運用に関しましては,2頁目から3頁目辺りにございますように,「課徴金制度の見直しを検討する際,抑止効果についても十分に検証し,カルテル・入札談合が行われないような制度にしていただきたい。」といった制度に関する御意見や,「企業活動のグローバル化が進み,日本から世界へ進出している企業も多いが,それに伴って公正取引委員会の法運用にも変化が必要である。公正取引委員会には,地方銀行の統合事案も含め,世界の中で日本企業が活躍できるようにしていただきたい。」といった企業結合審査に関する御意見などを頂戴いたしました。
また,下請法の運用に関しましては,同じ3頁でございますけれども,「下請事業者の立場である中小企業から,買いたたき,契約の事後変更などの行為を受けているという話をよく聞くが,今後の取引を考えると声を上げにくいようである。公正取引委員会においても様々な工夫をされているようであるが,今以上に下請事業者の声が届きやすい方法を拡充していただきたい。」といった中小下請事業者の利益の確保に向けた一層の取組を求める御意見も頂戴いたしております。
さらに,消費税転嫁対策特別措置法の運用に関しまして,「消費税率が10%に上がる際には景気対策を優先するようなので,前回以上に,納入業者等の立場の弱い者にしわ寄せが行く可能性があるのではないかと心配している。公正取引委員会としては,早めに毅然とした態度を示しておくことが大切である。」といった今年10月に予定されております消費税率の引上げの際の対策についての御意見もいただいております。
公正取引委員会としましては,引き続き,入札談合,カルテル,中小事業者に不当に不利益を与える行為などに関し,迅速かつ厳正に対応してまいります。また,消費税の円滑かつ適正な転嫁のために必要な施策につきましても,事業者からの相談対応や,各種の広報活動などを含め,引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に,広報・広聴活動に関する御意見を御紹介いたします。3頁の下の方になります。「消費者の視点からすると,公正取引委員会が景品表示法を所管していた頃は身近な存在に感じていたが,同法が消費者庁に移管されて以降,独占禁止法等の説明を受けてもよく分からず,関係が疎遠になっているように感じる。これは,公正取引委員会の活動が,消費者にとってどのように役立っているのかというところが見えてこないからだと思う。公正取引委員会には,消費者目線での情報を発信してほしい。」といった消費者向けの広報活動についての御意見などをいただいております。
これまでも地域や対象者などに応じて,分かりやすい広報活動に努めてまいりましたが,今回,有識者の方々からいろいろ御指摘をいただいた点も踏まえまして,より多くの方々に御理解いただけるような工夫をしてまいりながら,広報活動に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
そのほかにも,様々な御意見・御要望いただいており,各地区別の主な意見は別紙2に記載しております。公正取引委員会は,このような貴重な御意見・御要望も踏まえまして,今後も競争政策を適切に運用してまいりたいと考えております。
本件の担当課は官房総務課でございます。
質疑応答
(問) 独占禁止法の優越的地位の濫用の関係なんですけれども,一部報道の方で,企業と個人の取引にも適用する方針で,今年の夏にもガイドラインを設けるというような報道が出ていますが,これに関係して,事実関係であったり,事務総長自身のお考えというのがあれば,教えてください。
(事務総長) 消費者との取引に対する優越的地位の濫用の適用という点につきましては,これまでも何度か,この会見の場などで御質問いただいているところでございます。確かに,消費者との取引について,優越的地位の濫用を適用した事例というのはございませんけれども,条文上,そうしたものが排除されているというふうには考えておりません。ただ,どのような形でそれを見るのかという点につきましては,例えば,デジタル・プラットフォーマーとの取引において,そのプラットフォーマーの取引上の地位が消費者に対して優越しているのかであるとか,実際に行っている行為が消費者にとって不当に不利益を与えるものになっているのか,さらには,それが公正な競争を阻害するおそれがあるものになっているのかどうか,そうした点を個別に検討していく必要があると考えております。
現在,デジタル・プラットフォーマーに関する取引の実態調査を行っているところでございますので,そうした実態調査の内容も踏まえまして,消費者との取引に対する優越的地位の濫用の適用の在り方については,検討してまいりたいと考えているところです。
そうした検討の成果につきましては,時期等が具体的に決まっているわけではありませんけれども,何らかの形でお示しすることになるというふうには考えております。
(問)地銀とバスの統合の関係の話なんですけれども,未来投資会議の方で話し合っていると思うのですが,これも一部報道の方では,独占禁止法の審査に例外規定,時限措置の例外規定を設けるというような一部報道があったんですけれども,これも事実関係と,議論の進捗状況であったり,何かスケジュール感でお話しできることがあったら教えてください。
(事務総長) 御指摘の報道があったことは承知しております。ただ,この件につきましては現在,未来投資会議と,その下に設けられている協議会で議論が進められているところだと承知をしておりまして,それぞれ会議が開催されて,まだ進行中であると理解しております。
ですので,まだ結果が出たわけではございません。議論の途中だと理解しておりますので,それは今後,この御議論がどのように進むかということによって,結論が出てくるだろうというふうに思っております。
ですから,現状のところ,何か具体的なですね,新たな法律を作るであるとか,独占禁止法を改正するであるとか,あるいはその他の対応をするであるとか,そういうことが何か決まっているというふうには私は理解しておりません。
以上