[配布資料]
独占禁止懇話会第213回会合議事概要について(令和元年7月12日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(令和元年7月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
独占禁止懇話会第213回会合議事概要について
本日,私の方からは,6月24日に開催いたしました独占禁止懇話会の概要についてお話しいたします。 独占禁止懇話会は,我が国経済の著しい変化に即応して,競争政策を有効かつ適切に推進するため,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見を交換し,併せて競争政策の一層の御理解を求めることを目的として,昭和43年11月から開催しているものです。
今回の独占禁止懇話会では,配布資料の「3 議題」の欄にありますとおり,「平成30年度における独占禁止法違反事件の処理状況」,「平成30年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例」,「平成30年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組等」,「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会等について」の4つのテーマについて,順次,事務総局から報告し,それぞれ会員の方々から御意見などをいただきました。
今回の独占禁止懇話会において会員からいただいた御意見等の内容について,幾つか御紹介いたします。配布資料に,その概要を記載しております。
1頁目の「平成30年度における独占禁止法違反事件の処理状況」につきましては,1つ目の「○」にありますように,「優越的地位の濫用について,平成21年度に『優越的地位濫用事件タスクフォース』を設置して調査しているということであるが,公正取引委員会が例年50~60件程度警告や注意をしており,優越的地位の濫用は減少傾向にはない。現状中小企業がまだまだ保護されていないのではないか。公正な秩序を維持するため,積極的に対処していただきたい。」との御発言をいただき,事務総局から,「優越的地位の濫用について,例年公正取引委員会が注意をしている50件ほどのうち,毎年何件か,過去に注意を受けた企業に対しフォローアップを行っており,改善傾向がみられる。注意によって一定の成果があるといえる。いろいろな形で情報収集を行い,対応してまいりたい。情報収集の際の情報収集源は具体的には申し上げにくいが,申告を受け付けるほかに実態調査を行っており,実態調査を契機に深掘りをして情報を収集することもある。」と回答いたしております。
2つ目の議題であります,「平成30年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例」では,2頁の1つ目の「○」にありますように,「地銀や地方バスの件について,特例法を定めるということであるが,これにより企業結合審査がどう変わるのか。」という御質問をいただき,「地銀や地方バスの件について,特例法で対処するということについて,成長戦略で閣議決定された。市場が縮小していて競争が維持できない場合,特例法によって統合が認められることになる。金融庁に認可申請をするのか,公正取引委員会に届け出ることになるのか,2つの方法のうちどちらかを企業が選択することになる。」と回答いたしております。
3つ目の議題であります,「平成30年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組等」につきましては,2頁目の下の方の「○」にありますように,「下請法に係る処理件数が増えていることの評価は難しいが,しっかり取り組んでいただいている結果であると認識している。取引期間が長くなることで,知らないうちに違反行為が行われているケースは多々あるのではないかと思う。今後も下請事業者,親事業者の両面に対する普及啓発や下請事業者からの声の拾い上げに注力していただきたい。」という御意見をいただき,事務総局から,「書面調査の件数を増やすことで,調査の裾野を拡大しており,違反情報の拾い上げだけでなく普及啓発にも効果があると考えている。また,講習会等は親事業者を主たる対象としたものが多かったが,中小企業を対象とした『移動相談会』や各地域を回り相談を受け付ける『よろず相談会』という取り組みを併せて行っているところである。」と回答いたしました。
そして,4つ目の議題であります,「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会等について」につきましては,4頁の一番下の「○」にありますように,「デジタル・プラットフォーマーは消費者の利便性を大きく向上させる一方で,消費者被害が発生しているのではないか。被害状況について情報を持っていたら是非教えていただきたい。」という御質問をいただき,事務総局から,「公正取引委員会は4月に『デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査』の中間報告を公表している。この実態調査は消費者等がどういう懸念を持っているか調査するアンケートであり,これだけで被害の有無は判断できないが,今後,消費者に対する優越的地位の濫用についての考え方について検討を進めていきたい。」と回答いたしております。
ほかにもいろいろ御意見をいただいております。公正取引委員会といたしましては,今回いただきました御意見等も踏まえ,今後とも適切な制度設計,法運用に努めてまいりたいと考えております。
質疑応答
(問) プラットフォーマーに関し,消費者への優越的地位の濫用に対する指針,考え方を策定するというように既に公表されているんですけれども,この進捗状況と,一部報道では,何か出来ているというようなんですけど,このあたりお聞かせ願います。
(事務総長) 対消費者取引に対して優越的地位の濫用の規定が適用できるのかどうかということに関しましては,これまでも何度か御質問いただいておりますが,基本的に対消費者取引に対する適用が排除されるものではないということは繰り返し述べております。その上で,先般決定されました成長戦略フォローアップにおきましても,そうした適用関係について検討するということが明記されております。その方向に添いまして,現在,検討しているところでございます。
具体的内容については,まだ検討の段階でございますので,今の段階で申し上げるのは差し控えたいというふうに思いますけれども,いずれにしましても,その検討に当たっては,いろいろな各方面とも関わる事柄でもございますので,いろいろな御意見を承りながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
昨日から今日にかけての報道では,スケジュール感も含めて,いろいろなことが報道されておりますけれども,近々に何か発表するというようなことまでは煮詰まっていないと考えております。 ただ,いずれにしても,先ほど申しましたように,いろいろな影響があることもありますし,また,成長戦略フォローアップの中でもスケジュール感を持って進めるということが具体的に明記されておりますので,そうした点はきちんと念頭に置いて,今後の作業も進めてまいりたいというふうに思っております。
(問) そのことに関してなんですが,優越的地位の濫用についての考え方,ガイドラインがこれまであるかと思うんですが,それを改正するような方向で検討していると理解していいでしょうか。
(事務総長) 既に優越的地位の濫用について定めたガイドラインを公表しております。ただ,それは,基本的に事業者間取引を念頭に置いたガイドラインになっています。
今回の検討の対象となっておりますのは,対消費者取引でございますので,これまでの事業者間取引で積み重ねられてきた考え方というのが,それがそのまま必ずしも適用されるわけではないというふうに考えております。そうしたことを前提に置いて,現行のガイドラインを改正するという形にしたほうがいいのか,また別に考え方を示すということにしたほうがいいのか,それも含めて検討しているところでございます。
以上