[配布資料]
10月の消費税率引上げに向けた公正取引委員会における消費税転嫁対策の取組
[発言事項]
事務総長会見記録(令和元年9月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
消費税引上げを直前に控えた公正取引委員会の取組について
本日,私の方からは,10月1日に予定されております消費税引上げを直前に控えておりますことから,公正取引委員会の消費税転嫁対策の取組についてお話しいたします。
公正取引委員会では,消費税率10%への引上げが予定されている今年度におきまして,上半期に重点的に転嫁拒否行為の未然防止のための各種の施策を実施してまいりました。
お手元の資料にもありますように,まず,転嫁拒否行為の未然防止及び違反被疑情報の収集を目的として,5月に大規模小売業者や大企業といった買手側の約8万の事業者に対する書面調査,中小企業や小規模事業者等,売手側約30万の方々に対する書面調査を実施いたしました。
6月には,20万の事業者に対しまして,経済産業大臣と公正取引委員会委員長の連名による文書で,消費税転嫁対策特別措置法の遵守を要請いたしました。
また,消費税転嫁対策特別措置法の説明会・相談会を全都道府県において実施いたしまして,その周知や相談の対応に当たってまいりました。
さらに,消費税率引上げを直前に控えました今月からは,事業者向けに,新聞,雑誌,電車広告,バナー広告などを利用した集中的な広報を行っております。
このほか,配布した2つ目の資料にありますように,公正取引委員会のホームページに,消費税転嫁対策についての特設ページを設けて,事業者の皆さんに転嫁拒否行為の未然防止に向けてセルフチェックを促すなどの広報活動も展開しております。
次に,消費税率引上げ後の取り組みについてお話しいたします。
公正取引委員会は,転嫁拒否行為を受けた事業者が,その事実を申し出にくい場合もあると考えられますことから,これまで悉皆的な書面調査を実施し,転嫁拒否行為に関する情報収集を積極的に行ってまいりました。
10月1日の消費税率10%への引上げ後におきましても,中小企業・小規模事業者・個人事業者等,約630万の売手の事業者に対して,悉皆的な書面調査を実施いたします。
また,事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査も継続して実施するとともに,中小企業等からの相談対応に当たってまいることとしております。
また,書面調査などによって把握しました転嫁拒否行為に対しましては,引き続き,消費税転嫁対策特別措置法に基づいて,迅速かつ厳正に対処してまいります。
公正取引委員会としましては,今般の消費税率引上げに当たって,ただいま申し上げましたような取組によって,消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われるよう,万全を期してまいります。
本件の担当課は,消費税転嫁対策調査室でございます。
質疑応答
(問) 今の消費税転嫁対策に関連してなんですけれども,今回はですね,軽減税率が導入されるということが,今回の消費増税に当たって,特に注目されているところ,この点の対応について,ちょっと教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 今,消費税率の引上げ前後から,私どもとしても,その適正な転嫁が行われるように,いろいろな啓蒙活動,それから監視の活動を行ってまいりましたし,これからも続けていくということを申し上げています。
とりわけ,今の御質問の軽減税率の制度が新たに導入されるということから,何が軽減税率の対象になるのかというのは私どもの所管というわけではございませんけれども,軽減税率の対象品目であるということを理由として,税率の引上げ分よりも低く対価を抑えるといったようなことが行われないように,先ほど申し上げました啓蒙活動とかも続けておりますので,そういう点は,新たな観点としては目を光らせていきたいというふうに思います。
(問) ちょっと話題が変わりまして,明日,未来投資会議が行われるかと思うんですけれども,そちらのほうでデジタル市場の競争であるとか,いろいろなことがまた話されると思うんですが,こちらに杉本委員長は出席なさるのでしょうか。
(事務総長) ちょっとこの場でお答えできる用意はしておりません。
(問) 消費税のほうにちょっと話が戻るんですが,今回,4回目の税率の引上げになると思いますけど,過去に比べて,何か買いたたきみたいな違反事例が増えそうだとか減りそうだとか,そういった見通しをお持ちかどうかというのと,あと,今回,ポイント還元制度というものがありまして,これは価格転嫁を促進するという効果も狙ったものだと思うんですけど,そのあたりの効果について期待することとかあれば,以上の2点,お願いします。
(事務総長) 今回,8%から10%の引上げで,仰いますとおり,これまでも何度か引上げが行われてきているところであります。そして,消費税転嫁対策特別措置法も,5%から8%に引き上げる際に転嫁が円滑に行われるようにということで作られた法律でございますので,私どもとしては,この引上げが行われてからの5年ぐらいの間でも,いわゆる転嫁拒否行為として勧告や指導を行ってきたものも多々あります。
御質問の件については,これからのことでございますので,数量的な意味でのコメントは,今の段階では差し控えたほうがいいのかなと思います。
そして私どもとしては,これまで,5%から8%に上げたときの経験,それから,その後のいろいろな形で違反として取り上げた事例というのは,事例集として,あるいは勧告事案として公表してきておりますので,事業者の方々にとっては,そうしたものを御参照いただいて,しっかりと対応していただきたいというふうに思っております。
ポイント還元等の仕組みにつきましては,どちらかといいますと,最終消費者にとっての消費税が与える影響というものを,とりわけ需要に対して与える影響というのを緩和しようということが,前回の5%から8%への引上げの際に起こったことを教訓として行われるものだというふうに思います。
やはり私どもの観点としては,円滑な転嫁が行われるかどうかということでございますので,最終の消費者の段階でも,きちんとした転嫁が行われやすいような仕組みというのが導入されることは,その川上にさかのぼって,事業者間取引においても適正な転嫁が行われるような環境づくりに資するものだというふうには思っております。
以上