[配布資料]
[発言事項]
事務総長会見記録(令和2年3月25日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
入札談合等の防止に関する取組について
本日,私からは,入札談合等の防止に関する取組についてお話しいたします。
入札談合は,御承知のとおり,独占禁止法が禁止する行為の典型事例でありまして,最も悪質な独占禁止法違反行為の一つであります。また,国や地方公共団体等の発注機関の職員が入札談合に関与すること,いわゆる官製談合は,発注機関の利益のみならず,ひいては納税者である国民・住民の方々の利益を大きく損なうものであり,あってはならない行為であります。
公正取引委員会では,従前から,入札談合の摘発に積極的に取り組むとともに,いわゆる官製談合が認められた場合には,入札談合等関与行為防止法に基づいて厳正に対処してきておりますが,最近では,令和元年7月11日に東京都が発注する浄水場の排水処理施設運転管理作業の見積り合わせに関しまして,東京都の職員の入札談合等関与行為を認定し,東京都に対して改善措置要求を行っております。
他方で,公正取引委員会では,入札談合や官製談合を未然に防止するための取組にも力を注いでおります。
こうした公正取引委員会の取組について,以下,御紹介いたします。まず,公正取引委員会では入札談合や官製談合の未然防止を図るため,国・地方公共団体等の発注機関の職員を対象として,独占禁止法と入札談合等関与行為防止法に関する研修会を平成20年度以降,全国各地で開催しております。本年度は2月末時点で32回開催し,1,472名の方が受講されました。
また,発注機関が開催する職員向けの研修会に公正取引委員会の職員を講師として派遣しておりまして,本年度は2月末時点で,全国各地で301回,2万3288名の方が受講されております。
これらの研修会におきまして,参加者にアンケートへの記入をお願いしておりますが,平成30年度のアンケート結果によりますと,研修会への参加により,入札談合等関与行為防止法についての理解が「深まった」又は「多少深まった」と回答した者の割合が96.2%,また,研修の内容は入札談合等の未然防止を含む今回の業務に「役立つと思う」又は「多少役立つと思う」と回答した者の割合が95.5%となっております。
これらのアンケート結果を踏まえますと,発注機関の職員に対して開催しております入札談合等関与行為防止法等に関する研修会,これは発注機関の職員によるこの法律等の理解を促進し,発注機関における発注業務の改善において有効であると考えております。
また,公正取引委員会では,入札談合等を防止するためには発注機関側の取組が極めて重要であるとの観点から,国の本省庁と地方支分部局等の会計課長等がメンバーとなります連絡担当官会議を本年度は全国9カ所で計10回開催しまして,連絡担当官と公正取引委員会との連絡協力体制の一層の緊密化を図っているほか,発注機関における入札談合等の防止に関する取組について,実態調査を行ってきております。
公正取引委員会といたしましては,以上のような取組を通じまして,引き続き発注機関による入札談合や官製談合の防止のための取組を積極的に支援していきたいと考えております。
質疑応答
(問) ちょっと話が違うんですけども,楽天の無料送料が始まってから1週間経つと思うんですけれども,こちらの案件に関して,いろいろな景気低迷もあって楽天に出店している方々もいろいろ苦しいというふうなことも聞くんですけれども,公正取引委員会としてはこちらのほうの案件,1週間経つということで,どのように見ていらっしゃるのか,ちょっとコメントいただけたらお願いします。
(事務総長) これについては,3月18日以降,楽天が行った施策,そういうのも含めて,独占禁止法の規定に違反するかどうかということを調査継続中ということでございますので,その観点からまだ結論が出ていないという状況でございますので,現段階で新たに申し上げることはないかと思っております。
(問) 銀行間の送金のことでお伺いしたいんですけれども,先日,報道がありまして,今,公正取引委員会が行っているフィンテックの調査なんですけれども,今の進捗状況を教えていただきたいと思います。
(事務総長) いわゆるキャッシュレス決済分野とそれから家計簿サービス分野等を対象にして,公正取引委員会の観点ということでいいますと,競争環境の整備を図る観点ということでございますが,実態調査を行っているところであります。
まだこれも実態調査継続中で,もう3月の末ですけれども,今のところ,4月の公表を目指して取りまとめなどを行っているところでございます。まだ調査中ですので,詳しくは申し上げられませんが,取りまとまった段階で公表するということを考えているところでございます。
以上