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令和2年9月30日付 事務総長定例会見記録

令和2年9月30日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和2年9月30日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

公正取引委員会における令和2年度の政策評価結果について

 まず,本日私からは,令和2年度の政策評価結果についてお話しいたします。
 公正取引委員会では,「行政機関が行う政策評価に関する法律」に基づきまして,公正取引委員会の行う施策について,毎年度,政策評価を実施しております。
 令和2年度は「中小企業を取り巻く取引の公正化」と「下請法違反行為に対する措置」,「競争政策の広報・広聴」の3つの施策の政策評価を実施いたしました。
 「中小事業者を取り巻く取引の公正化」につきましては,下請取引適正化推進講習会の開催によりまして,参加者の下請法についての理解が深まっていることが確認できたこと等から,この施策は相当程度進展したと評価しております。一方で,今回の評価を通じて,下請取引適正化推進講習会は,下請法等の内容の理解度の低い人たちの参加は限られていることが分かりましたので,今後,下請法等の内容の理解度が低い人たちの講習会への参加を促すようにしていきたいと考えております。
 「下請法違反行為に対する措置」につきましては,勧告事件の処理期間の目標達成率につきましては進展が大きくなかったものの,下請法事件の処理件数のほとんどを占めます指導事件の処理期間の目標達成率は96%以上であったことなどから,この施策は総じて相当程度進展したと考えております。今回の評価を踏まえまして,今後は調査期間の短縮のために,担当職員への研修を強化したり,報告会を開催することなどによって情報を共有化することや,過去の事件を検証することといった,こういった取組を実施していきたいと考えております。
 「競争政策の広報・広聴」につきましては,独占禁止法や消費者セミナーの参加者の内容の理解度や満足度といった測定指標について,いずれも数値目標を達成していること等から,この施策は相当程度進展したと考えております。
 他方,今回の評価も踏まえまして,今後,SNSによる情報発信に際しては,SNSについて専門的な知見を有する外部専門家から助言を受けて,より分かりやすい表現としたり,ショート動画や,画像,イラスト等を活用するなどの工夫をしていく必要があると考えております。
 公正取引委員会といたしましては,引き続き,政策評価を適切に実施しまして,この結果を踏まえまして,効率的で質の高い施策を実現するよう心掛けていきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 勧告事件の処理期間が,進展が大きくないという評価を受けていますが,この進展が大きくなかった理由みたいなものって,多分,長期化しているというところだと思うんですが,現状,どういう課題があるのでしょうか。
(事務総長) この勧告事件については,御指摘のように,実際の目標を必ずしも達成してないという状況にあります。これについて,評価をした有識者の方からは,勧告事件処理期間を,単純にいつからいつまでじゃなくて,処理にかかった期間をプロセスごとに比較して,どこが長いのか,例えば,当事会社の方の事情で長くなっている部分は算入しないとか,そういうことも含めて,目標と実際を合わせるようにしていった方がいいんじゃないかと指摘を受けておりまして,今回,形式的には勧告事件については,目標達成度は大きくなかったんですけれども,事件の中で,公正取引委員会側で何か遅くなったという事情じゃない部分もかなりあることが分かりましたので,今後に向けては,目標の設定の仕方を再検討していく,そういう状況でございます。

(問) では,公正取引委員会として勧告事件の処理が何か長期化しているという課題があるというよりは,効果測定,評価方法にちょっと改善の必要があるかなという御認識であるということですね。
(事務総長) はい,そうです。一般的には,時間が大分掛かっていて改善しなきゃいけないというよりは,案件ごとの事情というのがかなりあるようでございますので,そこを見直しながら目標設定をきちんとしていこうということを,むしろ考えているところです。

(問) 先日,古谷新委員長が就任され,新体制でのスタートとなりましたが,菅久事務総長として今後の抱負と,どういう点,分野にお力を入れていかれるつもりか教えてください。
(事務総長) 新委員長が就任されまして,就任の会見の時にも委員長自身の言葉で,今後の課題を5点ほど挙げておりました。私は完全に共感しております。正に杉本委員長の頃から課題であったことを,新委員長もそれを発展させていくということで抱負を述べられたと思っておりますので,委員会の業務を支えていくのが事務総局の仕事でございますので,先日の新委員長の正に会見の抱負で述べたこと,これをしっかり事務総局の方でも支えて進めていきたいというふうに考えております。

(問) NTTがNTTドコモを完全子会社化すると発表がありました。以前,携帯業界の競争確保の観点で会社分割した経緯がありますが,公正取引委員会として今回の動きはどのように評価されていますか。調査などされるお考えはありますか。
(事務総長) 今回の件,発表はあったわけでございますけれども,企業結合の観点からは個別の案件ということになりますので,それ自体はコメントを差し控えさせていただきますというのがこれまでのお答えでございます。ただ,一般的に,企業結合規制という観点から申し上げますと,少なくとも公表されている事実から見ますと,株式所有会社と株式発行会社,これらは同一の企業集団に属しているということでございまして,企業結合ガイドラインにも書かれておりますが,こういう企業結合関係が新たに形成・強化されたものではないというような場合には,市場における影響は通常ほとんどないと考えられるので,この株式取得が企業結合規制として問題になるというのは考えにくいのかなというふうに思っております。
 あと,御指摘の点は,過去,公正取引委員会は,NTTとNTTドコモ,これらがお互いに一体化するよりは,それぞれの競争単位として活動することが適当だということを言ってきたことがあるという点も踏まえた御指摘だと思いますけれども,これは,少なくとも確か2000年前後ぐらいだと思います。今世紀になる頃,20年ぐらい前には,確かそういうことは公正取引委員会としても言っていたと思います。それは,固定電話というのがまだ依然強い状態の中で,移動体通信というのが,その競争を活発化する要素として重要視されていたということから,NTTドコモとNTT,これが独立した競争単位であることが適当というようなことを公正取引委員会として言っていたことがあると思いますけれども,約20年経ちまして,当時としてはそういう指摘というのは適切であり,必要であったと思いますが,それから20年ぐらいたった現在では,御承知のとおり,状況は非常に大きく変わっているということでございますので,今,直ちに何かということよりは,携帯電話の市場が公正かつ自由な競争を通じて,低廉で多様な製品・サービスの供給がもたらされることが重要であると公正取引委員会は考えておりますので,引き続き状況を注視していきたいということでございます。

(問) 個別案件になりますが,米司法省が米グーグルを反トラスト法で提訴する動きが報じられています。巨大ITへの監視が各国で強まる中,こうした動きをどう受け止めているのか,また対応を注視するお考えはあるのでしょうか。
(事務総長) 司法省のグーグルに対する調査というのは,昨年来,時折,報道がされておりまして,今もまた報道がございますけれども,これは,外国の競争当局による法執行ということですので,あまり申し上げられることはないんですけども,ただ,こういうデジタル・プラットフォームに関する事案というのは,アメリカだけじゃなく,欧州,また日本もいろいろ取り上げていますので,各国の状況については関心を持って見ているところでございます。
 従いまして,この件についても十分フォローして,日本における法執行で参考になる部分については利用していきたいというふうに考えております。

以上

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