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令和2年10月28日付 事務総長定例会見記録

令和2年10月28日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和2年10月28日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

携帯電話市場のフォローアップ調査の実施について

 本日,私からは,「携帯電話市場における競争政策上の課題について」のフォローアップ調査を開始することといたしましたので,これについてお話をいたします。
 公正取引委員会は携帯電話市場に関する競争環境について,MVNO,すなわち,いわゆる携帯大手キャリア以外の通信事業者の新規参入の促進の観点を中心に調査を行いまして,平成28年8月と平成30年6月に「携帯電話市場における競争政策上の課題について」という実態調査報告書を公表いたしました。そして,平成30年度の調査の報告書では,「公正取引委員会の今後の対応」の一つといたしまして,「携帯電話市場における競争環境の確保は,一般消費者の利益の確保,国民経済の健全な発達の促進の観点から引き続き重要であるとともに,同市場は,第5世代移動通信システム(5G)の実現に向けた取組が進んでいるなど環境変化の速い市場であること,MNOとしての新規参入が予定されていることを踏まえ,今後ともフォローアップ調査等を行っていく。」と書かれております。
 この平成30年度調査の報告書の公表以降,携帯電話市場においては,通信料金と端末代金の完全分離等を内容とした改正電気通信事業法が令和元年10月1日に施行され,また,新たに楽天モバイルがMNOとして参入するなど,競争環境に様々な変化が生じております。このため,携帯電話市場の競争状況を把握し,競争政策上の問題を検討するため,平成30年度調査のフォローアップのための調査を行うことといたしました。
 今回の調査におきましては,携帯電話市場における競争の活発化を図っていくために,MNOとMVNOとの間の競争の活発化,MNO間の競争の活発化,そして消費者が最適な料金プランを選びやすい環境の整備という3つの視点から,これまでの取組が有効に機能しているかどうか,どのような取組が有効かを明らかにしていくことを予定しております。
 今後,関係する事業者からヒアリングを行うとともに,消費者に対するアンケートを行うなどの方法で調査を進めてまいります。事業者や消費者の皆様におかれましては,この調査の趣旨を御理解いただきまして,御協力をお願いいたします。
 なお,本件の担当は経済取引局の調整課です。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 調査の実施期間については,どれぐらいを見込んでいらっしゃるんでしょうか。また,調査対象の関係者というのは,例えば,大手キャリアとか,固有名詞は出せないと思いますが,そうしたものはいずれも聞くという理解でいいのでしょうか。以上2点,お願いします。
(事務総長) 調査については,これから始めるということでございますので,確定的に申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども,現段階では,来春を目途に,何らか報告書が取りまとめることができればということを考えて行っていくつもりでいます。
 それから,今後の調査の対象は,携帯電話市場に関係する事業者を幅広くヒアリングをして進めていきたいと考えておりますので,MNO,MVNO,端末メーカー,いろいろあると思いますが,いろんな人たちからヒアリングしつつ調査を進めていきたいと考えております。

(問) 先ほどの調査の話と関連して,大体いつぐらいに調査を始められるのか教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 調査は,もう既に準備段階としては始めているということでよろしいかと思います。これから本格的に,事業者の方々などのヒアリングをこれから進めていこうということでございます。

(問) すると,もう開始したということでよろしいんでしょうか。
(事務総長) 今日から開始したということで結構だと思います。

(問) まず,先ほどの来春というところについて,もう少しちょっとお聞きしたいんですけれども,昨日,総務省のほうのアクションプランが出されまして,例えば,番号持ち運び制度の,3,000円から原則無料にするというのが来年度から始まるとのことです。また,年内にそういう比較するサイトをつくるということで,それこそ,今後半年間で,さらに携帯市場を巡る,いろんな情勢がまさに変化していく最中だと思うんですけれども,来春というのは,いわゆる今年度中にという,そういう意味合いなんでしょうか。
(事務総長) もちろん,この分野,さまざま変化が起こっておりまして,御指摘の総務省の方でもアクションプランというのを出しております。その中でも新たな項目として入っていると思いますが,既にこれまでの間にも,いろいろな競争環境の変化が起きてますので,それを受けて,まさに来春というと,仰るとおり今年度の末か来年度に入っちゃうかもしれませんけれども,その辺りには,平成30年度調査以降の変化を受けた状況を調査し,独占禁止法上,競争政策上の考え方ということをまとめることができるのかなということで進めていきたいと考えています。

(問) もう一点,お願いいたします。ちょうど昨日,総務省のアクションプランが出されて,この中では3本の柱という3つの視点と,ある種同じような方向性を持った,具体的な取組ということが出されていて,今回の公取の調査というのは,例えば,総務省のアクションプランとか,他の動きと連動したものとして考えればいいのか,それとも,あくまで独自でやるけれども,方向性としては同じような方向性を向いているのかという,そこの位置付けを教えてください。
(事務総長) 公表されたアクションプラン,御指摘のように取組として3つの柱というのが出ております。「分かりやすく,納得感のある料金・サービスの実現」というのと,「事業者間の公正な競争の促進」,それから「事業者間の乗換えの円滑化」ということでございますけれども,この3つの柱は公正取引委員会がこれまで考えてきたこと,今考えていることと同じ方向を向いているというふうに考えております。
 これまでも,この分野については,総務省とはしっかり連携しながら取り組んできておりましたけれども,今回の調査の中でも,こうした総務省の取組については考慮に入れつつ調査をしていきたいと思っております。
 もちろん,公正取引委員会と総務省では,それぞれ所管の法令も違いますし,視点も多少違うところあるかもしれませんが,それぞれ特性を生かして相協力し,連携して,この調査を進めていって,そのことによって携帯電話市場における公正な競争というのがより促進していくことができるんじゃないかなということを期待しているところでございます。

(問) 今の話と関連すると思うんですけど,ソフトバンクさんとかKDDIさんが,格安スマホのプランを発表していますけれども,そういう,これから動いていく動きと連動して調査が進むことになると思うんですけど,そういう動きをどう取り込んでいきたいと考えますか。
(事務総長) 何と言いますか,平成30年度調査のフォローアップでございますので,平成30年度以降,いろいろな動きありますが,この市場,まさにいろいろ現に動いているところだと思います。今,御指摘があったような動きも,本日もあったと思いますけれども,これから来春まで,いろいろ話を聞きながら,調査進めてきますので,いろんな動きをその都度考慮に入れながら,調査を進めていくということになろうかと思います。

(問) 平成30年度の前回の調査では,中古端末ですとかSIMカードについてもテーマとして取り上げられたと思うんですけれども,そのほかに現時点での問題意識というのがあったら教えていただきたいんですけれども。
(事務総長) 個別の項目については,これから調べる話の部分でございますけれども,基本的には,平成30年度調査で明らかにした論点といいますか,ポイントについては,その当時の状況に基づいて評価しておりますが,それがその後どのように変化しているか,競争上,改善しているのか改善してないのか,改善してないとしたら,今後どういうことが必要なのかということを,今後,明らかにしていこうというのが今回の調査の目的ということになろうかと思います。
 その後,中古端末についての調査をいたしましたけれども,それについても視野に入れて,今後,調査をすることになろうかと思います。

(問) 柱立てとしては,基本的には前回と一緒ということですか。それとも,そこはイメージとして大きく変わるということはあるのでしょうか。
(事務総長) 出発点としては,前回調査で取り上げたことが,その後どうなっているかということが,まず柱になろうかと思います。ただ,それ以外のものも今後入ってくるかもしれませんし,最終的な取りまとめはどうなるか分かりませんけれども,出発点としては,前回評価したものについて,特にその時にまだ状況が不十分だと思われていたものがどうなっているか,それが改善していないのであれば,さらにどうすべきかと,こういうことを調査し,検討していくというのが,まずは最初の柱ということかと思います。

(問) この3つの視点について,ちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども,「①MNOとMVNO間の競争活発化」の中の「MNO接続料の引下げや機能開放」とありますけれども,これは具体的には,例えば,回線の貸出料を引き下げるということなのか,また,機能開放というのは,これは具体的に言うとどういうことなんでしょうか。
(事務方) お答えいたします。平成30年度の調査におきましても,私ども望ましい対応としまして,接続料等の周波数割当てへの活用,接続料の検証における一層の透明性の確保,接続料の予見性の確保といった接続料の関係について,いろいろ提言させていただいております。その中で,このフォローアップ調査をしていく中で,それが一体どうなっているのかということを見ていくというのが必要になってきまして,先ほど総長も触れましたように,それを出発点としてから,また,新たな問題が生じているようであれば,調査し,提言に結び付けていくということで考えております。

(問) 冒頭の総長の発言にもありましたけれども,競争環境の確保というのが消費者の利益,国民経済の健全な発展の観点から引き続き重要とありましたけれども,今回の調査を経て,携帯電話市場の適正な競争環境を確保するということが,政府もそうですけど,要は,携帯端末料金の値下げというのが非常に注目されていると思うんですけれども,今回の調査を経て,そうしたことも期待しているのか,そのあたりはいかがでしょうか。
(事務総長) 公正取引委員会として,従来から関心がございますのは,携帯電話に限らず,市場ということで一般化してもいいんですけど,携帯電話ということであれば,携帯電話市場においてまず独占禁止法違反行為がないということです。それから,それに加えて,公正な競争環境が整備されるということでして,公正な競争環境が整備されれば,事業者間が,消費者が何を望んでいるかを考えて競い合っていただくことで,利用者にとって価格も手頃になれば,便利なサービスも受けられていくということを,結果として期待しているということでございます。ですので,公正取引委員会としては,価格そのものについて何らかということは従来から申し上げていないんですけれども,競争環境がしっかり整えば,その結果として,適切な状態に価格もサービスもなっていくだろうということを期待しているということでございます。

以上

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