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令和3年6月2日付 事務総長定例会見記録

令和3年6月2日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和3年6月2日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

令和2年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組について

 本日,私からは,令和2年度における下請法の運用状況等について御紹介いたします。
 公正取引委員会では,中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法等の一層の運用強化に向けた取組を進めております。本日,「令和2年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」を公表いたしますので,そのポイントを御紹介いたします。
 下請取引におきましては,下請事業者が親事業者から下請法違反に該当するような行為を受けましても,その立場上,公正取引委員会等に報告しにくいという事情がございますので,親会社と下請事業者双方に対しまして,定期的に書面調査を行いまして,下請法違反行為が生じていないか情報収集を行っております。令和2年度におきましても,親事業者に対して6万通,下請事業者に対して30万通を発送いたしました。
 このような書面調査に対する回答等から得られた情報を基に,令和2年度におきましては4件の勧告,そして,8,107件の指導を行っておりまして,合計8,111件の勧告・指導件数でございますが,これは下請法施行以来,最多となっております。
 なお,令和2年度の勧告事件につきましては,本文の20ページの別紙1のところに概要をまとめて記載しています。
 また,続いて,別紙2には「新型コロナウイルス感染症」や「働き方改革」,「金型」,「フリーランス」にそれぞれ関連する下請法違反の事例を14例取りまとめて記載しております。
 また,下請法違反行為に対する迅速かつ効果的な対処に加えまして,下請法の運用に当たりましては,違反行為の未然防止を図るということも重要です。
 このような観点から,下請法や優越的地位の濫用規制の効果的な普及・啓発を図るため,参加者の習熟度や業種に応じた各種の講習会を行っております。
 また,優越的地位の濫用規制や下請法の考え方を示すことにより,違反行為を未然に防止するという観点から,昨年9月に公表しました「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する取引実態調査報告書」で指摘しました24時間営業やドミナント出店などの問題点について独占禁止法上の考え方を整理し,本年4月に「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」を改正いたしました。
 さらに,本年3月には中小事業者の取引条件の改善を図る観点から,下請法等の一層の運用強化に向けた取組の一環といたしまして,中小企業庁との連名で,関係事業者団体約1,400団体に対して,おおむね3年以内を目途として可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内とすることなど,下請代金の支払の適正化に関する要請を行いました。
 公正取引委員会といたしましては,中小企業等に対する不当なしわ寄せなどの下請法違反行為に対しまして,引き続き厳正に対処いたしますとともに,下請法違反行為の未然防止の観点から,同法の普及・啓発を進めていくことなどによりまして,下請取引の一層の適正化に努めていきたいと考えております。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) ちょっと大きな視点の質問なんですけれども,下請法的な考え方を競争当局が規制するというのは,どこの国でも行われているわけではないと思うんですけれども,競争当局がこういった未然防止的な法律を持っているということの利点,そして,近年は知財分野でも搾取的な使われ方についての規制をしようとしていますけれども,そういった下請法を競争当局が持っていることの今日的な意義について,御説明いただけますか。
(事務総長) 正に大きな質問ですので,なかなか的確なお答えが今できるかどうか分かりませんけれども,御承知のとおり,下請法は昭和30年代という随分昔に,優越的地位の濫用規制の特別な法律ということで,一定の親事業者と下請事業者については,より迅速かつ明確なルールで,違反行為に対処するということで作られたわけです。長年にわたって運用されておりまして,かつ,少なくとも日本におきましては,対象範囲,もちろんそのカテゴリーとして,その優位,劣位が認識できる対象ということには当然限られるわけですけれども,その対象範囲の拡大といった法改正も行われておりますし,近年までずっと積極的に公正取引委員会,中小企業庁によって運用されてきているということで,正にこういう下請取引の適正化というものの中では,重要な役割を果たしていると思っておりますし,そういう期待も高まっていると思います。
 下請取引の問題というのは,多分,日本にしかない問題ではなくて,いろんな国にあって,それぞれの国で様々なやり方で対応しているんだと思います。民事法で対応しているところもあれば,州政府で対応しているところも多分あるんじゃないかと想像しているんですけれども,日本の場合は,こういう問題を長い歴史,つまり,随分昔に公正取引委員会が中心になって下請法を作って,中小企業庁とともに運用するということが始まって,これまで評価されてきたということですので,積極的な取組を引き続き進めていきたいと考えております。

以上

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