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令和3年6月9日付 事務総長定例会見記録

令和3年6月9日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

[発言事項]

事務総長会見記録(令和3年6月9日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)

令和2年度における消費税転嫁対策の取組と今後の取組について

 本日は,令和2年度における消費税転嫁対策の取組状況と今後の取組についてお話しします。
 公正取引委員会では,これまで転嫁拒否行為に対する迅速かつ厳正な法執行と転嫁拒否行為の未然防止の観点から消費税転嫁対策に取り組んでまいりました。6月4日,その取組を公表いたしましたので,お手元の横長の概要資料に沿いまして主な点を御紹介いたします。
 令和2年度は,新型コロナウイルス禍において,公正取引委員会としましても,感染拡大防止の観点から,3密回避はもちろんのこと,事業者側の状況に留意しながら,活動を行ってまいりました。
 1ページ目を御覧ください。「勧告・指導件数」の項目に記載しておりますとおり,ウェブ会議システム,電子メール等を活用することにより,令和2年度におきまして,勧告5件,指導280件の措置を採りました。また,勧告や指導により,特定事業者279名から,特定供給事業者4万6504名に対し,7億3257万円の原状回復が行われました。
 公正取引委員会では,「転嫁拒否行為の未然防止」の囲いにありますとおり,令和2年度は消費税率10%への引上げ直後の時期であることから,転嫁拒否行為の未然防止のための取組として,6月には,前年度に引き続き,新聞,雑誌等のマスメディアを活用した集中的な広報を実施するとともに,消費税転嫁拒否行為の概要やこれまでの違反事例などについて,全国で事業者と事業者団体を対象とした説明会を開催するなど,消費税転嫁対策特別措置法の周知・啓発に努めてまいりました。
 また,「書面調査」の項目にありますとおり,消費税率10%への引上げに係る転嫁拒否行為に関する情報を収集するため,5月以降,中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等約280万名と個人事業者約350万名の売手側計630万名に対する悉皆的な書面調査を実施したほか,公正取引委員会において大規模小売業者・大企業等の買手側約8万名に対する書面調査を実施いたしました。
 これらの消費税転嫁対策特別措置法の周知・啓発活動や,書面調査による積極的な情報収集活動が,冒頭申し上げました勧告・指導につながっているものと考えております。
 2ページ目を御覧ください。勧告・指導件数の業種別内訳と行為類型別内訳をグラフ化しております。業種別で見ますと,製造業と建設業に対する勧告・指導が多く,これに情報通信業等が続きます。また,行為類型別で見ますと,買いたたきによる違反行為が減額等の他の違反行為に比べて圧倒的に多い状況にあります。
 3ページ目を御覧ください。令和2年度におきましては,大規模小売業者である株式会社はるやまホールディングスとはるやま商事株式会社による店舗等の賃貸借取引における買いたたき行為や,ふるさと納税ポータルサイトの運営等を行う株式会社さとふるによるふるさと納税の返礼品の調達取引に係る買いたたき行為などに対し,5件の勧告を行っております。
 最後になりますけれども,1ページ目の「今後の取組」を御覧ください。消費税転嫁対策特別措置法は令和3年3月31日をもって失効いたしましたけれども,同法の経過措置規定に基づきまして,この法律の失効前に行われた違反行為については,失効後も引き続き,調査・指導等の対象となります。公正取引委員会は,引き続き,失効前に行われた転嫁拒否行為に対してしっかりと対処していくため,令和3年度におきましても,中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等に対する悉皆的な書面調査を実施するなど,転嫁拒否行為に関する情報収集を行うこととしておりまして,5月31日に,第一弾として約70万通の調査票を発送いたしました。
 また,この法律の失効後に行われた転嫁拒否行為に対しましても,それらが独占禁止法や下請法に違反すると認められた場合には,引き続き厳正に対処してまいります。
 私からは以上でございます。

質疑応答

(問) 今回の消費税転嫁に関して,いわゆる新型コロナウイルスの影響で何か顕著なものがあったのかというのをお聞きしたいと思います。例えば,先ほどの総長の冒頭の御発言や本文を見ていると,事業者への調査の仕方とか事業者への説明の場において影響があったということですけれども,実際に,例えば,件数であるとか,もしくは令和元年度と比較して,違反行為の類型上,何か顕著な変化が表れたとか,買いたたきなどの動機として,コロナで経営が苦しくなったというのを挙げている企業が目立ったとかですね,何かしらそういうものがあれば教えてください。
(事務総長) 今お話がありましたとおり,調査のやり方ということでは,新型コロナウイルス感染拡大防止というのを考えていろいろ工夫をして行ってきたわけですけれども,少なくとも令和2年度に処理をした違反事件で,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が転嫁拒否行為の背景とか引き金になっているというような事案はどうも見られなかったようでございまして,むしろ前の8%への引上げのときに比べて,皆様,この消費税転嫁対策特別措置法やこの法律の違反行為についての認識が高まったことによって,全体的にどちらかというと件数は減っているということで,全体として見ればいい傾向にあったんじゃないかというふうに認識しております。

以上

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