[配布資料]
G7エンフォーサーズ・サミットの開催及び「要約」の公表について(令和3年11月29日公表資料)(PDF)
事務総長会見記録(令和3年12月1日(水曜)13時30分~Web会議形式により開催)
G7エンフォーサーズ・サミットの開催及び「要約」の公表について
本日,私からは,G7エンフォーサーズ・サミットが開催されたことと,本サミット開催に当たって公表いたしました「デジタル市場における競争を促進するための各当局の取組の要約」についてお話しいたします。
G7エンフォーサーズ・サミットの開催経緯から御説明いたしますと,本年4月に採択されたG7デジタル・技術大臣会合の大臣宣言におきまして,「デジタル競争に関する競争深化」が重要な取組の一つに挙げられ,デジタル競争に関する取組を支援するため,英国競争・市場庁(CMA)に対して,G7の競争当局の会合を開催するよう要請されました。
これを受けて,CMAは,11月29日と30日,G7の競争当局と招待国の競争当局のトップが出席する「エンフォーサーズ・サミット」を開催いたしました。本サミットは対面形式とウェブ形式とのハイブリッド形式で開催されまして,公正取引委員会からは古谷委員長がウェブ形式で出席いたしました。
このようなG7の競争当局の枠組みでの会合が開催されるのは今回が初めてです。
このエンフォーサーズ・サミットにおきましては,デジタル分野における様々な問題について,G7等の競争当局のトップが議論を行いました。例えば,デジタル市場における競争上の問題に対処するため,専門知識の向上や当局の能力強化等に向けた課題や,専門家の採用,外部専門家との連携等の具体的な取組について議論が行われました。また,G7等の競争当局間で連携する可能性のある分野等についても,議論が交わされました。
このエンフォーサーズ・サミットの開催に当たり,G7等の競争当局は共同で,「デジタル市場における競争を促進するための各当局の取組の要約(Compendium)」を公表いたしました。
この各当局の取組の要約におきましては,デジタル市場における競争上の問題に対処するための各競争当局の活動を概観するとともに,共通の取組等に焦点が当てられています。
例えば,G7等の競争当局の共通の枠組みといたしましては,①デジタル市場に関する実態調査,研究又は法執行の実施や②組織の能力強化のためのスキル向上や専門家チームの設立,③執行ツールの強化や新しい規制の導入の検討,また,④国内の他の規制当局や海外の当局との協力などが挙げられています。
公正取引委員会は,これまでも,事件審査や企業結合審査,そして,実態調査におきまして,他の競争当局と緊密に協力してきたところでありますけれども,デジタル市場のボーダーレスな特性を十分に認識いたしまして,競争当局間でこれまで以上に密接に協力しつつ,取組を進めていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
質疑応答
(問) G7エンフォーサーズ・サミットにおける古谷委員長の御発言で御紹介いただけるものがあれば,教えてください。
(事務総長) 古谷委員長はこの1日目,2日目のエンフォーサーズ・サミットに出席されたわけですけれども,聞いているところによりますと,1日目の「競争当局の有効性の構築」に関するセッション,このセッションではデジタル市場の事件審査ですとか,実態調査を専門的に行う部署を設置しているということ,それから,職員のスキルアップ,外部専門家との連携等の取組を紹介するとともに,「デジタルプラットフォーム透明化法」の共同規制の考え方等を紹介いたしました。
また,2日目の「政策の優先順位付け,継続的な協力」に関するセッション,このセッションでは,政策の優先順位付けのためのデジタル分野に関する専門家から情報収集をしていることであるとか,デジタル分野に関する実態調査を実施していることなどの取組を紹介し,また,個別事件やその実態調査等の分野で海外の競争当局と密接に協力することの重要性を説明したというふうに聞いております。
(問) 古谷委員長の初会合の印象などありましたら教えてください。
(事務総長) これは初会合に古谷委員長自身が参加して,委員長がどのような印象を持ったかという御質問でしょうか。それであれば,委員長御自身の印象等をまだ伺っていませんので,もし必要があれば,国際課に直接お聞きください。
(問) 今回のサミットの成果をどのように考えていますか。確認になりますが,成果文書等は無いと認識していますが,参加国の合意項目があれば教えてください。
(事務総長) 競争当局間というのは,様々な機会を利用して意見交換し,協力関係の構築をしてきているわけですけれども,今回,こういうG7の枠組みで,関係当局のトップが対面形式やウェブ形式で一堂に会して競争政策について直接議論するという会合が初めて行われたことが,大きな点かと思います。初めて行われた理由としていろいろあるとは思いますが,1つは,公表しております「要約」の日本語版の5頁の1.9.のところ,私もこれを読んで,なるほどそうだなと思ったんですけども,「過去にも目的や分野別の懸念にある程度の類似性はあったが,これほど多くの競争当局,そして多くの場合には政府が,同じ市場や,同じ又は類似した行為の審査や調査を優先したのは,競争法や競争政策の歴史上初めてのことである。」とありますとおり,世界中の当局が,同じ分野の同じような問題に関心を持った,それほどに今のデジタル分野の問題というのは共通の重要事項になっているということかと思います。そういうものが今回初めて取り上げられたということが,一つの成果かと思います。また,御指摘のように,今回は議論する場ということでございましたので,何か合意文書を作ったということではないんですけれども,聞いているところによりますと,一つには,多くの当局がデジタル・プラットフォーム事業者を巡る競争上の問題を懸案事項ということで挙げていて,かつ,それらへの様々な取組がされているわけですが,取組に共通点が見られるという認識を,参加した当局間で共有したということ,それから,こうしたデジタル・プラットフォーム事業者を巡る競争上の問題に対して,今後協力して取り組むことが重要だということを当局間で共有されたということでございます。そういうことが,トップの間でも明確に,明示的に意識が共有されたということが大きな成果かと思っております。
以上