[配布資料]
第19回東アジア競争政策トップ会合及び第16回東アジア競争法・政策カンファレンスの開催について(86 KB)
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年7月24日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
第19回東アジア競争政策トップ会合及び第16回東アジア競争法・政策カンファレンスの開催について
本日は、2つのテーマについてお話しします。1つは国際会議の関係で、もう1つは企業取引研究会の開催の関係です。
国際会議の関係についてですが、第19回東アジア競争政策トップ会合が、昨日7月23日に、マレーシアのクアラルンプールで開催され、公正取引委員会からは、古谷委員長、青木委員ほかが出席しました。また、本日7月24日午前中に、第16回東アジア競争法・政策カンファレンスがクアラルンプールでの対面及びオンラインによるハイブリッド形式により開催され、公正取引委員会からは、同じく古谷委員長、青木委員ほかが出席しました。両会合について、今年はマレーシア競争委員会がホストを務め、東アジア競争政策トップ会合には、東アジア地域などの16の競争当局のトップなどが参加しております。また、東アジア競争法・政策カンファレンスには、東アジア競争政策トップ会合の出席者に加えまして、学界及び法曹関係者が参加しております。東アジア競争政策トップ会合において、当委員会からは、古谷委員長によるオープニングリマークスに続き、青木委員が、「デジタル経済-域内における市場評価及びアドボカシー活動から得られた教訓」といったセッションでスピーカーを務めました。その中で、今年の6月に成立した「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」の内容や、昨年10月より開始したグーグルに対する事件審査の概要を中心に、当委員会の取組について説明いたしました。本会合のいずれのテーマも重要な内容を含んでおりましたが、デジタル分野に関するセッションでは、ビッグテックに対する各当局の最新の取組状況が紹介されるなど、有益な議論や情報交換の場となりました。このように、競争当局が取り組むべき新しい課題に対して、各国が共通の問題意識を持っていることや、知識、知見を共有しつつ、各競争当局が緊密に連携しながら取り組んでいくことの重要性が改めて確認されました。当委員会といたしましては、本会合が東アジア地域などの競争当局間の協力関係の構築や、同地域などにおける競争政策に対する理解の促進のために非常にいい機会であると考えておりまして、今後も積極的に貢献していきたいと考えております。なお、次の東アジア競争政策トップ会合は、当委員会がホストを務め、来年度に東京で開催される予定となっております。来年度の会合は第20回となりますので、20年目の節目を迎える記念すべき会合となります。したがいまして、当委員会といたしましては、この会合が実りあるものになるように準備をしていきたいと考えております。
企業取引研究会の開催について
2つ目の企業取引研究会についてですが、今年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2024」、いわゆる「骨太の方針」にも記載されているように、現在、政府は、新たな商慣習として、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる対策に取り組んでおります。公正取引委員会においても、「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を改正するなどして、協議を経ない取引価格の据置きなどの考え方を明確化するとともに、特別調査等を通じた独占禁止法及び下請法に係る執行強化に努めてきました。その結果、価格交渉や価格転嫁の動きに進捗がみられる一方、サプライチェーンの取引段階を遡り、階層が深くなるにつれて価格転嫁が滞っているなど、取引環境の整備として解決されるべき課題がいまだ残っていることが明らかになっております。このため、適切な価格転嫁を我が国の新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させていくための取引環境を整備する観点から、優越的地位の濫用規制の在り方について、下請法を中心に検討することを目的として、中小企業庁と共催で、関係有識者からなる「企業取引研究会」を開催することといたしました。第1回の研究会は、早速今週月曜日、22日に開催いたしました。第1回では、本研究会開催の趣旨、背景、物価と賃金の好循環を実現していくために、見直すべき商慣習の課題や見直しの大きな方向性、円滑な価格転嫁のための取引環境の整備の観点から今後御議論いただきたい事項について事務局から説明を行いました。その上で、委員からは、業界によって状況が異なるので各業界の実態も踏まえつつ議論すべきといった御意見、また、価格転嫁は一定程度進んでいるところ、そのモメンタムを踏まえ、小規模な事業者にも行き渡らせるという観点で議論を加速すべきといった御意見などをいただきました。今後、月1回程度を目途として研究会を開催し、買いたたき規制の在り方といった適切な価格転嫁の環境整備に関する課題、約束手形など支払手段に関する課題を始め、幅広い事項について御議論いただくことを予定しております。また、公正取引委員会といたしましては、価格転嫁対策について、昨年11月に定めた「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の周知徹底や、指針の取組状況をフォローアップするための特別調査の実施など、引き続き、しっかりと取り組んでまいります。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 今回の企業取引研究会について、法改正も含めて検討されていると思いますが、審査局の審査において、例えば立入検査や注意など、法執行においてより迅速になる面、期待されている部分はございますでしょうか。
(事務総長) 企業取引研究会におきまして、現在、審査局の課題について検討するということが、必ずしも中心になっているわけではなく、本研究会については、下請法の制度の検討というのが中心になっております。一方、下請法の運用、あるいは優越的地位の濫用規制の在り方についても議論が及ぶことは想定はされると思っております。現時点で明確に決まっているわけではございませんけれども、取引環境の整備として解決されるべき課題は幅広く検討していきたいと考えております。
(問) その課題というのは後の方の研究会で議論されることもあるということですか。
(事務総長) 様々な議論が行われる中で、いろいろな議論があり得るだろうということを想定しています。
以上