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令和7年9月24日付け 事務総長定例会見記録

令和7年9月24日付け 事務総長定例会見記録

[配布資料]

なし

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和7年9月24日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査の開始について

 本日は、官製談合防止に向けた発注機関の取組に関する実態調査の開始について御案内いたします。
 入札談合は、独占禁止法が禁止する不当な取引制限の典型事例であり、最も悪質な独占禁止法違反行為の一つです。また、国や地方公共団体などの発注機関の職員が入札談合に関与する、いわゆる「官製談合」とは、発注機関の利益、ひいては納税者である国民の利益を損なうものであり、あってはならない行為です。
 公正取引委員会は、入札談合の摘発に積極的に取り組むとともに、官製談合が認められた場合は、いわゆる官製談合防止法に基づいて厳正に対処してきております。また、これまで、入札談合や官製談合の防止を図るため、国や地方公共団体等の職員を対象として、独占禁止法や官製談合防止法に関する研修会を全国各地で開催するとともに、国や地方公共団体等が実施する職員向けの研修会に当委員会の職員を講師として派遣してまいりました。昨年度は、当委員会主催の研修会を全国で42回開催するとともに、国、地方公共団体等に対して256件の講師の派遣を行い、合計で4万人以上の方に受講いただきました。本年度においては、8月末時点で、当委員会主催の研修会を13件開催するとともに、国や地方公共団体等に対して101件の講師派遣を行い、合計で約1万7000人の方に参加、受講いただいております。
 他方で、事業者間での入札談合はもとより、依然として発注機関における対応が、入札における公正かつ自由な競争を確保する上で適切とはいえないとされた事例がありますほか、官製談合防止法の8条で問題となる、職員による秘密情報の漏えいなどの事件が後を絶たない状況にあります。
 このような状況を踏まえ、今般、発注機関による官製談合の防止のための取組について、前回の調査を行った平成29年度以来、8年ぶりに実態調査を実施することとしました。今月19日に、官製談合防止法の対象となっている発注機関に対してアンケート調査票を発送したところで、10月下旬にかけて、アンケート調査を実施する予定であります。発注機関の皆様におかれましては、是非、本調査の趣旨を御理解いただき、御協力いただきたく考えております。調査結果については、取りまとまり次第、公表する予定です。
 公正取引委員会は、このような取組を通じ、引き続き、入札談合や官製談合の未然防止に努め、発注機関における取組を積極的に支援してまいりたいと考えております。
 なお、本件の担当は経済取引局総務課です。

質疑応答

(問) 2点ございまして、今回の調査は8年ぶりに実施されるということで、このタイミングで実施される理由を伺いたいです。あと、この8年で、インフレが結構進んだりして、取引環境もかなり変わってきてるかなと思うのですが、中小を含め価格転嫁の動きがある中で、今回の調査ではどういったところに着目したいという思いがあったりするのかなど、今回の調査の特徴を伺えたらと思います。
(事務総長) まず1点目、調査のタイミングについてですが、前回調査を行ったのが平成29年、調査結果の公表は平成30年ということで、少し期間が空いています。その期間でも、官製談合防止法に係る問題というのは引き続き起こっている、あるいは、官製談合防止法の規定に係らないものであっても、発注機関による行為として問題があるものも散見される状況にあるという中で、改めて、前回調査の時点から各発注機関の取組がどのように変化をしているのか、どのように改善されているのか、あるいはされていないのかということを確認した上で、いろいろな取組の好事例といいますか、他の発注機関にも参考になる事例というのがおそらく確認されてくるものと思いますので、そういうものも御紹介すれば、各発注機関での取組の改善に資するということで、今回調査を行うことにしたものであります。
 それから、今回の調査の特徴については、前回調査との比較をみるという部分もありますので、前回と同様の調査項目も多いわけですけれども、今回は、発注や契約に関するコンプライアンスの監査実績や、国の本府省庁等に関しては、地方支分部局へ具体的な取組を実施するように周知をしているかなどの新たな項目も含めて調査をすることになるかと思います。
(問) 官製談合事件自体、例えばこの5年間でどれだけ増えているとか減っているとかを示す統計はあるでしょうか。
(事務総長) 官製談合事件には2種類ありまして、一つは、公取が入札談合に関する調査をしている過程で、入札談合が独禁法違反と認定されるとともに、官製談合防止法上問題になるような官の関与があるということで、公取が発注機関に措置を請求するというもの、もう一つが、冒頭で少し申しましたけれども、官製談合防止法の8条というのがありまして、いわゆる職員による秘密情報の漏えいに関する罰則なのですが、こちらは公取の調査が前提ではなくて、検察や警察が独自に端緒を発掘して捜査を行うというものになります。
 件数の増減ということですと、まず一つ目の、公取の調査に関連して、官製談合防止法に基づいて公取が措置請求を行うという事件は、ここ数年はございません。2つ目の官製談合防止法の8条に基づき、検察とか警察による捜査が行われる発注機関の職員による秘密情報の漏えい等の事件は引き続き頻発しているという状況かと思います。正確な数字をお伝えすることは難しいのですが、報道で把握している範囲でということですと、令和6年度には、全国で17件の官製談合防止法の8条に関する発注機関の職員の逮捕の報道があったと承知しております。
(問) 今御説明いただいた8条違反の件数について、もし比較できる過去の数字とかがありましたら教えていただけますか。
(事務総長) 今手元に数字がありませんので、後ほど担当課に確認していただければと思います。
(問) 19日からアンケートを送付されたということなのですが、国や地方で対象になっているのはどれくらいの数になるのですか。
(事務総長) 国の機関が485、政府出資法人が201、地方公共団体が1,788の、合計2,474と機関になります。
(問) ありがとうございます。今回の調査と直接的には関わらない話ですが、国とか地方公共団体から入札結果が割と公表されているかと思うのですが、エコノミストが、その数字から談合が疑われるケースが推測できるという研究をされていて、海外の当局によっては、それを端緒にして、調査や執行に動く動きもあるかと思います。日本の公正取引委員会においては、その点についてはどういう検討がなされているのか、お話しできる範囲で教えてください。
(事務総長) 詳細をお話しすることは難しいところもありますが、公取では、いわゆる職権探知、自らの調査に基づいて端緒を掴むためのいろいろな取組をしてるところでありまして、客観的な数字などから、入札談合に関する疑いが把握できないかという点については、従来からも取り組んでいるところでありますし、引き続き、どういった手法が採れるかは研究しているという状況でございます。
(問) 具体的な例はともかくとして、これまで、そういった統計学とか経済学的な手法を用いて調査が始まった事件は、公表されている事件の中であるのでしょうか。
(事務総長) 端緒の中身についてはなかなか申し上げにくいものですから、お答えを控えたいと思います。
(問) 最近、エコノミストをはじめとして、専門的な知見を持った方々の採用が増加しています。その中で、エコノミストにお願いするプロジェクトの中にこういったことも含まれていると理解していいのでしょうか。
(事務総長) 特にその点に限定したエコノミストの採用を考えているものではありませんが、公取の活動全般の中から、その時々のニーズも踏まえてエコノミストの方に検討をお願いする、あるいは一緒に取組を進めていく事項を決めております。
(問) 最後に、先ほど例に挙げたような研究をしているエコノミストなどによると、実は談合はもっと広く行われているのではないかという声も聞くのですが、執行について、公取はずっと何年も努力しているわけですけども、発注者側の問題も含めてまだまだ改善の余地があるというお考えでしょうか。
(事務総長) そうですね。公取が独占禁止法の措置を採る際に併せて、官製談合防止法に基づく措置請求をするという件数自体は、急激に増えているということはないのですけれども、官製談合防止法の8条の事件というのは引き続き起こっており、そのような案件などで、いわゆる入札談合が行われている可能性というのもないわけではないと思います。したがって、公取として何ができるかをしっかり研究して実務に生かすことは、これからも継続してやっていきたいと考えているところでございます。
(問) このような実態調査とは、公取委では他にもやっていらっしゃるものなのか、教えてください。
(事務総長) 実態調査は他にもやっております。公取の取組にはいろいろな形がありまして、独禁法の違反被疑事件の審査というものももちろんあるわけですが、それとは別に、競争環境の整備のための取組、すなわち、競争が十分機能するようにするために、アンケート調査やヒアリング調査を通じて実態を把握し、何らかの問題がある場合には、競争環境を整備するためにこういうことをすべきじゃないかというのを提言するということは従来から行っているところであります。したがって、今回の調査はそのような調査の一つということになりますけれども、発注機関向けの調査という意味では、少し久しぶりになります。
(問) 古谷前委員長が車の両輪ということを言っていましたが、個別事件につなげていくための調査ではないということでいいでしょうか。
(事務総長) 基本的には、個別の問題を捉まえて発注機関に対して何かアクションを起こすというよりも、全体的な傾向を把握して、発注機関で取り組まれた好事例を集めつつ、他の発注機関にも参考にしていただくということが基本的な視点になります。

以上

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