[配布資料]
(令和7年10月6日)令和7年度におけるフリーランス法の広報強化期間(第2弾)
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年10月8日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
日米競争当局意見交換の開催結果、英国競争・市場庁との協力に関する覚書への署名及びG7競争サミットの開催結果について
本日は、2点、申し上げたいと思います。
1点目は、茶谷委員長が先週出席しました、G7競争サミットと呼んでおります、G7エンフォーサーズ・ポリシーメーカーズサミットについてお話ししますとともに、これを機に開催されました日米トップ会合及び日英の協力に関する覚書への署名についてお話をします。
まず、G7競争サミットですが、10月2日にカナダ競争局の主催の下、カナダのオタワにおいて開催されました。このG7競争サミットとは、競争当局がデジタル分野の競争に関する取組を相互に支援するための国際会議で、2021年以降、G7の議長国が主催して毎年開催されております。今回のサミットでは、アルゴリズムによる価格設定に関する最近の法執行経験及び事件探知手法などについて議論が行われまして、当委員会からは茶谷委員長などが出席しました。公正取引委員会は、本年6月に公表した「生成AIに関する実態調査報告書」の概要などについて説明するなどしています。
また、このサミットの開催に当たり、G7の競争当局は共同で、最近の執行事例、企業結合事例及びアドボカシーの取組などに焦点を当てた、「デジタル市場における競争を促進するための各当局の取組の要約(Compendium)」をリバイズして公表しました。
公正取引委員会としては、サミットにおける議論などを踏まえつつ、デジタル市場における競争上の課題について、G7の競争当局やポリシーメーカーと国際的な連携を一層強化して取り組んでいく必要があると考えております。
次に、9月29日に、アメリカのワシントンDCにおいて行われました、米国の競争当局である司法省反トラスト局のゲイル・スレーター反トラスト局長、連邦取引委員会のアンドリュー・ファーガソン委員長と、当委員会の茶谷委員長との意見交換会についてお話をします。
この意見交換の会合においては、両国が重点を置く取組や課題について活発な議論を行うとともに、今後も継続的な意見交換を通じて、協力関係を発展させていくことを確認いたしました。
先月の12日には、EUの競争政策の担当であるテレサ・リベラ上級副委員長と茶谷委員長との会談も行われておりまして、このように、世界をリードする当局のトップが対面の意見交換を行う機会を得たことは大きな成果であったと考えております。
最後に、翌9月30日に、カナダのオタワで行われました「公正取引委員会と英国競争・市場庁の間の協力に関する覚書」への署名についてお話をいたします。
この覚書は、英国のEU離脱を契機として、2019年以降、英国の競争当局である英国競争・市場庁、略称ではCMAと呼ばれておりますけれども、このCMAとの間で交渉が行われてきたもので、通報規定、執行調整規定、情報交換規定を主な内容としています。当委員会の茶谷委員長と英国競争・市場庁のクリス・プリベット ゼネラル・カウンシルを署名者として署名を行いました。今後は、執行調整規定と情報交換規定を備える本覚書を最大限に活用して、政策・法執行の両面において、一層緊密な関係が構築されるものと確信しております。
以上、1点目、国際関係について申し上げました。
令和7年度におけるフリーランス法の広報強化期間(第2弾)
それから本日のテーマの2点目である、今年度におけるフリーランス法の広報強化期間の第2弾についてお話をします。
フリーランス法は、昨年11月1日に施行されまして、もうすぐ施行1年を迎えることになります。
公正取引委員会では、本法の施行後の法執行については、本法に違反する疑いのある行為の発見に努め、違反行為が認められた事案について迅速かつ適切に対処してきたところであり、6月には3件、9月には1件の勧告を行ったところです。
また、公正取引委員会では法執行だけではなく、周知広報も極めて重要であると考えており、令和5年5月の本法の公布後、本法の円滑な施行に向けて、集中的かつ大規模なメディア広報を実施するなど、積極的な周知広報に取り組んできました。今年度においても、6月30日から8月31日までを広報強化期間の第1弾としまして、昨年度に引き続き、イラストレーター兼漫画ブロガーのBUSON氏のオリジナルキャラクター「しきぶちゃん」とタイアップした各種広報を実施しました。
公正取引委員会では、本法の施行後も引き続き周知広報は重要であると考えておりまして、本法の施行1年に向けて、10月6日から11月30日までを今年度における広報強化期間の第2弾として各種広報を実施することとしました。
第2弾における目玉の取組として、ビジネス映像メディアである「PIVOT(ピボット)」での動画配信を実施いたします。具体的には、フリーランスと発注事業者双方に本法を正しく理解してもらえるよう、「実はこれだけ見落としている!公正取引委員会と学ぶフリーランス法」と題して、当委員会の職員がフリーランス法の重要ポイント等を分かりやすく解説した動画をYouTubeのPIVOT公式チャンネルで配信いたします。
動画の内容につきましては、元TBSアナウンサーの国山ハセン氏と当委員会の職員が会話形式でフリーランス法の取引適正化に関する義務や禁止行為などを説明する内容となっております。百聞は一見にしかずと申しますので、ここで実際の動画の冒頭部分を御覧いただければと思います。
今御覧いただきましたのは、PIVOT動画の冒頭部分です。YouTubeのPIVOT公式チャンネルで配信しておりますので、是非御覧ください。
また、第1弾に引き続き、「しきぶちゃん」とタイアップしたインターネット広告や、東京メトロとJR東日本の車内ビジョン広告も実施します。車内ビジョンは、第1弾とは異なる動画が流れますので御期待ください。
また、こちらも第1弾に引き続きとなりますが、フリーランス法の説明会をオンラインで4回、各地方事務所等では対面で6回開催します。オンライン説明会では、7月から8月に開催した説明会での御要望も踏まえ、厚生労働省との合同開催としまして、就業環境の整備に関する説明と質疑応答も行います。さらに、10月1日に成案を公表しましたフリーランス法の解釈ガイドラインの改正部分や、勧告事例にも触れつつ説明をする予定です。
地方事務所開催分では、既に満席の会場もありますが、オンラインの説明会も含めて、是非御参加いただければと思います。
公正取引委員会としては、引き続き、フリーランス、発注事業者の双方に対して分かりやすい情報発信を行い、フリーランス法の積極的な周知広報に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。
質疑応答
(問) フリーランス法が間もなく施行から1年になるわけですが、勧告が複数件あります。記憶している限りでは、フリーランス法への対応をしているつもりであったが、プロの目から見ると全然足りていなかったという案件がほとんどだったと思います。対応しているつもり、対応するつもりがあったという中で、違反をしてしまったという点について、公正取引委員会としても、もう少しできることがあったのか、何か考えるところがありましたら、お教えください。
(事務総長) 先ほどの周知広報の話も関係してくるものと思いますが、施行前も、施行後も、我々としては広く、この新しい法律の周知には努めてきたところです。ただ、やはり十分に広く理解されているか、あるいは、一つの会社においても、例えば、総務部門や上層部などが理解していたとしても、現場で理解が浸透しているかという意味では、まだ課題はあるのだと思っています。
したがって、そのような部分も含めて、これからいかに広く周知をしていくか、幅広い層に浸透させていくかという点が課題だと思っています。
(問) ありがとうございます。
以上