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令和7年10月29日付け 事務総長定例会見記録

令和7年10月29日付け 事務総長定例会見記録

[配布資料]

なし

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和7年10月29日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

国土交通省との取適法の執行連携について

 本日、私からは、取適法、改正下請法である取適法についての国土交通省との執行連携の取組の一つとして行っている合同荷主パトロールについて御紹介いたします。
 令和8年1月1日に施行される取適法の大きな柱の一つとして、事業所管省庁が取適法に基づいて指導・助言を行うことが可能となるというものがあります。これにより、下請法では公正取引委員会と中小企業庁のみで法執行を行っておりましたのが、下請法改正後の取適法については、事業所管省庁とともに法執行を行っていくことになります。
 公正取引委員会は、事業所管省庁と連携しての法執行を可能とする制度が、絵に描いた餅にならないよう、取適法の施行前から各事業所管省庁との連携に取り組んでおります。その取組の一つとして、9月26日に「公正取引委員会及び国土交通省による合同荷主パトロール等の実施について」という資料で公表しておりますとおり、10月から11月にかけて、荷主事業者等による取適法の違反行為や改正物流法の違反原因行為の未然防止等の観点から、公正取引委員会と国土交通省が全国規模で連携し、荷主事業者等の営業所、物流拠点に対する合同荷主パトロールや、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアにおけるトラックドライバーからの聴取りを実施しています。
 ちなみに、本日私が着用しておりますこのブルゾンですが、これらの合同荷主パトロールなどの実施のために準備をしたものになります。公正取引委員会職員は、このブルゾンを着用して、合同荷主パトロールなどを実施しております。
 本題に戻りますが、昨日及び本日、東京都において、公正取引委員会と、全国から集結した国土交通省トラック・物流Gメンによる大規模合同荷主パトロールを実施し、公正取引委員会職員が、取適法の対象となり得る都内の荷主事業者等を個別に、直接、訪問し、取適法の内容を説明して、法律の遵守に理解と協力を求めました。
 特に、下請法では、運送事業者が業として行う運送の委託取引しか対象とならなかったものが、取適法では、「特定運送委託」と呼ばれる、荷物の送り主である発荷主が、自社の事業のために物品の運送を運送事業者に委託する取引が適用対象に追加されており、運送分野における取引適正化を一層進めていくことができるようになりますので、この点も荷主事業者に御説明しました。
 合同荷主パトロールでは、荷主事業者から、
・ トラック・物流Gメンの取組については知っていたが、まさか今回、公正取引委員会が同行するとは思わず非常に驚いた。取適法の特定運送委託が何なのかよく分かっていなかったので、説明を聞けてよかった。
・ 公正取引委員会や中小企業庁以外の事業所管省庁も取適法に基づく指導が行えるようになることは知らなかった。事業所管省庁には日頃からお世話になっているが、調査や指導を受けることがないよう、自社の取引については一層の注意を払いたい。
・ もともと下請法については知っていたが、改正後は規制が強化されるとのことで、現在、法の施行までにどういった対応が必要になるか整理し、従業員向けに説明会を行うなど、会社としてコンプライアンスの一層の強化を進めているところである。
といった声が寄せられました。
 昨日の大規模荷主合同パトロールについては、公正取引委員会の公式SNSでも御紹介しており、大規模荷主合同パトロールの出発式での当委員会の担当審議官からの挨拶も視聴できますので、こちらも皆さま是非御覧いただければと思います。

 <参考:公正取引委員会公式SNS>
 https://x.com/jftc/status/1983131574280278342

 このように、公正取引委員会が「パトロール」と銘打って、事業者に直接、法律の周知広報を行う取組は、自分の記憶の限りありませんが、このような方法での周知に限らず、全国規模で連携して周知をしていくことで、取適法施行後の法執行でも円滑な連携ができるようになると考えております。
 このほかにも、公正取引委員会では、「執行連携」の円滑な実施に向けて、各事業所管省庁に対して、調査や指導のノウハウをまとめたマニュアル例などを配布するとともに、事業所管省庁向けに調査のノウハウなどについての研修を実施することとしています。
 公正取引委員会としては、国土交通省を含め、事業所管省庁との連携強化を引き続き進めていき、取適法の施行準備に万全を期すとともに、取適法の施行後は、事業所管省庁と連携して、効率的、効果的な法執行に取り組んでまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) いくつか質問があります。
 1点目ですが、今回の下請法の改正は、運送事業者が、トラック・物流Gメンに何か言ったことにより取引が切られてしまうことに対して、今までは守ってあげることができなかった部分があり、新たに報復措置の禁止を入れるということが背景にあると思うのですが、トラック・物流Gメンさんが勧告等を行ったことによって取引関係が消滅してしまったような事例を、公正取引委員会で把握されているでしょうか。もし把握されていたら、エリア、業種、あるいは件数的なものといった、法改正に至る背景となった事例について教えてください。
 2点目ですが、今回、合同パトロールに当たり、ブルゾンを作られたというお話がありましたが、合同でパトロールをすること自体がニュースになるほど珍しいわけです。法改正を受けて、今後は、この合同パトロールを、例えば月1回だとか四半期に1回だとか、定期的に、ルーティンとして行っていくのでしょうか。
 3点目ですが、公正取引委員会が扱う事案は、基本的には、大企業が中小企業に対して行う優越的地位の濫用ですとか、大企業による違反事案というイメージがあります。昨日も、トラック・物流Gメンの活動を行われている地方運輸局のGメンとお話したのですが、一番の課題は、荷主も中小企業、運送事業者も中小企業というように、お互い中小企業であり、法務部などのリソースが整っていない体制の中で、いろいろな問題が起きていることであるといった声を非常に多く聞いています。公正取引委員会も人的リソースは当然限られているわけですが、合同パトロールの中で、中小企業に対する取組はどのようにしていくお考えでしょうか。
(事務総長) ありがとうございます。まず1点目ですが、報復措置の禁止の規定が、今回の法改正で入ったというお話があったと思いますが、改正前の下請法にも、公正取引委員会又は中小企業庁に通報したことに対する報復措置を禁止する規定はございます。ただ、事業所管省庁に通報した場合に関する報復措置の禁止というものは規定されておりませんで、今回の改正により導入されたところです。トラック・物流Gメンの活動に関連して御質問いただいたような事例を私自身が耳にしたということはありませんが、そのような報復措置も含めて、情報を提供したことによって不利益を被ることはあってはならないことだと思っておりので、きっちり目を光らせていきたいというふうに考えております。
 2点目、合同パトロールの今後のスケジュールですが、今現在、特に何か決まったものがあるわけではありません。合同パトロールは来月も引き続き行っていきますので、現時点では、まず今年やるべきことをしっかり行い、今後のことについては今後検討していくことになると思います。
 3点目は、大企業よりも中小同士の取引で問題があるのではないかというお話であったと思います。現在の下請法の運用においては、大企業による下請法の違反事案もたくさんありますが、実は、比較的小規模の事業者の下請法違反事案の調査も行っておりまして、問題ありとして企業名の公表や勧告を行うこともしているところであります。特に今は、サプライチェーン全体での価格転嫁の問題も含め、取引を適正化していかなければ業界全体がうまく回らない面もあると思いますので、もちろんマンパワーの問題などもあり、どういったやり方が効果的かというのは常に考えていく必要がありますが、サプライチェーン全体に目を光らせていくということは今後もしていきたいと思っているところです。
(問) 来月11月も合同パトロールはあるという理解でよろしいでしょうか。
(事務総長) はい。引き続き行っていくことにしております。
(事務方) 昨日、本日と行っております大規模合同荷主パトロールのような形は今回だけでございますけれども、全国各地で、当委員会の地方事務所と各地方運輸局が連携しており、集中監視月間においてそういった取組を行うこととしております。
(問) 現状では、集中監視月間に合わせて、国交省や各地方運輸局と連携して行っていくというイメージでよろしいでしょうか。
(事務方) 仰るとおりです。
(問) 追加であと1点お願いします。トラックの物流分野はそれなりに専門性の高い分野で、通達も細かく、法規制もかなり複雑だと思います。公正取引委員会が今後、国土交通省との連携を進めていく中で、物流に関する専門部署、あるいは専門の担当者などを設けることはあるでしょうか。
(事務総長) 今の段階で専門の部署や専門の担当者の設置までを念頭に置いているわけではありませんが、今回の法改正もそうですし、これまでのいろいろな取引適正化の取組の中でも、トラック物流の分野というのは非常に重要であるという認識を我々も持っておりますので、重点的に取り組んでいく分野の一つと考えているところでございます。
(問) ありがとうございます。
 繰り返しになるかもしれませんが、昨日も、合同荷主パトロールは歴史的な取組であると御挨拶があり、事務総長も同様の取組は自分の知る限りこれまでないというお話がありましたが、改めて、この合同荷主パトロールに対して、事務総長の思い、御感想をお願いいたします。
(事務総長) はい。分かりました。今回、法改正の施行が非常に間近になっており、施行まで2か月ちょっとという中で、やはり、まだまだ周知活動をしっかりやっていかなければいけないと思っております。特に、先ほども申しましたけれども、トラックなど物流の分野における取引適正化は非常に重要だと思っております。そのような文脈の中で、今回、合同パトロールという形で、特に力点を置いてやっていこうという流れになっているところでございます。施行まで余り時間はないところでありますが、周知活動と、1月以降の的確な法運用を、国土交通省とも連携して、しっかり進めていきたいと考えているところでございます。

以上

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