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令和7年11月5日付け 事務総長定例会見記録

令和7年11月5日付け 事務総長定例会見記録

[配布資料]

なし

[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和7年11月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

フリーランス法の定期調査の実施について

 本日、私からは、令和7年度のフリーランスとの取引に関する調査についてお話をします。
 フリーランス法は令和6年11月1日に施行され、今月1日で施行から1年が経過しました。
 公正取引委員会では、フリーランス法の施行後、同法に違反する疑いのある行為の発見に努め、違反行為が認められた事業者に対しては、迅速かつ適切に対処することとしております。
 また、令和6年度には、発注事業者がフリーランス法に違反する行為を行っていないかどうかを把握するために、この法律の所管省庁であります公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省の3省庁委連名で、3万名の発注事業者を対象にフリーランスとの取引に関して調査を行うなど、積極的に情報収集にも努め、令和6年11月から令和7年の9月までに、4件の勧告を行い公表するとともに、441件の指導を行いました。
 そして、令和7年度においても、昨年度に引き続き、フリーランス法違反事件の情報収集のために、本日より、3万名の事業者に対して、令和6年11月1日から令和7年10月31日までの1年間を調査対象期間とし、3省庁委連名でフリーランスとの取引に関する調査を行います。
 この調査はいわゆる実態調査ではなく、フリーランス法違反事件の情報収集のために行うものです。ここで得た情報も踏まえつつ調査を行い、違反があった場合には迅速かつ適切に対処することとしております。
 また、このように3省庁委が能動的に情報収集を行う以外にも、フリーランス法に違反する行為を受けたフリーランスの方は、3省庁委に対して調査をするように求める申出を行うことができます。
 申出はオンラインで行うことができるほか、書面でも行うことが可能です。秘密は絶対に厳守いたしますので、フリーランスの方の中で、フリーランス法に違反すると思われるような行為を受けた方は、是非積極的に行政機関に申出を行っていただくようお願いします。
 公正取引委員会は、引き続き、フリーランス法違反行為の未然防止のための普及啓発活動と違反行為に対する法執行を組み合わせることによって、フリーランスの取引の適正化のために取り組んでまいります。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 総長の冒頭の発言に関連して、施行から本年9月末までの約1年の間に、勧告4件と指導441件というお話があったと思います。改めて、所感という形での受け止めと、勧告4件となっていますが、周知などの面ではどういうふうに捉えられているのかをお伺いできればと思います。
(事務総長) まず、1年間での所感としては、冒頭申し上げたように、勧告や指導については一定の件数が積み上がってきているのかなと思います。一方で、まだまだこの法律自体が十分知られていない分野もあるのかもしれないという意識は持っておりますので、引き続きしっかり周知活動を行う必要があると思っております。
 これまでも周知という意味では、例えば、イラストレーターの方とのタイアップの企画であるとか、いろいろな業界団体などが開催する勉強会への講師派遣であるとか、SNSでの発信、その他行っていますが、これからも幅広い形で周知活動を行っていきたいと思います。
 それから、勧告のように公表されるような案件もしっかり発掘して、世の中に明らかにしていくことも、この法律の意味や重要性を認識していただくという意味でも重要と思っておりますので、事件の発掘及び調査を行って表に出していくことも、しっかり行っていきたいと思っているところであります。
(問) 関連して、情報収集のための調査の対象が3万事業者というのは、昨年度と同じような数字かと思います。下請法の場合であれば、その数が年々増えていくこともあると思いますが、そのように母数を増やしていくことは可能なのか、また、今後の見通しはあるでしょうか。
(事務総長) 今後、例えば、来年以降どうするかということは、まだ特に決めているものではないですが、下請法とフリーランス法の違いとしては、フリーランスとの取引がある分野や業界が、下請法の対象になる取引がある分野と完全に一致するわけではおそらくないと思いますので、ある程度、下請法における調査票の発送よりは少なくなってくるということはあると思っております。今後のことについては、今回のような調査の結果を見て、そういった拡大が必要かどうかを判断していくということになると思います。
(問) 今回、情報収集のために3万件の質問書を送ったということですが、収集した情報のその後の取扱いについて、これまで、勧告や指導などの案件につながったこともあるのかと推察しますが、もう一度御説明をお願いします。
(事務総長) 今回の3万社に対する調査は、まさに実態調査というよりは、今後違反事件として調べるための情報収集ということになります。したがって、そういった情報も踏まえつつ、それ以外のフリーランスの方からの情報なども踏まえて、違反事件として調査を行い、場合によっては勧告ということになるかもしれませんし、それ以外の措置になるということもあると思います。
(問) これまで出された勧告や指導の中には、この書面調査を端緒として措置につながった件もあると理解してよいですか。
(事務総長) これまで4件の勧告を出していますが、それぞれ具体的に何が端緒であったか、例えば、今回のような質問票の発送の返事が元になっているのか、あるいは、フリーランスの方からの情報提供なのか、あるいは、それ以外のルートなのかということは申し上げられません。
(問) しかし、指導などには当然つながっているのではないでしょうか。
(事務総長) 勧告に関して申し上げられないと言いましたが、今回のような調査の回答をベースにして、いろいろな指導などを行っています。
(問) フリーランス法施行後の1年で、指導や勧告もありましたが、よくない事例の傾向が見えてきたということはあるでしょうか。また、今回調査されるに当たって、この点はより緻密に見ていきたいというようなポイントがあれば伺いたいです。
(事務総長) 令和6年度に今回と同様の調査を行っていますが、どのような傾向があると申し上げることは難しい面もあります。一つ申し上げるとすれば、フリーランス法でも、発注内容を明示しなければならないと定めているのですが、依然として、これが十分に行われていないという現状がいろいろなところであると認識しています。これまでの勧告の案件でも、取引条件の明示が行われていないことで措置に至ったものもあります。
 今回の調査は、フリーランス法で規制されている事項全体に関して、遵守状況も含めて、いろいろな情報を得ていくことになりますので、特にどこということはありませんが、やはり今申し上げたような取引条件の明示は、取引を行っていくに当たって一番重要なところだと思っておりますので、そこも含めてしっかり見ていきたいと思います。
(問) 今回の調査は、違反行為を受けた場合は申出を受け付ける仕組みがあるが、それだけでは事件の端緒が把握しづらいという現状があるために行うものなのでしょうか。
(事務総長) この法律に一部似たところもある下請法、今後は「取適法」と呼ぶことにしていますが、下請法でも、もう少し規模が大きいですが、親事業者と下請事業者の両方に対して書面調査を行っています。ただし、それだけではやはり拾えない情報もありますので、例えば、下請事業者からの情報提供や、調べてほしいという申出などもいただきながら、両方を組み合わせて調査を行っているのが現状です。したがって、今回のフリーランス法に関しても、両方の情報が重要だと思っております。
 今回のように、一定の質問を出して回答をもらうという形で拾える情報もありますが、それで全てが分かるということではないと思っておりますので、もしフリーランスの方で、こういったことがあって困っていると、法律に違反するのではないかと思っておられる方がおられたら、是非、公正取引委員会や関係する省庁に情報提供していただければと思っているところでございます。

以上

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