[配布資料]
(令和7年4月11日)令和6年度エンゲージメント調査結果及び調査結果を踏まえた取組について(73 KB)
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年4月16日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
令和6年度エンゲージメント調査結果及び調査結果を踏まえた取組について
本日は先週の金曜日に公表いたしました令和6年度エンゲージメント調査の結果とその結果を踏まえた取組について説明をしたいと思います。
公正取引委員会は、政府の方針にありますように、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、日本語でいいますと、証拠に基づく政策立案、の推進に取り組んでおりまして、これまでも、様々な取組を行っております。
本日説明する内容は、昨年度、令和6年度にEBPMの観点から実施いたしました、公正取引委員会事務総局職員を対象に行ったエンゲージメント調査とその結果を踏まえた取組についてです。
「エンゲージメント」とは、一般的に、「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」といった意味で用いられております。
まず、今回こちらを公表しました趣旨でありますけれども、昨今、国家公務員の職場環境が劣悪であるという趣旨の報道が散見されますし、公正取引委員会についても敷居が高いイメージ、職員や職場の実態が分かりにくいというイメージがあったりするかもしれないと我々は思っております。
そのような中、独占禁止法の執行等の重要な役割を担う公正取引委員会の職員のエンゲージメントについて、エビデンスに基づいて分析した結果を示し、課題や改善に向けた具体的な取組を明らかにして、組織としての透明性の向上を図ることは、公正取引委員会の活動に対する理解を深めていただけることにもつながると考えております。
また、公正取引委員会がより良い組織となっていくことで自由かつ公正な競争を一層促進することにつながっていくのではないかと考えております。
次に今回、公表いたしました内容のポイントを4点ほど申し上げますと、
・1点目は、霞が関の行政機関で本件のようにエンゲージメント調査の結果を含めて詳しく公表するのは、我々が調べる限りでは初めてです。
・2点目は、今回の調査によって、公正取引委員会の使命への共感、方針への納得感を得ている職員が7割を超えているといった職員の意識が明らかになった点であります。
・3点目は、今回の調査では、相関分析や重回帰分析といった統計的手法を用いて分析しておりまして、職員のエンゲージメントに影響を与えている要因が明らかになったことでございます。
・4点目は今回の調査の結果を踏まえた改善施策につきまして、幹部の間でも深く議論をいたしまして、幹部から職員に対して、各業務の方針等に関し、意義、重要性等の発信を強化するなどの職場の改善施策に取り組んでいくこととした点です。
最後に、公正取引委員会は令和7年度以降も組織改善のための取組を行い、また、引き続きエンゲージメント調査を行う予定でございまして、毎年、調査結果を踏まえた改善施策の検証、実施を繰り返し行うことで、組織パフォーマンスを最大化し、公正取引委員会としての役割を果たしていこうと考えております。
本件はEBPMの観点から人事施策を含めて調査したものですので、担当はEBPMを担当している官房総務課政策評価・立案係と、人事政策を担当している官房人事課人材戦略係になります。
質疑応答
(問) 今回のエンゲージメント調査は初めて行ったということでよいでしょうか。また、他の省庁でも過去に行われたことがあるかどうかについてお分かりでしたら教えてください。
(事務総長) エンゲージメント調査自体は今回が初めてではございません。「令和3年度における人事管理運営方針について(令和3年3月31日 内閣総理大臣決定)」というものがございますけれども、こちらにおきまして、内閣人事局と各府省庁などや人事院などが連携、協力いたしまして、職員のエンゲージメントに関する調査を実施する旨が盛り込まれたということを踏まえ、公正取引委員会では、令和3年度以降、毎年度、事務総局職員のエンゲージメント調査を実施しております。
エンゲージメント調査のノウハウを有している事業者に委託して、統計的手法を活用してエンゲージメントに影響を与えている要因を分析し、改善施策を検討したというのは今回が初めてということになります。
(問) それでは、改善策を検討したのは今回が初めてということでしょうか。
(事務総長) 外部の業者に委託をして、統計的に結果を分析し、そこまでかなり深く調査分析を行って改善施策を検討したというのは今回が初めていうことになります。
また他省庁につきましては、先ほど申し上げました「人事管理運営方針について」におきまして、調査を実施する旨が盛り込まれておりますので、他省庁においても同様の調査を実施しているものと承知しております。
(問) ただ、先ほどおっしゃっていたように公表はされていないので、例えば他省庁との比較などは難しいということでしょうか。
(事務総長) そうですね。今回行ったのはかなり深く調査分析をしているということもございまして、他のものと比べるのはなかなか難しいのかなと思っております。
(問) 公正取引委員会の調査というのは、他の省庁と違って自前でやるというのが特徴的だと思うのですが、今回委託したのは、さすがにこういったノウハウがなかったということでしょうか。
(事務総長) そうですね、今回の内容としては人事施策、あるいは人事管理といった専門分野の内容についての知見をかなり要するものでございますので、外部に委託をしているということになります。
(問) 先ほどポイントでおっしゃっていた「使命の共感をしている職員が7割を超えている」という点について、何か背景といいますか、なぜこの数字なのかという分析も行われているのでしょうか。
(事務総長) そういった背景までは必ずしも分析はしておりません。全体の傾向として行った調査になります。
(問) 事務総長御自身の受け止めといいますか、予想としては結構高い数字のように思いますが。
(事務総長) そうですね、ありがとうございます。公正取引委員会の事務総局は、競争政策の政策立案や関係法令の執行などを担う専門家集団ということでございまして、その使命は変わらないのですけれども、実際の業務は時代によって大きく変わっていくということかと思っております。そのため、私どもは変わらぬ存在意義、存在価値に安住することなく、常に問題意識を鋭く持って、一人一人の能力を高め、また、組織パフォーマンスの改善を目指すバージョンアップが必要不可欠だと私自身は考えております。
今回のエンゲージメント調査を始めるに当たりまして、私から事務総局職員に対しまして、直接バージョンアップをしていくためにアンケート調査に協力してほしいという旨を伝えましたが、9割を超える職員から回答があったということは、多くの職員が組織パフォーマンスを一層よくしていこうと考えていることの表れかなと考えております。
その上で、今回得られた調査結果、あるいは統計的手法を用いた分析を踏まえまして、今後の職場の改善施策に取り組んでいくこととしたのは、一層のバージョンアップを目指していくために、非常に有意義なものであったと考えております。
結果といたしましても、なかなか民間企業などと比べるというのは、全く同じ調査をすることができないということもありますので、簡単に比較することはできないと思いますけれども、7割という数字はそんなに低い数字ではないという感触の調査結果が出ております。
今後とも組織改善のための取組などを行うことで、組織パフォーマンスを最大化し、公正取引委員会としての役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。
(問) 昨日、Googleに対しての排除措置命令がありまして、会見でも巨大IT企業に対する初めての措置という発言がありました。この措置の受け止めと、スマホ新法も今年中に施行されるかと思いますが、併せて意味合いというものがもしありましたら教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 公正取引委員会といたしましては、競争上の問題が短期間かつ広範囲に生じやすいデジタル分野につきまして、これまでも積極的な取組を行ってきたところでございます。
今般、巨大IT企業に対して、初めて排除措置命令を行ったということについては非常に有意義であると考えております。また、本件排除措置命令によりまして、端末メーカーにとっての検索事業者の選択肢が広がり、検索事業者による端末メーカー向けの競争が回復、促進されるということから、端末メーカー等にとってのメリットがあると考えます。
昨今、生成AIの統合などで競争環境が変化をしているという中で、自由な競争を確保するということが非常に重要かなと思っております。さらに、検索事業者による競争の促進は、例えば競争事業者にとっての検索語句の数の増加による検索の質的向上につながるということも期待できるということもございますので、間接的に検索サービスを利用する消費者にとっても利益になると考えております。
今回の排除措置命令を行ったことで、審査手法などについても経験を蓄積できたということで、デジタル事案の審査にとって非常に大きな意義を有しているのではないかなと考えておりますし、また、今後、スマホソフトウェア競争促進法の施行に向けて、準備をしっかりと進めていき、引き続き、デジタル分野での取組をしっかりと行っていきたいと考えております。
(問) 今回初めて審査開始の公表をした案件であったと思いますが、改めて、1年半経って、昨日、出口がありました。本件を公表することで具体的にどのようなメリットがあったかというお考えがありましたら教えてください。
(事務総長) 一番最初、審査を着手した段階で公表するということで、いろいろな方々から注目していただいたということはあるかなと思っておりますし、そこで情報の提供を依頼するということで、皆さんにとっても、公正取引委員会に情報を提供しやすくなった、そういう環境もできたかなというふうに思っております。そういうことも含めまして、新たなやり方で今回、命令まできておりますので、これは非常に貴重な、競争当局としても非常に貴重な経験かなと思っております。
(問) 今回の事案って、前のアマゾンの事案の場合であれば非常に広い対象に呼び掛けるというのは効果的なのかなと思ったのですが、今回は、いわゆる端末メーカーという限られた会社であって、一般のユーザーとかの情報というのは、なかなか調査の中身として証拠になるのか少し不明なところが個人的にありました。今後、いわゆる情報提供を呼び掛けるという意味合いだけではなく、公正取引委員会として、どれも力を入れられていると思うのですが、ビッグテックといった大きな相手のときに、情報提供を求めるという趣旨ではなくて、単純に調査開始を公表するというパターンもあり得たりするものなのでしょうか。
(事務総長) 今回の措置も、確か令和4年であったと思いますが、デジタル分野についての取組の強化ということで、いわゆるステートメントというのを発表しており、それに基づいて行っているということですので、その方針に従って、今後ともやっていくことになっております。
以上