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平成22年4月21日付 事務総長定例会見記録

平成22年4月21日付 事務総長定例会見記録

[発言事項]

事務総長会見記録(平成22年4月21日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

消費者向けの広報について

 (事務総長) 本日は,消費者向けの広報に関しましてお話をさせていただきたいと思います。
 お手元に1枚紙と別紙の1,2,3の3種類のパワーポイント資料をお配りしていると思いますが,それらの資料に沿ってお話をさせていただきます。
 独占禁止法の目的は,第1条に記載されていますが,「公正かつ自由な競争を促進」することが直接の目的でありまして,それによって「一般消費者の利益を確保する」,「国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ことが究極の目的であると言われております。消費者が良質・廉価で,多様な商品・サービスを選択できることが重要でありまして,これは事業者間の公正かつ自由な競争を確保することによって達成されるものであります。
 公正取引委員会は,カルテル,談合などの不当な取引制限や不公正な取引方法を規制し,公正かつ自由な競争を促進することによって消費者の利益の確保を図っているわけであります。具体的には,例えば,価格カルテル等が行われれば,消費者は高い商品・サービスの購入を強いられ,消費者の利益が損なわれるわけであります。以前にも発表させていただいておりますが,平成21年度の政策評価におきまして,公正取引委員会がカルテル,談合などの違反行為に対処した分野では,平成20年度におきましては約4000億円の消費者利益の保護につながっているという推計を行っているわけであります。
 そのようなことから,「消費者向けの広報活動の在り方」という1枚紙のペーパーに記載がありますように,公正取引委員会の活動によりまして,消費者の方々に公正取引委員会の役割を理解していただければ,いろいろな効果が生じるであろうと考えております。一番下に「一般消費者向け広報の意義」と書かせていただいておりますが,一つは「自衛効果」,違反行為を見つけて公正取引委員会に措置を求める,申告をするといった効果が期待できるわけであります。それから,「牽制効果」,消費者が消費行動を通じて違反行為を行うような企業の商品の購入を控えるといったことも含めて効果が生じると考えられます。それから,「予防効果」,これは,消費者自身も企業の従業員であったり,家族がそういうところに勤めていることもありますから,そういう場合に違反行為の実行を差し控えるということにつながっていくという効果等も期待できると考えているところであります。
 公正取引委員会としましては,消費者の利益につながっている独占禁止法,あるいは公正取引委員会の活動状況を消費者に理解していただきたいことから,別紙1にまとめさせていただいているような各種広報活動を行っているわけでありますが,別紙1の資料は,以前も,公正取引委員会の広報の取組全般ということで御説明していると思いますので,詳しくは省略させていただきますが,具体的には,情報発信,各種広報資料の作成・配布,あるいはウェブサイトにいろいろな公正取引委員会の活動状況等を掲載したり,こうしてお話しさせていただいている事務総長定例会見も掲載していること,あるいは学校教育を通じての普及啓発というようなこと等を記載させていただいております。
 御案内のとおり,昨年9月に消費者庁が設立されまして,公正取引委員会から消費者庁に景品表示法が移管されたわけでありますが,こうしたこともございまして,昨年10月から今年3月にかけまして,現在,我々が行っている広報活動についての評価,あるいは今後の在り方について,消費者団体,独占禁止政策協力委員からヒアリング調査を実施し,また,一般国民1000人を対象としたウェブアンケート調査も実施いたしました。その結果を別紙2に取りまとめております。
 いくつかのポイントを御紹介しますと,景品表示法は消費者にとっても身近な法律であったわけでありますが,独占禁止法自体は,よく分からない,あるいは難しいというイメージがある。また,従来の公正取引委員会の消費者向けの広報は,景品表示法の説明等に偏っていたのではないか。今後は独占禁止法自身が一般消費者の利益の確保に寄与しているということを分かりやすく説明し,理解を深めるような広報活動を実施すべきではないか,といった御指摘がありました。
 また,公正取引委員会のウェブサイトは,専門家向け,企業の法務担当や学者向けの情報としては充実しているかもしれないが,広く一般消費者から見れば,やはりなかなか難しいので消費者向け,子供向けのコンテンツを充実したらどうか,中学生,高校生,大学生といったような学生向けの独占禁止法教室については,非常に有意義であるから,それを全国各地で積極的に開催すべきではないか,そのほか,一般消費者向けのセミナーや消費者向けのいろいろな広報イベントも積極的に開催したらどうか,といった御意見もいただいたところであります。
 そういった状況を別紙2に記載させていただいておりますが,そういった御意見,御要望も踏まえ,今後の取組につきまして,消費者向け等の広報を今後こういう方向で実施していきたいという取組を別紙3にまとめさせていただきました。
 第1が公正取引委員会の活動が国民の暮らしにどう結びついているのか,どうつながっているのかということを分かりやすく説明するということで,消費者向け,子供向けの新しいコンテンツを公正取引委員会のウェブサイトに本日付けで公開しております。
 消費者向けのコンテンツは,「私たちの暮らしと独占禁止法の関わり」として,安くて良い商品が買える理由であるとか,こんなことが起きると暮らしがあぶない,あるいは企業のルール違反にイエローカード,これまでどんな事件があったのかという構成で,競争の必要性,独占禁止法の規制内容,公正取引委員会の役割について紹介しております。子供向けのコンテンツに関しましては,マンガで楽しく理解できるような形になっておりますし,このほかクイズに回答することもできるようになっております。
 それから,独占禁止法の違反事件につきましても,なるべく写真やイラスト等を活用して,分かりやすく説明していこうと考えております。文章だけではどうしても堅苦しくて,なかなか読みにくいという御指摘もありますので,視覚的に独占禁止法の違反行為が理解できるようにコンテンツの充実を図っていきたいと考えております。こうしたことが1つ目の取組ということであります。
 それから,将来,我が国を担っていただく若い学生,生徒の方たちに公正取引委員会の活動に接していただこうということで,従前から取り組んでおりました独占禁止法教室,公正取引委員会の職員を派遣して出前授業を行うというものでありますが,こういったことも積極的に開催していこうということ,生徒向けの公正取引委員会の庁舎見学ツアーも積極的に受け付けていこうということも考えております。
 昨年,独占禁止法教室は,全国各ブロックで47回,中学校が26回で一番多いのですが,大学で19回,高校でも2回開催しておりまして,こうした生徒向けの活動のほか,庁舎見学ツアーなども4回ほど実施しておりまして,本年度も昨年以上の実績を上げていきたいと考えております。また,この別紙3では,どのような形で独占禁止法教室を開催しているのか,全国のどういう地域で開催しているのかということの資料等も付けております。
 その次に,消費者が気軽に参加できる,対話型,参加型イベントを開催したらどうかという御要望,御指摘もあったわけでありますが,そういったことに対応するため,消費者が参加しながら独占禁止法を学べるセミナー,あるいは消費者団体が主催するセミナーに公正取引委員会の職員を派遣するといったことを通じて,独占禁止法に対しての一般消費者の理解を深めていきたいと考えており,また,そういった消費者との意見交換を通じまして,それを私どもの競争政策にも反映させていきたいと考えております。
 この別紙3の9ページ目では,「一日公正取引委員会」,これは公正取引委員会の広報活動や講演会等を特定の地域でまとめて実施するというものでありまして,お手元の資料では,今年の2月に開催した九州事務所での一日出張事務所,これは佐賀市で開催したわけでありますが,今年度は,長野市と宮崎市のほか,他の地域でも開催を予定しておりまして,こういったものを今後,消費者の参加型のイベントとして開催していきたいと考えております。
 このような公正取引委員会の各種広報活動につきましては,公正取引委員会の活動というのは専門的で難しいといいますか,なかなか理解していただけないということもあると思いますので,効率的な情報発信に努めてまいりたいということで,現在行っておりますホームページや事務総長定例記者会見,メールマガジン等の広報手段を活用して,情報発信を充実・強化する,マスメディアの取材活動に対しましても情報発信を充実していく,あるいは,各地方紙や地方自治体,消費者団体の広報誌,そういったものも活用して情報発信を充実していくというようなことに努めていければと思っております。
 いずれにしましても,消費者のニーズを踏まえて実施していくことが必要であろうと思っておりますので,今後ともいろいろなイベントを開催する時には,アンケート調査等も実施したいと思っておりますし,それも踏まえまして,広報活動の改善も図っていきたいと思っております。一般的な広報活動についての御意見,御要望等がございましたら,公正取引委員会のウェブサイトに寄せていただければと考えております。
 私からは以上であります。

[質疑応答]

 (問) 総務省の作業部会の方で,ブロードバンド市場について,NTTの光通信,光インフラ事業を分離した方がいいという要望がほかの通信会社から出ているのですが,この件について,競争政策的な観点からお考えがあったらお聞きしたいのですが。

 (事務総長) 公正取引委員会は,従前から,情報通信の分野については,公正かつ自由な競争が行われることが望ましいという見解を述べたり,あるいは独占禁止法違反事件があれば,厳正に対処するということで取り組んできているわけであります。そういう面で,各方面からいろいろな御意見が出て,制度設計についての御議論が行われていると思いますので,そうした状況の推移を見守っていきたいというところであり,具体的に今,何かこうあるべきであるというような見解を公正取引委員会として持っているということではありません。

 (問) 現状については,特に問題はないと考えられているということでしょうか。

 (事務総長) いろいろな御意見があると思いますから,そういう御意見も踏まえて,どのような制度設計の議論が進んでいくのかということについて,関心を持って見守っていきたいという状況であります。

 (問) マンガを作られたという話ですが,子供をターゲットにしたのはなぜかということと,要するに,子供たちに何を理解してほしいのかというお考えがあればそれをお聞きしたいのですが。

 (事務総長) 子供向けのコンテンツを作成した意味ということですが,学生向け,中学生,高校生向けの独占禁止法教室もそうですが,すべての国民の方が,いずれ消費者として,競争政策のいろいろなメリットを御理解していただくことが重要であろうと考えておりまして,そういう面では若いうちから,競争の意義や公正取引委員会の役割を御理解いただきたいと考えており,難しい言葉で説明するよりはマンガ等で,競争のメリットがあるということ,一般の国民にとってみて,安くて良質な商品の提供が受けられるというメリットがあるということを理解していただくということは意味があると思っております。そういう面では,どうしても固くなってしまう経済学や市場メカニズムというものを簡単に分かりやすく理解していただくには,どういう形がいいか検討した結果,このようなマンガ形式の子供向けのコンテンツも有用ではないかと考えております。

 (問) このようなコンテンツとしてはマンガは初めてですか。

 (事務総長) いいえ。以前もキッズ向けにこういうコンテンツを作っておりまして,今回,それを少し新しくリバイスをしたということになります。

 (問) この独占禁止法教室というのは,平成18年から数字が出ていますが,平成18年から始まったものと理解してよろしいですか。

 (事務総長) 平成14年度からです。別紙3の7ページに各地区での開催実績を記載させていただいており,ここでは平成14年度から21年度の累計の数字を記載させていただいております。平成18年度以前については詳しく数字が出ていませんが,平成14年度,15年度,16年度,17年度も開催しております。

 (問) 今年の開催目標などは決まっていますか。

 (事務総長) 昨年度,平成21年度が47回ということですから,それを上回る回数ができればということで50回程度以上できればということになると思います。

 (問) もう1つ,庁舎見学ツアーと一日公正取引委員会というのは,これも従来からやっていましたよね。そういう理解でよろしいですか。

 (事務総長) そうですね。庁舎見学ツアーの方は昨年度4回ほど行いました。以前はそれほど多くなかったと思います。それから一日公正取引委員会,出張事務所みたいなものですが,これも実施している事務所もあれば,今まで実施していなかった事務所もありますので,なるべく,こういうものもいろいろなところで実施して増やしていければと考えております。

 以上

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