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平成22年10月20日付 事務総長定例会見記録

平成22年10月20日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成22年10月20日(水曜)13時30分~於 官房第1会議室)

 [発言事項]

地方有識者との懇談会について

 (事務総長) 1点目は,来週の10月25日の週と,11月8日の週に全国各地で開催することとしております公正取引委員会と地方有識者との懇談会及び講演会についてであります。 この地方有識者との懇談会でありますが,各地域の経済団体や消費者団体,学識経験者の代表の方々に御出席をいただきまして,それらの方々に競争政策についての御理解を深めていただき,その地域の実情や競争政策,公正取引委員会に対しての御意見,御要望を承リ,競争政策の運営の参考にさせていただくということで,昭和47年以降,毎年この時期に開催しているものであります。
 今年は,札幌市,青森市,千葉市,新潟市,金沢市,京都市,松江市,松山市,鹿児島市という全国の9都市で公正取引委員会の委員や私が各地に出向きまして開催いたします。
 この懇談会の開催に合わせまして,一般の方々を対象とする講演会も開催することとしております。この講演会は,「公正な経済社会の実現と公正取引委員会の役割」と題しまして,公正取引委員会の最近の取組や課題につきまして御説明をしたいと思っております。
 この講演会につきましては,現在,各地で参加者の募集を行っておりますので,参加を希望される方は,最寄りの公正取引委員会又は地方事務所,支所にお申し込みいただければと思います。多数の方々に御参加していただければと思っております。

「下請取引適正化推進月間」について

 (事務総長) 下請取引の適正化のためには,下請法違反行為についての取締りを強化するということと併せまして,違反行為の未然防止を図るということも極めて重要であると考えております。
 このため,公正取引委員会は,中小企業庁と共同して毎年11月を下請取引適正化推進月間として,普及啓発活動を集中的に行っております。
 この推進月間では,キャンペーン標語を毎年作っているわけでありますが,今年度は,「いつも作って発注書! いつも守って下請法!」をキャンペーンの標語にしておりまして,中小企業庁と分担いたしまして全国47都道府県,58会場におきまして,下請法に関しての講習会を開催することによって,下請法の周知徹底を図ることを考えております。また,都道府県と商工会議所,商工会などの各種団体に対しても推進月間の広報の協力を依頼することとしております。
 公正取引委員会といたしましては,昨今の経済環境におきまして,下請事業者が依然として厳しい対応を迫られているという状況も踏まえまして,推進月間における下請法の普及啓発事業に取り組んでまいりたいと考えているところであります。
 公正取引委員会は,この月間に独自の事業といたしまして,下請事業者のみならず,優越的地位の濫用といった行為が見受けられる大規模小売業者と納入業者や荷主と取引をしている物流事業者という方からの要望にも応じまして,当該中小企業者の所在する地域に公正取引委員会の職員が出向いて下請法や独占禁止法上の優越的地位の濫用規定について御説明し,相談を受付ける移動相談会を開催したいと思っております。
 また,下請法や独占禁止法違反行為が従来から見られた業種や,その関連のところには,下請法や優越的地位の濫用規制についての業種ごとの実態に即したわかりやすい具体例を用いることによって説明を行う業種別の講習会を開催することによりまして,一層の法令遵守を促してまいりたいと考えております。
 下請法については,毎年定期的に親事業者,下請事業者に調査票を発送して,違反情報の端緒収集活動を行っておりますが,今年度は,特に過去に違反が多く見られました道路貨物運送事業や自動車小売業,機械器具製造業というもの,また,最近,特に円高等の影響を強く受けているという電気機械器具製造業や輸送用機械器具製造業,この5業種を重点監視対象に指定しまして,親事業者と取引のある下請事業者への書面調査を増やしておりまして,積極的に違反事件の発掘に努めてまいりたいと考えているところであります。

 [質疑応答]

 (問) インターネットの検索のヤフー,グーグルの提携に関して,楽天が独占禁止法の疑いがあるとして公正取引委員会に異議を申し立てると聞いていますが,それについて御見解と今後の処理の方法について教えてください。

 (事務総長) まず,独禁法に違反するのではないかという申告に関しましては,当事会社が申告の事実を認めていますから,そのような事実はありましたが,当該案件は,個別案件にかかわる話ですので,それを事件として,どのように取り上げていくかということについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ヤフー,グーグルの問題につきましては,事前相談があって,公正取引委員会が回答した経緯等についても御説明していますので,その点も含めてお話をさせていただければと思います。
 ヤフー・ジャパンがグーグルから検索エンジン等の技術提供を受けるということについての独占禁止法の事前相談がありました。これに関しまして公正取引委員会で検討いたしまして,ヤフー・ジャパンが自分では検索エンジン等の開発を行っておらず,これまでは米国のヤフー・インクから検索エンジン等の提供を受けていたわけでありますが,ヤフー・インクから検索エンジン等の提供を受けることができなくなったということで,新たな検索エンジンの提供を受ける先としてグーグルが最適なものとして選んだということがまず1つあります。
 それと併せまして,事前相談の過程において,検索エンジン等の提供を受けた後においても,インターネット検索サービスなり,検索連動型広告の運営については,それぞれ独自に行っていくということで,広告の募集,広告主の情報,入札価格等については完全に分離して保持して,それぞれが独立して競争を行っていくという御説明がありまして,そのような相談者の御説明を前提とすれば,直ちに独占禁止法上の問題とはならないでしょうということを回答したということで,これは7月末でしたが,この場においても御説明したとおりであります。
 その後,各方面からいろいろな御指摘,御意見等が寄せられておりまして,今回の楽天の申告もそのようなものの一環かと思うわけでありますが,この点につきまして,公正取引委員会として現状どうなっているか,また,今後の取組についてお尋ねでありますが,9月上旬に,衆議院の経済産業委員会で公正取引委員会に同様の御質問がございまして,公正取引委員会の竹島委員長が,その点について答弁させていただいております。基本的には,私どもの考え方としては,当事会社からの御説明を前提とすれば問題とならないだろうということでありますが,当事会社の御説明の事実がそのとおりになっていくかどうかという問題や今回の御相談とは別に反競争的な行為,競争者を排除するとか,協調的な行為が行われるというようなことがあれば,それは前提が異なってまいりますので,そのようなことが起きるか起きないかということも含め,十分にウオッチ,監視をしていきたいということをお話させていただいたというわけであります。
 現時点においても,そういう状況で,いろいろな情報収集を行いフォローしているといったところであります。今後,それがどのような形になっていくかということは,このような作業の結果如何によるということになろうと思います。

 (問) 従来,公正取引委員会が事前相談で了解した案件で,このように異議が出てくるケースというのはよくあることですか,それとも珍しいことでしょうか。

 (事務総長) 全くなかったとは思いませんが,今回,非常に各方面からの関心が高く,御意見が寄せられているということでは,比較的珍しいケースかと思います。

 (問) 先ほど事務総長は,情報収集していくとおっしゃいましたが,それは楽天や,一部報道にもあるように,8月にはアメリカのマイクロソフトもそのような申告をしているということですが,そのようなことを受けてということでしょうか。

 (事務総長) 各方面から,いろいろな御意見や情報提供ということもありますし,独占禁止法違反するのではないかという申告ということもあると思うのですが,そのようないろいろな御意見や情報提供も含めて情報収集をしているということであります。

 (問) ちなみに,今,私が質問で申し上げたマイクロソフトからの申告というのはあったのでしょうか。

 (事務総長) これは当事会社との関係もありますので,一般的にいろいろ御意見が出ているということはありますが,私どもが具体的にどういうことをしたとか,どういう接触をしたかということは個別事案にかかわる話ですのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 (問) 海外の関係で,グーグルがやはり検索と検索広告両方で独占してしまうというような意見も出ているのですが,その辺に関してはどのように考えているのでしょうか。

 (事務総長) 今回の事前相談というのは,日本国内における検索連動型広告の事業において検索エンジン自身の提供は受けるが,検索連動型広告関連事業としてはそれぞれ独立して行っていくという御説明を前提としてということでありますから,ヤフー・ジャパンはヤフー・ジャパンとしてカスタマイズして独自のものとして事業を行っていくという御説明がそのとおりになっていくのかどうかということも含めて,当事会社からもお話を聞くことはあると思いますし,そのような面でのいろいろな情報収集を行って,各方面から出されている懸念が現実のものとなるのかどうかということも含めて,フォロー,監視をしているという状況であります。

 (問) これは手続の問題になるのでしょうか。異議申立てを今回受けたとして,例えば何日以内に結論を出すというのはあるのでしょうか。

 (事務総長) 独占禁止法に違反する事実があるのではないかということは何人たりとも公正取引委員会に申告することができるということが独占禁止法45条に規定されておりまして,今回もその規定に基づく申告が行われたということだと思います。そのような情報を踏まえて,公正取引委員会として必要性があれば事件として調査をするということもありますし,事件の調査に至らないということもありますが,結論を出す期限について,具体的に一定の期限が決められているというものではありません。

 (問) 期限ではなくて,回答しなければならないという位置付けになっているのですか。

 (事務総長) 書面によって申告がされた場合には,事件として調査をし,事件としての結果が出る,あるいは調査をしないならしないということも含めて,当事会社に対しては回答するということになっています。

 (問) 期限は特に設けられていない。

 (事務総長) そうです。

 (問) 話が変わりますが,BHPとリオの話が先週の会見から今日までの間に統合を断念ということがあったのですが,これについての受けとめをお聞かせいただけますか。

 (事務総長) お尋ねは,BHPとリオ・ティントのジョイントベンチャーの設立計画という事案について,当事会社が断念をしたということについての公正取引委員会としての見解を聞きたいということでしょうか。

 (問) そうです。

 (事務総長) 事実関係は,前にも何回かお話したとおりでして,今年の1月に事前相談の申し出がありまして,私どもとしても事前相談として審査を進めていたということで,6月に第1次審査,7月に第2次審査に入りまして検討を進めていたところであります。
 先週もこの場で申し上げたかと思いますが,9月27日に独占禁止法上の問題になるおそれがあるという指摘を行ったのでありますが,それは,それまでの中間的といいますか,問題点の指摘ということでありますから,当事会社がそれについての反論,新たな資料の提供,事実関係について御主張を根拠づけるようなものが出されれば,それを検討した上で最終的な判断になっていくということだったところであります。
 そのような中で,今回,当事会社が統合を断念する,ジョイントベンチャーの設立計画を断念されるということを公表されまして,それを踏まえて私どもとしても,今回の事前相談を中止するということにしたところであります。
公正取引委員会としては,これは当事会社が御判断されたことですので,どのように見解を述べるかということになりますが,当事会社の御判断ということに尽きるわけでありますけれども,公正取引委員会としては,やはりこれだけ大きな影響が出る企業結合事案について,我々もそれなりのリソースをかけて審査を行い,中間的な段階とはいえ,一定の考え方や問題点の指摘を行うまでの材料を含めて御説明を行ったということでありますので,このようなことを含めて今後とも企業結合審査に当たりましては,この海外事案に限らず,国内事案もそうですが,引き続き厳正に対処していくということで,必要があれば,このような問題点の指摘や,改善指導を含めて行っていくことが必要なのだろうと考えているところであります。

 (問) 今回の件というのは,最終的な決定まで至る前の段階で終わったということですが,途中段階で指摘された独占禁止法上問題があると指摘されたということが,今後,同じような事案があった場合に,前例のような形になるという理解でよいのでしょうか。最終決定の形までいっていれば,確定というところがあると思うのですが,今後,同じような案件が起きた場合に,どうするのか。

 (事務総長) それはケース・バイ・ケースということだろうと思います。案件によって,当事会社に対して,そのような問題点の指摘を行うことというのは,今後ともあり得るケースかと思いますが,この企業結合規制全般に関しましては,現在,見直し作業を行うことになっておりまして,これは6月18日に閣議決定されました「新成長戦略」や9月10日に閣議決定されました「新成長戦略実現に向けての3段構えの経済対策」におきましても,現在の企業結合規制について,8月に行いました検証作業などの結果も踏まえて,平成22年度中に所要の措置を講ずるということが閣議決定されておりまして,このようなことを踏まえて,現在,見直し作業についての検討を進めているところであります。その中でも,今言った点も含め,どのようにして公正取引委員会としての企業結合審査を進めていくのかという作業を,今,進めているところでありますから,見直し作業の中で,今の御指摘の点も含めて考えていくことになるだろうと思っております。

 (問) 通常,最後まで結論を出された場合は,審査結果を公表していますね。

 (事務総長) はい。

 (問) 今回は,途中で中断,中止になったということで公表はされないという御予定ですか。

 (事務総長) これはいろいろなケースがありまして,公正取引委員会では,企業結合審査の透明性,予見可能性を高めていくという観点から,ガイドラインを作り,事前相談制度も設けているわけでありますが,併せまして主要な企業結合の事例集というものを毎年公表させていただいておりまして,年間10件前後でありますが,どのような事例があったか,どのように公正取引委員会が判断したのかということを公表させていただいているわけであります。その事例集の中には,私どもが問題なしとして認めた事例や問題点を指摘して,問題解消措置を採っていただいて認めた事例,公正取引委員会が問題点の指摘を行っている中で当事会社が企業結合を断念した事例等も含まれております。したがって,BHP,リオ・ティントの統合事案も,その事例集に記載ができるような状況になるかどうかということであります。
 これは,当事会社に,記載してよいかということについての確認もある程度とった上で,従前記載していることもありますので,何でも出せるというものではないのですが,企業結合事例集において,いろいろ公表して,企業結合審査の透明性を高めていくということも必要だろうと思っておりますので,そういう面である程度,一定の時期が来れば,企業結合の審査の状況や判断要素を御説明するということもあろうと思います。

 (問) 公正取引委員会としては,できるだけ透明性を高めるという観点からも公表はしたいと思っているが,当事会社の了解も必要ということで,今の段階ではそういう捉え方でいいですか。

 (事務総長) そうです。あくまで現時点においては,最終的な結論を出したわけではない段階で,当事会社が途中で断念をされたという事案でありますから,どの程度まで判断の過程を公表できるかということで,いろいろな結合審査においての途中過程の問題というのは,当事会社の企業秘密にかかわるようなものも入ってくるかも知れませんので,一方的に公正取引委員会だけの判断で出すというわけにはいかない部分もあろうと思います。

 (問) 先ほどの質問に戻りますが,グーグルとヤフーの関係ですが,これは楽天が出してきた申告書というのは,あくまでも異議を申し立てるというものではなくて,公取委に調査を改めて求める,どのように理解すればよいのですか。申告書の意味ですが。

 (事務総長) 申告書というのは,独占禁止法に違反する事実があると思料して,独占禁止法に違反する事実があれば,公正取引委員会に一定の措置なり,法的措置などを講じることを求めるというのが,一般的な独占禁止法違反事件に関しての申告というものでありますから,そのようなパターンに入ってくるものだろうと思います。
 ただ,具体的にどういう内容についての御申告があったかどうかということについては,これはお答えしないことになっておりますので,御理解いただきたいと思います。

以上

 配布資料:(1)地方有識者との懇談会及び地方講演会の開催について(公表文:添付省略)
 配布資料:(2)新潟地区における有識者との懇談会及び講演会の開催について(公表資料:添付省略)
 配布資料:(3)「下請取引適正化推進月間」の開催について(公表資料:添付省略)

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