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平成24年2月22日付 事務総長定例会見記録

平成24年2月22日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。平成22(行ヒ)第278号審決取消請求事件判決(写し)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成24年2月22日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

多摩の談合事件に係る審決取消請求訴訟について

 (事務総長)
 本日は,多摩の談合事件に係る審決取消請求訴訟につきまして,今週の2月20日,最高裁判所において判決がありました。いわゆる入札談合の事案におきまして最高裁判所の判断が示されたのは初めてですので,判決について御紹介したいと思います。
 この審決取消請求訴訟は,多摩地区において公共下水道の建設等を行う法人であります財団法人東京都新都市建設公社が発注する土木工事の入札談合につきまして,公正取引委員会が平成20年7月24日付けで大成建設株式会社ほか33名に対して行った審決に係るものです。
 審決により課徴金の納付を命じた者は30社ですが,このうち25社が審決取消請求訴訟を提起し,東京高等裁判所におきまして5つの裁判体に分かれて審理がされました。
 このうち4つにつきましては原告らの請求が棄却されましたが,1つにつきましては平成22年3月19日,原告らの請求を認容し,審決を取り消す判決が行われました。
 この判決につきましては,平成22年4月2日,当委員会は上告受理申立を行っておりましたが,昨年11月17日,最高裁判所におきまして,上告審として受理する決定がなされ,本年2月20日,原判決を破棄する最高裁判所の判決が行われました。
 原審の判断は,

  •  公正取引委員会が審決において認定する本件基本合意の程度の共通認識を建設業者らが有していたことをもって直ちに自由で自主的な営業活動上の意思決定を将来にわたって拘束するほどの合意の成立があったと断ずることはできない。
  •  また,当委員会が審決において認定する本件個別工事に係る事実をもって競争が実質的に制限されたと断ずるには論理の飛躍があり,更に建設業者が自由で自主的な営業活動を行うことを停止され又は排除されたというような,その結果競争が実質的に減少したと評価できるだけの事実までを認定するに足りる証拠はなく,かえって本件個別工事のいずれの受注においても本件における取引分野で予定されている競争は正常に行われたと評するのが相当とさえいうことができる。

として,本件工事の受注において独占禁止法第2条第6項所定の「不当な取引制限」があったとの事実を認定するに足りる実質的な証拠があるとはいえないとして,本件審決のうち被上告人らに対して課徴金の納付を命じた部分を取り消しました。
 これに対しまして最高裁判所は,

  •  入札参加業者又は入札参加JVのメインとなった各社は,本来的には自由に入札価格を決めることができるはずのところを,このような取決めがされたときは,これに制約されて意思決定を行うことになるという意味において,各社の事業活動が事実上拘束される結果となることは明らかであるから,本件基本合意は独占禁止法第2条第6項にいう「その事業活動を拘束し」の要件を充足するものということができ,本件基本合意の成立により,各社の間に,上記の取決めに基づいた行動をとることを互いに認識し認容して歩調を合わせるという意思の連絡が形成されたものといえるから,本件基本合意は,同項にいう「共同して…相互に」の要件も充足するものということができる。
  •  独占禁止法の目的等に鑑みると,同法第2条第6項にいう「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」とは,当該取引に係る市場が有する競争機能を損なうことをいい,本件基本合意のような一定の入札市場における受注調整の基本的な方法や手順等を取り決める行為によって競争制限が行われる場合には,当該取決めによって,その当事者である事業者らがその意思で当該入札市場における落札者及び落札価格をある程度自由に左右することができる状態をもたらすことをいうものと解される。

などとして,原判決を破棄し,被上告人らの請求をいずれも棄却いたしました。
 なお,原告らの請求を棄却いたしました他の4つの判決につきまして,9社が上告等を行っておりましたが,同じ2月20日,上告の棄却及び上告審として受理しないという最高裁判所の決定がなされましたので,いわゆる多摩談合事件に係る審決につきましては,全て確定いたしました。
 今回の最高裁判所の判決は,従来の判決等でも是認されてきました当委員会の運用が確認されたものと理解しておりまして,その意味で重要な判決と考えております。
 当委員会としては,今後とも独占禁止法の厳正かつ適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 今回,最高裁の判例になるということですが,新たな判例のポイントはあるのでしょうか。新たな判例のポイントがありましたら教えていただければと思います。

 (事務総長) 従来の高裁等の判決で認められてまいりました当委員会の運用が確認されたものと考えており,そういった意味で,最高裁の判決ですので,重要な判決だと考えております。

 以上

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