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平成25年1月9日付 事務総長定例会見記録

平成25年1月9日付 事務総長定例会見記録

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成25年1月9日(水曜)13時30分~ 於 官房第1会議室)

公正取引委員会の本年の取組の課題について

 (事務総長)
 新しい年を迎えましたが,本年もよろしくお願い申し上げます。
 本年初めての会見ということですので,私からは,公正取引委員会の本年の取組の課題についてお話ししたいと思います。
 1つ目は,インパクトのある事件審査を通じて違反行為を抑止していくことであります。
 昨年の1年間,全国の各地におきまして,有識者の方々といろいろな形でお目にかかる機会があり,そこで御意見や御指摘をいろいろ伺いましたが,国民生活に影響の大きい価格カルテルや入札談合に対しては厳正な法執行を進めるべきであるとのお考えを多くの方々から伺いました。
 本年におきましても,引き続きインパクトのある事件審査を進めまして,違反行為の抑止に努めていきたいと考えております。

 2つ目は,ルールある競争社会の推進についてであります。
 昨今の経済情勢の下で,とりわけ中小事業者や下請事業者の方々は厳しい経済の取引環境にあると考えられ,不当にしわ寄せを受けるようなことがないようにしなければならないと思っております。今,申し上げました全国各地の有識者の方々とお会いした際も,取引の公正化に向けての公正取引委員会の取組に対して,強い期待を感じました。公正取引委員会の窓口となる地方事務所等は,沖縄を含めまして全国8カ所のブロック機関しか置かれていないため,どうしても各地域の中小事業者の方々との接点が身近なものとはなっておりません。こうしたことから,全国で約150名の中小事業者等の方々に「下請取引等改善協力委員」をお願いし,また,全国に約2400あります商工会議所・商工会との「独占禁止法相談ネットワーク」というものを作りまして,公正取引委員会との橋渡し役をお願いしているところですけれども,地域の中小事業者の方々にとって,公正取引委員会がより身近な存在と感じていただけるように取り組んでいきたいと考えております。
 また,本年は,来年の4月に消費税率の引き上げが予定されておりますことから,税制抜本改革法を踏まえまして,消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保を図るという観点から,消費税の転嫁拒否といった行為によって中小事業者の方々が不当にしわ寄せを受けることがないように取組を進めていきたいと考えております。

 3つ目は,企業のコンプライアンスの推進についてであります。
 公正取引委員会は,独占禁止法の厳正で積極的な執行と,独占禁止法のコンプライアンスに関する企業の取組の支援・唱導活動を「車の両輪」と捉えて,企業における独占禁止法コンプライアンスの取組の推進に取り組んできております。
 アメリカやEUにおきましては,カルテル,入札談合等の競争制限行為に対して厳罰化の傾向が強まっておりまして,昨年も日本企業が関与した事件が多く見られたところです。企業においては,独占禁止法・競争法の違反行為に対する国内外のダメージコストというものを念頭に置いて,海外のグループ会社を含めまして,コンプライアンスへの取組を進めていってもらいたいと考えているところです。

 4つ目は,各界とのコミュニケーションの充実であります。
 企業結合に関しましては,審査手続きに関する対応方針におきまして,届出会社と公正取引委員会との意思疎通を密にすることは,迅速かつ透明性の高い企業結合審査を可能とし,届出会社と公正取引委員会の双方にとって有益と考えられるということを明らかにしているところですけれども,経済界,消費者,弁護士,報道関係の方々等,各界の方々との意思疎通を密にして,コミュニケーションを充実していくということは,日頃の公正取引委員会の仕事を進めるに当たってはもちろんのこと,公正かつ自由な競争についてのルールの重要性を,企業や消費者,国民の方々に一層ご理解いただく上でも大切だと考えておりまして,広報・広聴活動の充実も含めまして,今後とも努力してまいりたいと考えております。

 最後に5つ目は,国際的な競争当局間の協力関係の強化についてであります。
 経済のグローバル化を背景に,国際的なカルテル事件や国際的な企業結合案件について,複数の国の競争当局が同一の案件について同時期に調査・検討を行うという事案が増加しております。そうした中で,円滑に情報交換を行う等,実質的な協力をより体系的に行う必要性が増しております。
 特に米国やEUとは,個別の案件について協力が必要となる場面が増えていますが,協力を進めていく上では,お互いの国や地域の制度や仕事の進め方についての知識というものが欠かせません。この点に関しまして,米国の司法省は,外国の競争当局の担当官向けに,新しく審査官研修プログラムというものを設けまして,昨年には公正取引委員会の職員がEUの競争当局に続きます2番目として,今申し上げた,審査官研修プログラムの研修に参加しておりますけれども,欧米の競争当局と一層深化した形での協力関係の構築というものに努めていきたいと考えております。
 私からは以上です。

 [質疑応答]

 (問) 最初に,総長がインパクトのある事件審査をやっていきたいという話をされましたが,インパクトのある事件審査というものは,もう少し何か具体的にこういったものをイメージしているというのがあれば教えていただけますでしょうか。

 (事務総長) インパクトのある事件というのは,やはり具体的に申し上げれば,大型のカルテル事件や入札談合事件,特に入札談合事件に関しては,官製談合事案というのはあってはならない行為ですので,こうした事案については積極的に取り組んで,迅速に結果を得るように努めていきたいと考えております。また,世界的にみますと,知的財産の重要性が非常に高まっていまして,知財をめぐっての事件が取り上げられておりますけれども,やはりそういった先端的な分野の事件についても,端緒に接した場合には,これを迅速に取り上げて審査を進めていきたいと考えております。インパクトのある事件を具体的に申し上げるとそういった分野が念頭にあります。

 (問) もう1点ですが,知財の点で,例えば世界的にみると,今こういったものがあるというのがあれば教えていただきたいのですが。

 (事務総長) 最近でもアメリカのFTC,連邦取引委員会が,グーグルについての調査をずっと進めておりまして,最近結論が出たという報道がされておりますけれども,ヨーロッパも含めますと,携帯電話などの分野での特許に絡むものが競争法上問題になるかどうかといった事例がいろいろ取り上げられております。

 (問) 年末に政権が変わりましたが,政権が変わったことに対する期待や要望をお願いします。

 (事務総長) 公正取引委員会の仕事は,独占禁止法の運用ということで,特に中立性,公正性が重要だと思っておりますので,そういった意味で独占禁止法の運用の観点から,政権交代によって公正取引委員会の仕事が,独禁法の運用の基本が変わるわけではないので,何か申し上げるものとしてはございません。

 (問) 人事面や改正法案のほうはどうですか。

 (事務総長) 人事面につきましては,今,公正取引委員会の委員長,委員は3名体制になっておりますので,国会の同意を得て,総理大臣からできる限り早く任命をいただけるように,今,官邸でも尽力いただいているところだと思いますけれども,それを願っているところです。
 また,法案につきましては,昨年の臨時国会で審判制度の廃止等を内容とする独占禁止法の改正法案は廃案となりましたけれども,今後の取扱いについては,新しい政府の内部で改めて検討する必要がありますので,現在検討を進めているところで,まだ検討中の段階です。

 以上

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