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平成25年3月13日付 事務総長定例会見記録

平成25年3月13日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成25年3月13日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

第10回 競争政策研究センター(CPRC)国際シンポジウムの概要

(事務総長)
 本日,私からは,競争政策研究センター(CPRC)が行いました国際シンポジウムの模様について,お話ししたいと思います。
 競争政策研究センターは,先月の22日に「新興国における競争政策の役割」というテーマで,日本経済新聞社との共催によりまして,国際シンポジウムを開催いたしました。
 当日は,インド,中国,さらにブラジルからエコノミストの方にお越しいただいて講演を行いまして,その後,園部哲史・政策研究大学院大学教授をコメンテーターに交え,また,CPRCの所長であります岡田羊祐・一橋大学大学院教授をモデレーターとして,パネルディスカッションを行ったところであります。
 講演者とコメンテーターの発言について,紹介したいと思います。
 まず,インドのギータ・ゴウリさん,この方はインド競争委員会委員の方ですけれども,この方の御発言では,インドでは1991年から経済自由化へと政策転換がなされ,市場メカニズムが採り入れられ,現在は新しい競争法「競争法2002」が制定され,カルテル,市場支配的地位の濫用,一定の規模を超える企業結合が規制されている。新興国の競争当局にとって肝要なことは,自国の経済の特性に留意しつつ,国際的なベストプラクティスを学んだ上で,インドの実情に合わせ競争法を運用していくことであるといった報告が行われました。
 次に,中国のウ・ハンホン(呉漢洪)中国人民大学産業経済・競争政策研究センター主任からは,まず,中国の競争政策は,2007年に独占禁止法が制定されたことにより基本的な枠組みが確立し,その後,競争当局によってガイドラインの整備や積極的な法執行が行われ,4年が経過した。しかし,先進国の競争当局と比べると,独占禁止法の執行手続がスムーズでない点もあり,職員の人員が限られ執行経験が不足しているという問題も抱えている。また,中国では,事業所管官庁による規制と独占禁止法による規制が重複することがあるが,事業所管官庁と競争当局との間で調整がなされていないという問題がある。さらに,中国社会には市場経済の伝統がないため,競争政策の役割への理解や競争文化を育てることへの関心が不足している。今後は,競争当局の執行能力の向上とともに,社会における競争文化の浸透を図り,競争政策への支持を一層拡大することが求められるといった報告が行われました。
 次に,ブラジルのビクター・ゴメスさん,この方はブラジルの競争当局のチーフエコノミストの方ですけれども,この方の発言では,ブラジルでは1990年代に入り,競争政策が確立すると共に国有企業の民営化等の改革が行われた結果,競争政策への理解が広まり,生産性の改善が図られた。合併規制の面では,積極的に法執行を行っている。巨大な輸出企業の誕生となる食品会社の合併においては,国内の加工食品分野における競争への影響が懸念されたため,合併当事会社に一部の工場の売却などの問題解消措置を講じさせた上で,当該合併を認めているといった報告がありました。
 最後に,コメンテーターの園部哲史・政策研究大学院大学教授のコメントとしては,経済成長を享受している新興国においては,競争政策が重要な役割を果たしている一方で,新興国の競争当局は,体制が十分でなく,また,競争政策に対する一般の理解や支持も十分でない中で,ネットワーク産業のような新たなビジネス分野への競争法の適用などの複雑な問題を処理するという難しいかじ取りを強いられている。こうした困難を打破していくためには,競争政策に対する理解や支持を得るよう,メディアを活用して競争政策の重要性を国民に訴えていくことに注力すべきであるといった報告が行われました。
 その後のパネルディスカッションでは,各国とも国有企業にも等しく競争法が適用されること,自国企業の保護・育成の観点からの国際的な合併・買収に対する特別な合併規制ルールは存在しないといったことが報告されました。
 シンポジウム当日は,約130名の方に御参加いただきまして,今後とも,こうした国際シンポジウムの開催を通じて,競争政策研究センターが競争政策に関する国際的な交流拠点としての機能を果たしていくということに努めていきたいと考えております。
 私からは以上です。

 以上

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