[配布資料]
「下請取引適正化推進月間」の実施について(平成26年10月1日公表資料)(PDF:387KB)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成26年10月8日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
「下請取引適正化推進月間」の実施について
本日,私からは3点お話を申し上げたいと思います。第1点目は,お手元にお配りしております10月1日付けの資料,「下請取引適正化推進月間」の実施についてお話をさせていただきたいと思います。
皆様御案内のとおり,公正取引委員会は,中小企業庁と共同いたしまして,毎年11月を「下請取引適正化推進月間」として,この期間内に下請法の普及・啓発に係る取組を集中的に行ってきております。
推進月間では,事業者の方々に下請法の内容を正しく理解していただくため,中小企業庁と分担いたしまして,全国47都道府県,62の会場におきまして,下請法に関する講習会を開催することとしております。また,都道府県や商工会議所,商工会等の各種団体に対しまして,ポスターの掲示や機関誌等への掲載による推進月間の広報等の協力を依頼することとしております。
その他,推進月間を一層効果的にPRすることを目的といたしまして,今年度もキャンペーン標語の一般公募を行いました。その結果,特選作品に選定いたしました「信用は 適正払いの 積み重ね」,お手元の資料にもあると思いますが,これをキャンペーン標語として決定いたしました。
公正取引委員会としては,「下請取引適正化推進月間」における講習会の開催や,今申し上げました種々の広報活動を通じまして,事業者の方々に下請法に対する理解を一層深めていただくことを期待しているところであります。これが第1点目であります。
「公正取引委員会の意見聴取に関する規則」(案)に関する意見募集について
第2点目は,「公正取引委員会の意見聴取に関する規則」(案)に関する意見募集についてお話をさせていただきたいと思います。独占禁止法の改正法案は,昨年の12月に成立し,公布されたところであります。この改正法におきましては,公正取引委員会が行う審判制度の廃止,排除措置命令等を行う際の処分前手続として実施される意見聴取手続,それから,公正取引委員会の認定した事実を立証する証拠の閲覧・謄写に係る規定の整備等が取りまとめられたところであります。
公正取引委員会では,現在,この改正法の施行準備を進めているところでありますが,その一環として,その改正法の施行に伴い必要となります意見聴取手続を実施するための「公正取引委員会の意見聴取に関する規則」(案)を作成しまして,先週10月2日に,皆様から広く意見を求めるパブリックコメントの手続を開始したところであります。詳細につきましては,10月2日付けで公表いたしました,この規則案に対する意見募集を参照していただきたいと存じますけれども,この意見聴取の規則案では,まず1つ目に,証拠の閲覧・謄写につきまして,請求の手続,日時等の指定,謄写の対象となる証拠の範囲,2つ目に,意見聴取を主宰する職員につきまして,指定の時期,指定した場合の指定職員の氏名の通知,3番目に,手続を主宰する指定職員が作成する意見聴取調書及び報告書について,記載する事項,作成した場合の通知,閲覧の手続などを定めているところであります。
この規則案及び意見提出方法等につきましては,公正取引委員会及び電子政府,e-govのウェブページに掲載しておりますので,そちらを御参照いただきたいと思います。公正取引委員会といたしましては,この規則案につきまして,広く関係各方面の皆様からの御意見をいただきたいと考えております。
今後のスケジュールにつきましては,このパブリックコメントの期限が10月31日までとなっております。寄せられた御意見に対しまして検討を加え,年内には意見聴取の規則の成案を公表することを目指しまして,作業を進めているところであります。また,この改正法の施行日そのものにつきましては,法律におきまして公布の日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日とされております。今申し上げました意見聴取の規則の制定作業などを行った上で,速やかに政令を定めたいと考えておりまして,早ければ来年4月に施行するということを目指しまして,現在,作業を進めているところであります。
ICNのカルテルワークショップの概要について
それから3点目は,ICNのカルテルワークショップの概要についてでございます。先週,9月30日の火曜日から10月3日の金曜日まで,ICNのカルテルワークショップが台湾の台北で開催されまして,公正取引委員会からは私のほか5名の職員が出席したということであります。ICNのカルテルワークショップは,世界各国の競争当局の実務に携わっている者がカルテル審査の手法や執行面での問題点を共有し,また,経験の浅い競争当局がカルテル審査の手法等を学ぶ機会を提供することを目的として,平成16年以降,毎年開催されておりまして,今回は11回目の会合となります。
今回のワークショップでは,テーマといたしまして「カルテルとの闘いにおける国際協力の強化」という題の下で,「公共調達における談合の防止」,「実際の事件に係る国際協力のケーススタディ」,「カルテルとの闘いにおける国際協力の進展」などについて議論が行われました。私や,カルテル作業部会サブグループの共同議長を務めております南部国際担当審議官が全体会議にパネリストとして参加したほか,当委員会の職員,それから日本から参加いたしました弁護士等の非政府アドバイザーが分科会に参加されまして,モデレーターやスピーカーとして議論に参加したところであります。
このワークショップの議論の詳細につきましては,ICNのウェブサイトに,各パネルの事前資料等が全て掲載されておりますので,それを参照いただければと思いますが,いずれにしましても,競争法を執行する国・地域が100を超えている現在,企業活動のグローバル化に伴いまして,複数の競争当局が同一のカルテル行為に対して執行行為を行うという例が増えてきているわけでございます。これらの状況の下では,国際カルテルを含め,カルテルの効果的な抑止,摘発を図るためには,各国の競争当局間におきまして,緊密な情報交換やベストプラクティスの共有等,国際協力の一層の進展,強化を図っていくことが,これまで以上に不可欠なものとなっているという認識は,このカルテルワークショップに参加した全ての者が共有しているところであります。
公正取引委員会としては,競争当局間の協力関係の強化等の観点から,引き続き,このICNの活動に積極的に貢献したいと考えています。
質疑応答
(問)2点質問がございまして,まず1点目が,9月26日に東京高等裁判所の方で,エア・ウォーター社に対する審決取消しの判決が出たかと思うんですが,この判決について,公正取引委員会さんの方で,今後,現時点で何か対応が決まっていたら教えていただきたいのが1点目と,昨今,国立競技場の解体工事を巡って,いろいろ談合情報があるといったことで,いろいろと騒ぎになっていて,昨日,参院の予算委員会で下村文科大臣が警察の方に通報したというような答弁があったんですが,内閣の調達委員会等の調査の結果というのは,公取さんの方に何か通報というか,そういったものはあるのかないのかを教えていただければと思います。
(事務総長)まず,第1点目のエア・ウォーターの審決取消判決につきましては,今,判決文を検討させていただき,精査し,できるだけ速やかに私どもの対応を決めさせていただきたいと考えております。検討中ということで御理解をいただきたいと思います。
2点目の国立競技場の話につきましては,報道,あるいは国会の議論等で私も承知しておりますけれども,例によって個別事件に関わることですので,お答えは差し控えさせていただきます。ただ,私どもは独禁法に違反行為と定められております3条後段のいわゆる談合に係る情報については,積極的に情報収集に努めておりますし,その情報収集に基づいて適正に処理させていただきたいと思っておりますが,もう一方で,以前にも同じような事件があったと思いますが,独占禁止法上の3条後段,あるいは官談法のほとんどの規定は,事業者間に談合,合意があって,私どもが独占禁止法の違反として調査するということでございますし,そうでない,例えば官談法の第8条でありますとか,刑法の規定というのは,それはそれぞれ捜査機関において適切に処理されているというふうに考えております。
以上