[発言事項]
事務総長会見記録(平成26年9月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
途上国に対する競争法・競争政策に関する公正取引委員会の技術研修の実施について
今日はお手元に資料はありませんが,途上国に対する競争法・競争政策に関する公正取引委員会の技術研修の実施についてお話をさせていただきたいと思います。
公正取引委員会は,独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力の下,途上国に対する競争法・競争政策に対する技術研修を本年も8月14日から9月12日にかけて,東京及び兵庫で開催したところであります。
皆さん御承知のように,途上国においては,競争法制を導入する,あるいは強化しようとする動きが活発化しておりますが,それに伴いまして,これらの国々から,我が国の競争法制やその運用について学びたいとする要望が強く寄せられてきております。
公正取引委員会は,これらの要望に応えるべく,JICAの技術協力の枠組みを活用いたしまして,平成6年度から本研修,日本に来て研修をする訪日研修を実施してきております。
今回で20回目となります本年の技術研修には,インドネシア,パキスタン,ベトナム,ガーナの4カ国,6名の競争当局等の実務担当官が参加いたしました。本集団研修には,これまで,この20年間の間に,53か国,延べ209名が参加してきております。本年の研修の内容といたしましては,学識経験者による独占禁止法及び競争政策の解説,それから,アメリカ,韓国,台湾の競争当局の職員による審査手法等の紹介,公正取引委員会の職員による独占禁止法違反事件に対する審査手続の紹介,あるいは模擬的な立入検査等を行ったところであります。
本研修では,研修後に研修参加者に対しましてアンケートを行っておりますけれども,毎回,およそ9割程度の方々が有効な研修であったと評価していただいております。
また,この少人数のグループに対して,1か月弱ではありますが,長期間にわたって研修を行うということは,研修内容の充実に資するだけでなく,研修に参加した様々な国々の競争当局の方々とのつながりができることで,競争当局間の協力関係の構築にも非常に有益であると考えております。
また,更に本年は,11月中旬から下旬にかけまして,ベトナム競争当局職員8名を対象とした競争法・競争政策に関する技術研修を実施する予定といたしております。
公正取引委員会は,本日申し上げた,この集団的な訪日研修のほか,現地でのセミナー,あるいは長期専門家派遣等の国別の技術支援を行っております。これらを通じまして,それぞれの支援対象国における競争環境の整備が進むこと,あるいは公取とこれらの当局との関係が強化されること,さらには,公正取引委員会の国際的なプロファイルが一層向上することを期待しております。
私どもとしては,このような取組を今後とも積極的に行っていきたいと考えております。
質疑応答
(問)1点お伺いしたいんですけれども,先週,山形県庄内地区の農協に対する独占禁止法違反のおそれがあるということで警告がございましたけれども,昨今,政府の方でも,農業分野の改革ということを打ち出しておりますけれども,農協部門に関しては適用除外もございますけれども,改めて,農協あるいは農業が現在,改革を進める中で,望ましい競争の在り方という部分で御所見をお伺いしたいんですけれども。
(事務総長)我々の基本的な立場は,農業の部門であろうと,その他の部門であろうと,市場において公正で自由な競争が行われる,それにより,消費者に,より良い商品・サービスをより良い価格で提供するということが基本だと思います。
お話のありました農業分野につきましては,御案内のように,独占禁止法で協同組合に対する適用除外として,独占禁止法の適用が一定の場合に除外されるという制度になっております。農業部門につきましては,昨今の政府全体の取組の中で,農業協同組合,それから中央会を含めまして,今後どうあるべきかということが,現在,規制改革会議の実施計画,これ,閣議決定もされておりますので,その下で検討が進められているというふうに理解しておりますので,私どもとしても,その動きを注視しているということでございます。
以上