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平成27年11月25日付 事務総長定例会見記録

平成27年11月25日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成27年11月25日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

入札談合等の防止に関する取組について

 本日,私からは公正取引委員会の入札談合等関与行為の防止等に関する取組についてお話をさせていただきたいと思います。
 入札談合は独占禁止法が禁止する典型的な違反行為の一つであります。この入札談合に国や地方公共団体等の発注機関の職員が関与すること,いわゆる官製談合は,発注機関が自らその利益,ひいては納税者であります国民・住民の方々の利益を損なうものであり,あってはならない行為であります。
 公正取引委員会は,従前から,独占禁止法に基づきまして,入札談合の摘発に積極的に取り組むとともに,官製談合が認められた場合には,入札談合等関与行為防止法,いわゆる官製談合防止法に基づいて厳正に対処してきております。
 加えて,公正取引委員会は,入札談合や官製談合を未然に防止するための取組にも力を注いできておりますので,本日はこの点について一言申し述べたいと思います。
 公正取引委員会は,入札談合や官製談合の未然防止を図るため,国・地方公共団体等の職員を対象といたしまして,独占禁止法及び官製談合防止法に関する研修会を平成20年度以降全国各地で開催しております。本年度につきましても,10月末時点におきまして10回の研修会を開催してきておりまして,11月中にも更に7回の研修会を開催する予定であります。
 また,国や地方公共団体等発注者が実施する職員向けの研修会に当委員会の職員を講師として派遣しておりまして,本年度につきましては10月末の時点において全国各地で164回,職員を派遣しております。
 これらの研修会におきましては,参加者に対してアンケート調査をお願いしているところでありますが,アンケート調査の結果によれば,官製談合防止法等について,研修参加前には「ほとんど知らなかった」,「名前を知るのみ」,又は「全く知らなかった」と回答した参加者の割合は,平成24年度におきましては49.9%,平成25年度におきましては48.5%,平成26年度におきましては46.6%と,徐々に減少してきてはおりますが,依然として半数近い発注機関の職員が官製談合防止法等を知らないと回答しているのが現状であります。
 他方で,当該アンケート調査結果によれば,研修会への参加により官製談合防止法についての理解が「深まった」,あるいは「多少深まった」と回答された参加者の割合は,平成26年度におきまして95.6%となっておりまして,また,研修の内容は入札談合等の未然防止を含む今後の業務に「役立つと思う」,又は「多少役立つと思う」と回答された参加者の割合は,平成26年度におきまして94.5%に上っております。
 これらのアンケート調査結果を踏まえますと,発注機関の職員の皆様に対しまして実施している官製談合防止法等に係る研修は,当該発注機関の職員における官製談合防止法等の理解を促進し,当該発注機関における発注業務の改善に資するために有効であると私どもとしては考えております。
 公正取引委員会としましては,以上のような取組を通じまして,引き続き,入札談合や官製談合を未然防止するための取組を積極的に支援してまいりたいと考えております。

質疑応答

(問) 資料2ですが,損害賠償請求の部分があると思うのですが,官製談合防止法の適用が始まった岩見沢市の事例から何例か事例自体はありますけど,損害賠償請求まで至った事例というのは,事件全体の数からみると少ないように私は感じていまして,損害賠償請求するか,しないかの判断は最終的には発注者の判断になると思うので,公正取引委員会としてということではないのかもしれないのですけれども,制度の在り方として,どのように考えていらっしゃるでしょうか。
(事務総長) おっしゃいましたように,最終的には発注者が調査の結果,損害賠償をその職員にするか,しないか,幾ら請求するか等を決めるわけでありまして,賠償の事例が少ないかどうかの判断も含めまして,私の方からは各発注者が自らの権限と責任において調べた範囲内において,適正に判断されているものと言うにとどめたいと思います。
 ただ,損害賠償規定,あるいは懲戒処分もありますけれども,そういう規定を含めた官製談合防止法があるということを発注者側職員が知らないと,何の抑止力にもならないわけであります。この観点から我々としては,先ほど申し上げましたように,官製談合防止法の周知徹底を図っていくため,毎年,講師派遣も含めまして,官製談合防止法の啓発・普及に努めているわけでございますけれども,研修会を行うと,参加者の半分近くの人がまだ官製談合防止法をよく知らないという答えになっておりますので,そういう点をもっともっと,我々としては努力していけば,御指摘の損害賠償の件についてもおのずからしかるべきところへ落ち着いていくのではないかと思っております。

(問) 今の回答に少し重複するのかもしれませんが,先ほどの官製談合防止法のことを知っているかどうかのアンケートに,半数弱の46%ぐらいの人が知らないという回答だったということですけれども,官製談合とか入札談合は必ずしも珍しい概念ではないと思うので,何か非常に高いような印象を私は受けたのですが,どういう質問に対して知らなかったという回答になるのか,この部分をもう少し詳しく教えていただきたいのと,そのほか,この数字について,どのような印象を持たれているかお聞かせください。
(事務総長) 詳細な内訳については手元にはありませんが,官製談合防止法の中身,御質問があったような損害賠償の規定でありますとか,そういう点も含め,防止法の規定内容については御存じなかったのだと思います。
 ただ,いずれにしても,官製談合防止法が平成15年に施行されてから,公正取引委員会は事件としては13件,改善措置要求は11件行ってきたわけで,これについては,皆さん方に報道していただいているところですが,まだまだ,こういう官製談合防止法の規定があって,こういう行為は禁止されていると知っている職員は少ないというのが現実なのだと思います。
 私どもも年に200回以上の講師派遣,あるいは20回以上の私どもが主催する研修会を,それぞれ発注機関の求めに応じて,あるいは我々から,例えば事件があった地域等からの要請に応じて,私どもの地方事務所等を通じての普及活動の一環として,開催してきていますが,全国に発注機関となる自治体は多数存在します。研修会等は平成20年度から始めたわけですが,この取組を今後ももっともっと続けていかなければいけないと考えてます。
 この種の普及・啓発活動は,この官製談合防止法に限りませんが,下請法でも優越でもかなり長い間,普及・啓発活動を行っていますが,それでもまだ必要だと思いますので,そういう意味では,今の御質問に対しては,私どもとして引き続き,この入札談合等関与行為防止のために普及・啓発活動を厳正な執行と併せてやっていくという取組を続けていくことに尽きるのだと思います。まだ7年ぐらいの活動ですから,もっともっと続けていきたい,続けていく必要があると思っております。

以上

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