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平成27年12月9日付 事務総長定例会見記録

平成27年12月9日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

「独占禁止懇話会第202回会合議事概要」(平成27年12月9日公表資料)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成27年12月9日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

独占禁止懇話会第202回会合議事概要について

 本日は,去る12月1日火曜日に開催されました独占禁止懇話会の内容についてお話をさせていただきたいと思います。
 皆様御案内のとおり,独占禁止懇話会は,我が国経済の著しい変化に対応して競争政策を有効かつ適正に推進するため,公正取引委員会が広く各界の有識者と意見を交換し,併せて競争政策の一層の理解を求めることを目的として,昭和43年11月以降開催しているものであります。会員は,学識経験者,産業界,法曹界,消費者団体,中小企業団体などの各分野における有識者25名で構成されております。現在,会長は東京大学大学院経済学研究科の伊藤元重教授にお願いをしております。
 今回の独占禁止懇話会では,3つのテーマ,1つ目が「東アジアにおける競争政策の進展と公正取引委員会の役割」について,2つ目が「テレビ番組制作の取引に関する実態調査報告書」について,3番目が「競争政策研究センター(CPRC)の活動状況」について,それぞれ公正取引委員会から報告し,会員から御意見,御議論をいただいたところであります。
 今回の独占禁止懇話会において会員からいただいた御意見等の内容につきましては,本日公表いたしましたお手元の議事概要を御覧いただければと思いますが,この機会に幾つか紹介させていただきたいと思います。
 まず,最初の議題であります「東アジアにおける競争政策の進展と公正取引委員会の役割」については,例えば,1ページ目の2つ目の丸でありますが,TPP協定が大筋合意されたことに伴い,競争政策章の条項に対応するため,今後,新しい仕組みを導入していく場合に検討すべき課題は何かとの御質問を頂きました。これについては,私どもの方から,TPP協定の競争政策章には,競争法の違反の疑いについて競争当局と事業者との合意により自主的に解決する制度の導入に関する規定が含まれておりますが,この規定につきましては,現行の独占禁止法上担保されていないと考えているところでありまして,現在,当該内容の規定を担保するためにいかなる制度的対応が必要であるかを検討していると回答したところであります。
 また,お手元の資料の2ページ目の1つ目の丸でありますが,最近の企業結合は複数の国にまたがることが多く,複数の国の市場に影響を及ぼすこととなる事例が多いけれども,企業結合の審査基準や届出要件を国際的に統一していくような動きはあるかとの御質問を頂いたところであります。これに対しましては,東アジア競争政策トップ会合・カンファレンスにおきまして,企業結合に関する議論が行われておりますが,それ以外にも例えば約130の競争当局が参加しております国際競争ネットワーク(ICN)の作業部会の一つであります企業結合ワーキンググループにおきましては,各国の制度,運用等を踏まえて,ベストプラクティスを作成しておりまして,このベストプラクティスを踏まえて,発展途上国に技術支援を行っているところであります旨を回答いたしました。
 2つ目の議題は,「テレビ番組制作の取引に係る実態調査報告書」についてであります。これにつきましては,この定例会見でも今年の7月29日に,この報告書が出た後で御報告させていただきましたけれども,これについて独占禁止懇話会では,お手元の資料の2ページ目のテレビ番組制作のところの2つ目の丸でありますが,放送事業者に対する下請法の指導・勧告状況はどうなっているのかという御質問を頂きまして,これに対しましては,放送事業者に対する下請法の指導・勧告等につきましては,発注書面に係る軽微な違反に対するものも含めまして,年間30件から40件程度の指導を行っているという旨を回答いたしました。
 また,次のページの1つ目の丸でありますが,今回の調査は,声優といった個人事業者などの下請事業者の下請事業者を対象としていないとのことだが,今後,そのような事業者も調査対象としていただきたいという御要望がありました。これに対しましては,下請取引に該当するものについては,公正取引委員会は毎年,書面調査を行ってきておりまして,今年度も約25万通の調査票を発送したところでありまして,問題のある取引については,御指摘の分野も含めて厳正に対処してまいりたいという旨を回答したところであります。
 3つ目の議題は,「CPRCの活動状況」についてでありますが,CPRCの活動状況についての2つ目の丸でありますが,法学者と経済学者が共同で研究を行う取組は少なく,CPRCの今後の活動に期待しているとの御意見や,そのページの最後の丸でありますが,学術的な研究は国際性が高く,相互に評価することが特徴であり,研究者に対して幅広く発信していくことが大事である,他方,公正取引委員会の職員のスキルアップにもつながるだろうから,今後も研究活動を続けてほしいとの御意見をいただいたところであります。
 また,3ページ目の3つ目の丸でありますが,CPRCと他のアジア諸国の競争当局の研究機関との間の協力関係はあるのかという御質問を頂きました。これに対しまして,現時点で我々として,他のアジア諸国の競争当局にCPRCのような研究機関があるとは把握しておりませんが,今後,そういう機関があり,可能であれば,積極的に交流を図っていきたいと,また,海外の競争当局との交流という点では,二国間意見交換の場で,あるいはOECD,あるいはICNのマルチの場で経済分析について議論をするなど,アドホックな形で意見交換を行っている旨を回答したところであります。
 公正取引委員会としましては,今後頂いた御意見等を踏まえまして,今後とも適切な法運用に努めてまいりたいと考えております。

質疑応答

(問) 先週,石油元売のJXホールディングスと東燃ゼネラルが2017年4月をめどに統合することで基本合意しましたと発表しましたが,両者を合わせると原油の処理能力とか,ガソリンの販売のシェアが5割を超えて,独占禁止法に触れるというような話も出ていますけれども,そこら辺の御認識と,今後の審査対応とかについてお話しください。
(事務総長) 企業結合の個別事案につきましては,私どもお答えは差し控えさせていただいております。
 いずれにしましても,企業結合についていえば,今市場シェアの話がありましたけれども,独占禁止法上は,一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるような企業結合は認めないということでございますので,その規定に従って届出等があれば,きちんと審査していくということに尽きると思います。
(問) 一般論でも構わないので,近年では新日鉄と住金の統合とか認められた例がありますが,それと何か違いとかがあるのでしょうか。
(事務総長) 違いといいますと具体的な審査の中身に触れることになりますから,そこはコメントは差し控えますが,今言ったように,競争を実質的に制限することになるかどうかというのは,これは一般論ですけれども,企業結合当事会社の市場における地位だけではなく,その市場における競争の状況,それから隣接市場からの競争圧力等を総合的に判断するということで,個別事案に応じてそれを考えていくということに尽きるのだと思います。

(問) 資料の中で3ページにあります下請事業者の下請事業者ですが,これは25万通の調査票の発送先には入っているのでしょうか。
(事務総長) 御案内のとおり,下請法上は資本金で親事業者と下請事業者を画一的に認定しているわけでございますので,ある資本金の企業が親事業者となると同時に,下請事業者にもなり得るわけであります。したがって,親事業者に私ども調査票を出して,どのような企業と下請取引をしているかと聞いた上で,通常は下請事業者にも調査票を出しているわけですが,その結果,ある企業がある企業の下請になっていて,それが更に下請取引をしているかもしれないので,これは25万通の調査票の中に入るとも入らないとも言えないので,そこはそれぞれ具体的な内容次第ということになると思います。
(問) 先ほどの質問と関連するかと思いますけれども,一般的に,市場シェアが5割を超えるような合併でも認められる場合はあるのか,認められる場合があるとすれば,どういう条件がクリアされればいいのか教えてください。
(事務総長) これはあくまでも一般論ですが,まず市場のとり方というのが問題になると思います。商品の範囲のほか,地理的にいえば世界的な市場でとるべきという分野もあるでしょうし,日本国内でとるということもあるでしょうし,さらに日本国内の地域でとる場合もあると思います。そういった一定の画定された取引分野において,シェアが何%かということですが,昨今いろいろと隣接市場からの競争圧力とか,輸入圧力とか,あるいは輸入圧力が今はないけれども,将来的に1年後に起こるかもしれない,そういう隣接市場,あるいは輸入圧力,そういう競争に与える影響を総合的に考えるということで,シェアももちろん大事なポイントではありますが,シェアだけが唯一のポイントではなくして,今申し上げたように,画定された取引分野の競争をめぐるさまざまな状況,特に輸入の圧力でありますとか,新規の参入の可能性でありますとか,隣接市場からの参入の可能性であるとか,そういう競争に与えるもろもろの影響を,今申し上げました当事会社の市場での地位と併せて考えるということになると思います。

以上

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