[配布資料]
第12回 競争政策研究センター(CPRC)国産シンポジウムの概要(PDF:197KB)
公正取引委員会競争政策研究センター国際シンポジウム 急増する特許権とイノベーション~競争政策の役割~(PDF:523KB)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成27年3月18日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
CPRC国際シンポジウムの概要について
本日は,以前の定例会見でも,事前に申し上げたことでございますけれども,3月6日に開かれました第12回の国際シンポジウムにつきまして,お話をさせていただきたいと思います。
競争政策研究センター(CPRC)は,日本経済新聞社との共催によりまして,先々週の3月6日,金曜日に「急増する特許権とイノベーション 競争政策の役割」というテーマで,第12回の国際シンポジウムを開催いたしました。今日は,その概要を御報告させていただきたいと思います。
お手元に,速報版ではございますが,シンポジウム当日の概要及び当日の講演資料を配布させていただいております。
当日は,まず第1部として基調講演が行われました。最初に,ジョージア工科大学経営大学院のスチュアート・グラハム助教授から,2011年のアメリカの特許法の改正を始めとした,アメリカにおける特許政策の最近の動向などについてお話がありました。
続きまして,ブリュッセル自由大学ソルベイブリュッセル経済経営学院長のブルーノ・ファン・ポッテルズベルゲ教授から,ヨーロッパ,アメリカ,中国,韓国及び日本における特許出願の最近の傾向や,それぞれの特許制度の質の比較に関する同教授の実証研究の結果等につきまして,御講演がなされました。
次に,第2部といたしまして,田村北海道大学大学院教授及び長岡一橋大学イノベーション研究センター教授によります基調講演に対するコメントをいただきました。それに続きまして,CPRC所長である岡田一橋大学大学院教授をモデレーターといたしまして,パネルディスカッションが行われました。
このパネルディスカッションでは,近年,アメリカで取り上げられております,Patent Assertion Entity,つまり,特許を有しているにもかかわらず,当該特許を利用した製品やサービスの製造・販売は行わず,専ら,そのライセンス料や特許侵害訴訟により利益を得る事業者のことでありまして,略して,PAEといわれることがありますけれども,このような事業者に関する問題,それから,最近のアップル社とサムスン社の特許訴訟等で日本でも話題になりましたFRAND宣言の対象となった,特に標準必須特許に基づく差止め請求権の行使の在り方,さらには,イノベーションを促進する上での競争政策・競争当局の役割等について議論が交わされたところであります。その概要は,お手元の1枚紙の資料の裏側に書いてありますけれども,例えば,そのパネルディスカッションにおきましては,FRAND宣言をしておきながら,その後,対象特許についてライセンス拒絶を行うという行為は,競争を阻害するおそれのあるものであり,そのような行為を競争法上抑止できるようにすることは非常に重要であるとの御指摘,あるいは,基調講演をいただいたグラハム助教授,ブルーノ教授からは,アメリカ,ヨーロッパのいずれにおいても,特許庁と競争当局との連携が近年一層密になってきており,今後もイノベーションを促進するという観点から,特許政策の展開において,競争政策・競争当局が重要な役割を担うことになるのではないかといったコメントがあったところであります。当日は,企業の法務担当者,弁護士,大学関係者等,183名の多数の方々に御参加をいただきました。また,シンポジウム後,アンケートに御協力いただいたところ,9割以上の人から参考になったとの評価をいただいたところであります。
公正取引委員会としましては,今回のシンポジウムで,アメリカ,EUにおける特許政策の動向や,これに関する最新の実証研究について知見を得ることができ,また,特許制度の分野において,競争政策・競争当局が果たすべき役割について改めて考えることができ,有意義な国際シンポジウムであったと考えております。
このシンポジウムの詳細な講演録,あるいはディスカッションの内容につきましては,後日,競争政策研究センターのホームページで講演録等を公開するほか,日本経済新聞社におかれましてもその内容を掲載するという予定でございますので,それを御参照いただければと思います。
CPRC,競争政策研究センターでは,今後とも,今回の国際シンポジウムのテーマとなった知的財産の分野を含め,競争政策に関する理論的基礎の蓄積,国際的な動向の把握を行い,また,同時に,適切な情報発信を行っていきたいと考えております。
質疑応答
(問) 欧米での例が非常に参考になったということですけれども,日本における公正取引委員会と,例えば特許庁の協力関係というのは,今後,どうなっていく,あるいは,今現状でどうなっているのかという点についてありましたら,御説明いただけませんでしょうか。
(事務総長) ありがとうございます。私もそのシンポジウムに出ていて,両先生からのコメントとして,それぞれの当局においても,それぞれの国においても,競争政策・競争当局と特許庁・特許政策との連携が進んでいるということはお話がありました。ただ,それが何か制度的にどうというよりも,もっとインフォーマルなコミュニケーション,インフォーマルな意思疎通ということを,それぞれ緊密にしてきているというお話があったところであります。
我々公正取引委員会も,知財の分野の重要性というのはかねてより認識しておりまして,非公式な形ではありますけれども,特許庁と,定期,あるいは不定期に,何か必要があればお互いにその知見を聞くということで意見交換をしているところでございます。
以上