ホーム >報道発表・広報活動 >事務総長定例会見 >平成27年 >7月から9月 >

平成27年7月15日付 事務総長定例会見記録

平成27年7月15日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成27年7月15日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

数字で見る公正取引委員会の歴史について

 皆さん御案内のとおり,独占禁止法は昭和22年,1947年4月に公布されまして,7月20日に施行されました。したがいまして,7月20日は公正取引委員会の,言わば創立記念日であります。公正取引委員会は来週の月曜日,7月20日で68歳を迎えたということになります。
 そこで,本日は,私からは幾つかの統計に触れながら,公正取引委員会68年の歴史について,お手元の資料に基づいてごく簡単に振り返ってみたいと思います。
 まず,お手元の資料の1ページ目にあります独占禁止法違反事件の法的措置件数の推移についてであります。公正取引委員会が発足してしばらくの間は,そこにありますように,年度によっては50件を超すなど,相当数に上る法的措置が行われました。その後,昭和30年代に入りまして,朝鮮特需後の不況の影響や,不況カルテル,合理化カルテルを認めた昭和28年の法改正の影響,また,このころは産業の保護育成が重視された時期でもあったこと等もありまして,法的措置の件数は減少したところであります。
 しかしながら,この時期におきましても,資料には特に書いてありませんけれども,朝鮮特需後の不況下において,下請事業者に対する支払遅延の問題が顕在化したことから,昭和31年には下請法が制定されております。また,いわゆる,ニセ牛缶事件,缶詰の表示は牛肉というものでありましたけれども,中身がクジラの肉だったという不当表示の事件でありますが,そういうニセ牛缶事件や過大な景品の付いた販売に対する議論の中で,昭和37年には景品表示法が制定されたところであります。したがいまして,この時期は共同行為に対する規制が一部緩和された一方,中小企業保護,消費者保護の観点から,取引方法の規制の強化が進められた時期でもありました。
 その後,昭和40年代に入りまして,消費者物価の高騰,オイルショック,40年代後半の狂乱物価といったような時期に価格カルテル事件が横行したことから,これらの対処のために措置件数が増えました。代表的な事件としては,昭和49年2月に刑事告発した石油元売業者による価格カルテル事件や,石油連盟による生産調整事件がありました。
 こうした中,行政事件では,公正取引委員会がカルテルを摘発してもカルテルの申合せの破棄を命じることができるだけでしたので,いわゆるカルテルの「やり得」があったと言われておりました。このようなことから違反行為の抑止力を高め,カルテルの禁止規定の実効性を確保するため,昭和52年の法改正で課徴金制度が導入されたわけであります。導入当時の課徴金算定率は,原則売上額の1.5%でありました。
 昭和50年代に入りまして,第2次オイルショック後の不況下におきまして,措置件数はやや減少いたしましたけれども,平成に入りましてから法的措置件数が増えてきております。この時期は平成元年に日米構造問題協議が開始され,日本市場の閉鎖性が指摘され,その解決策の一つとして,独占禁止法の制度面と運用面の両面についての強化が求められた時期でありました。
 そして,平成2年6月には刑事告発に関する公正取引委員会の方針というものを公表いたしまして,刑事告発を積極的に行うことを明らかにしました。実際,この方針の公表前までの告発件数は約44年間で6件であるのに対しまして,方針の公表後の約25年間の告発件数は15件,最近10年間でみましても8件と増加しております。
 また,この間,規制緩和の推進とともに独占禁止法の執行が一層強化されるようになり,平成8年には,体制的にも事務局制から事務総局制に変わっております。措置件数につきましては,平成17年の法改正によりまして,課徴金減免制度,犯則調査権限等が導入されました。これらを反映いたしまして措置件数も増えていったというところであります。
 次に,3ページ目でございますが,課徴金についてお話を申し上げたいと思います。先ほど申し上げましたように,課徴金制度は昭和52年に導入されました。最初の課徴金納付が命令されたのが昭和53年でありまして,生コンクリート製造業者4名に対してなされた総額507万円の課徴金納付命令でありました。平成3年には課徴金の算定率を原則売上額の1.5%から6%に,さらに平成17年には課徴金算定率を原則6%から10%に引き上げる法改正を行いました。また,平成21年には課徴金を適用する範囲が拡大されまして,優越的地位の濫用行為等もその対象となったところであります。これらの法改正を反映いたしまして,課徴金の納付命令額は,近時,増加しているところであります。
 この3ページ目のグラフで,平成22年度の課徴金の金額が約720億円と突出しておりますが,これにつきましては,平成22年度の課徴金額は平成17年の改正法による改正前の独占禁止法,我々,旧法と呼んでおりますけれども,旧法に基づく審判手続を経た審決による課徴金納付,いわば古い事件についての課徴金納付命令を含んでおりまして,これがこの720億円の約半分を占めていたわけであります。ただ,こういった旧法下で審決で命令された課徴金納付を別にいたしまして,当該年度に審査を終えた事件について納付を命じた課徴金額ということでみましても金額は増加しておりまして,平成17年の法改正の後,平成18年以降,平成26年度までの9年間の平均をみましても,200億円を大きく超え,約245億円となっているところであります。

 次に,4ページ目の企業結合関係の届出等の推移でございます。企業結合関係の届出報告件数については,関係する制度の改正がしばしば行われておりまして,それに伴いまして件数が大きく変わってきております。平成8年度までは,御覧のとおり増加傾向にありましたが,平成10年の法改正によりまして,それまで一定規模以上の総資産の会社が株式を所有する場合には全て株式所有報告書の提出を毎年度義務付けていたものを,一定規模以上の総資産の会社が一定割合,10%,25%及び50%を超えて株式を取得する場合にだけ届出を義務付けることとしました。これによって,届出報告件数が減ったというわけであります。
 さらに,平成21年に国際的整合性等を踏まえまして,届出基準として,それまでの総資産額に替えまして国内売上高を採用し,また,届出が必要となる株式取得を,先ほど申し上げました3段階から,20%,50%の2段階に簡素化するなどの法改正を行った結果,平成22年度には届出の件数は一層減少しております。平成26年度は,株式取得から事業譲受けまで合わせまして289件の届出があったところであります。

 最後に,定員と予算額の推移についてお話をしたいと思います。6ページ目,7ページ目でございます。
 定員につきましては,昭和22年度に284名でスタートいたしましたが,昭和28年度から昭和34年度まで,237名で最少の人数となっておりました。その後,徐々に増加しまして,昭和41年度には300名を超え,昭和52年度に400名,平成6年度に500名,平成14年度に600名を超え,27年度末,来年3月末の事務総局の定員は838名となっております。
 また,予算につきましては,公正取引委員会の場合,予算の8割強が人件費でございますので,予算額も定員増に伴いまして徐々に増加してきております。昭和41年度に3億600万円,昭和52年度には19億6000万円,平成6年度には52億4000万円,平成25年度には88億2000万円でありましたけれども,平成26年度,平成27年度の予算につきましては,消費税の円滑かつ適正な転嫁対策経費が主な増加要因となりまして,100億円を超えるものとなっております。
 なお,お手元の資料の最後,8ページ目には,アメリカ及びEUの職員数と予算についてのデータも付けておりますので,適宜御参照いただければと思います。ただ,この数字を見ていただく際に2つ留意点があると思います。アメリカのFTCは,御案内のとおり,消費者保護部門も含めた予算,定員であるということで,競争部門だけに限ってみますと半分に満たないというところかと思います。また,アメリカにおいては,連邦反トラスト局のほか各州に,また,EUにおきましては,EU委員会のほか各国に競争当局が置かれているということも,日本の場合と比較するときには御留意いただければと思います。

 冒頭申し上げましたように,昭和22年に公正取引委員会が発足して,今年で68年が経過するわけでございますけれども,この間の公正取引委員会の活動を通じまして,独占禁止法や競争政策の意義,重要性については,日本の社会に着実に認識されるようになってきたと考えておりますが,同時に,世の中から,より大きな期待が公正取引委員会に寄せられていることも感じております。こうした期待に応えるよう,今後とも公正で自由な競争を維持するため,厳正な法執行,的確な法運用に努めるとともに,競争政策の一層の推進のための様々な施策に積極的に取り組んでいきたいと考えております。

以上

ページトップへ