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平成28年6月15日付 事務総長定例会見記録

平成28年6月15日付 事務総長定例会見記録

 [配布資料]

ケニア競争当局との協力に関する覚書の締結について(平成28年6月9日公表資料)

独占禁止法に関する相談事例集(平成27年度)について(平成28年6月15日公表資料)

 [発言事項]

事務総長会見記録(平成28年6月15日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

ケニア競争当局との協力に関する覚書の締結について

 本日,私からは2点お話をさせていただきたいと思います。
 第1点は,ケニア競争当局との協力に関する覚書の締結についてであります。先週6月9日,東京におきまして,ケニア共和国の競争当局との間で,競争当局間の協力に関する覚書を締結いたしました。公正取引委員会は,本年4月に,中国の商務部との間で,同様の覚書を締結しており,今回はそれに続くものであります。
 本覚書は,両競争当局間の協力関係の進展を通じて,両国の競争法の効果的な執行に貢献することを目的としておりまして,具体的な協力内容としては,情報交換,技術協力等を規定しております。
 本覚書は,公正取引委員会がアフリカの競争当局との間で締結する初めてのものであります。我が国は,皆様御案内のとおり,本年8月にケニア・ナイロビで開催いたします第6回アフリカ開発会議に向けまして,我が国企業の対アフリカ投資促進に資する施策を推進していくこととしております。こうした観点から,ケニア競争当局との間で,競争法執行分野における協力を進め,ケニアにおける公正な競争環境の整備を後押しする意義,その必要性は高いものと考えております。
 公正取引委員会といたしましては,本覚書を踏まえ,日本,ケニア両競争当局間の協力・連携を一層深めていくこととしています。また,企業活動のグローバル化を踏まえ,国際的な事案に迅速かつ適切に対処していくため,今後とも,独占禁止協力協定,経済連携協定等と併せまして,必要に応じて,こうした競争当局間での覚書を活用した協力枠組みの構築・実施に取り組んでまいる所存であります。

独占禁止法に関する相談事例集(平成27年度)について

 2点目は,相談事例集についてであります。公正取引委員会では,毎年,独占禁止法に関する相談事例集を取りまとめて公表しております。本日,平成27年度の相談事例集を公表することといたしました。お手元にあります横長のパワーポイントの資料に基づいて簡単に御紹介をしたいと思います。
 1ページ目でありますが,公正取引委員会では,事業者や事業者団体がこれから行おうとする行為が独占禁止法上問題にならないかどうかについての相談を受け付けておりまして,平成27年度におきましては,1,381件の相談が寄せられたところであります。
 2ページには相談事例集の趣旨を記載しております。
 相談事例集は,事業者等から寄せられた個別の相談の中から,相談者以外にも参考になる主要な事例を選び,独占禁止法上の考え方をできるだけ分かりやすく具体的に説明したものであります。
 本年の相談事例集には13の事例が掲載されております。その事例の全体につきましては,3ページから6ページ目,それから相談事例集本体を参照していただきたいと思いますが,この場では,事例のうち3つを御参考までに紹介させていただきます。
 3ページ目の事例1でございますが,これは市場における有力な日用品メーカーが,メーカーの推奨する販売方法を採用する小売業者に対してのみ,顧客への商品発送をメーカー負担で代行することについて,主として差別的取扱いの観点から検討したものであります。
 メーカーの推奨する販売方法は,日用品の安全な使用の啓発を目的とするものであることから,日用品の適切な販売のためのそれなりの合理的な理由が認められ,かつ,他の取引先小売業者に対しても同等の条件が課せられているため,それ自体に公正な競争を阻害するおそれはないと考えられることなどから,この件につきましては,独占禁止法上問題となるものではないと回答しております。
 次に,4ページにあります事例5でございますが,住宅等に用いられる建材のメーカー2社が輸送費削減のため,相互OEM供給を行うことについて,主として不当な取引制限の該当性の観点から検討したものであります。
 本件は,我が国において当該建材を製造するメーカーが2社しかいないものの,当該建材との競争が活発化してきております他の建材と合わせた市場では,2社の合計シェアは約20%であり,また,2社よりも高いシェアを有する有力な競争事業者が複数存在することなどから,この件につきましても,独占禁止法上問題となるものではないと回答したところであります。
 3番目といたしまして,6ページの事例13でございます。この事例13は,農業協同組合が,組合員に対しまして,農業用の機械購入のための補助金を支給するに当たり,機械及び資材を協同組合の共同購買事業を通じて購入するということを条件とすることについて,主に取引強制の観点から検討したものであります。
 本件は,当該協同組合の所在する地域において,機械及び資材を購入する者のほとんどが組合員であること,また,多くの組合員は,当該協同組合から支給される補助金を利用して機械を購入していることから,当該地域における機械及び資材の販売市場における競争者の取引の機会の減少につながるおそれがあるといたしまして,独占禁止法上問題になり得ると回答したところであります。
 なお,毎年の相談事例集は,公正取引委員会のホームページに掲載しておりますが,前年の平成26年度の相談事例集につきましては,1年間に約1万4000件のアクセスがあったところであります。
 公正取引委員会といたしましては,事業者等におきまして,相談事例集が活用されることにより,独占禁止法上の考え方への理解が一層深まり,違反行為の未然防止が図られることを期待しております。
 ここに書かれた個別の事例についての具体的な内容についてお問い合わせがある場合には,取引部の相談指導室にお問い合わせいただければと思います。

以上

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