[配布資料]
「下請取引の適正化について」(平成29年11月15日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成29年11月15日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
下請取引の適正化について
本日,私の方からは,下請取引の適正化についての要請についてお話しいたします。
年末にかけての金融繁忙期は,一般に資金決済や従業員へのボーナス支給などで,事業者に資金需要が高まる時期とされており,下請事業者の資金繰り等について厳しさが増すことが懸念されます。
そこで,公正取引委員会は,下請代金の支払遅延や減額等の行為が行われることがないよう,親事業者及びその関係事業者団体に対して,公正取引委員会委員長と経済産業大臣の連名の文書により,下請法遵守の徹底などについて毎年要請しております。
本年も,本日付で,下請法上,親事業者となり得る事業者約21万社に対して要請文書を送付いたしました。
この要請文書では,我が国経済において,景気の回復基調が継続する中,中小企業の業況も緩やかに改善している一方で,原材料価格の上昇や人手不足への懸念など,中小企業を取り巻く環境が依然として厳しい状況にあるということを指摘しつつ,親事業者において,下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い,下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにしていただくとともに,立場の弱い下請事業者に不当なしわ寄せが生じることのないようにしていただきたいこと,また,政府が進める「働き方改革」においても,事業者間の取引条件の改善が課題とされておりますところ,例えば,極端な短納期発注は,取引先における長時間労働などにつながる場合があり,下請法違反の背景ともなり得るので,特に注意していただきたいことなどが含まれております。
また,併せて日本経済団体連合会,日本商工会議所などの関係事業者団体約650団体に対して,親事業者に要請しました内容について,所属の事業者に対して周知徹底を図り,下請取引の適正化を指導されたい旨の文書も発出しております。
先週の会見でも,平成29年度上半期における下請法の運用状況において,これまでの状況からしても,下請法違反が繰り返されている状況が続いているということをお話しいたしました。公正取引委員会としましては,今後も引き続き,下請事業者が不利益を受けることのないよう,下請法違反行為に対して,迅速かつ効果的に対処しますとともに,下請法の普及・啓発に一層取り組んでまいります。
質疑応答
(問) 毎年こういった要請をされているということですが,今年は例年と違って,こういう点を文面に入れたというのは,やはりこの「働き方改革」とか,その辺りになるんでしょうか。
(事務総長) そうですね。最近の動きとしましては,御案内のように,官邸でも,下請事業者を含んだ,取引の上流といいますか,そういったところへしわ寄せが行かないように,それが,そこで働く方々の労働条件の悪化にもつながるということが言われており,そういう点は,私どもの所管法令の運用の中でもきちんと対処していかなければいけないと考えてございますので,今回の要請の中にもそうしたことも含めております。
以上