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平成30年6月6日付 事務総長定例会見記録

平成30年6月6日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

平成29年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例について(平成30年6月6日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年6月6日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成29年度における企業結合関係届出の状況及び主要な企業結合事例について

 本日は,平成29年度における企業結合に関する届出の状況及び主要な企業結合事例について御紹介いたします。
 お手元の資料のうち,パワーポイントの資料に沿って御説明いたします。まず,届出の状況でございます。
 資料の1頁目の表1は過去3年度の間に受理しました届出の処理状況をまとめたものです。平成29年度におきましては,306件の届出を受理いたしました。平成28年度における届出の受理件数が319件ですので,前年度比約4%の減少となっていますが,引き続き300件を超える件数となっております。
 平成29年度に届出を受理しました306件のうち,「第1次審査で終了した」,すなわち,「第1次審査の結果,独占禁止法上問題がないとして,排除措置命令を行わない旨の通知をした件数」が299件でございます。
 届出会社は,公正取引委員会の届出受理の日から30日間は企業結合を実行することが禁止されておりますが,届出会社からこの30日間の禁止期間を短縮してほしいという申出がある場合があります。公正取引委員会としましては,こうした申出があった場合には,できる限り迅速に審査を行い,禁止期間の短縮を行うよう努めております。平成29年度においては193件について,禁止期間の短縮を行っており,この件数は年々増加しております。
 これらの個別の届出の状況につきましては,平成29年度分から案件の情報を公表しております。最新のもの,年度一杯までのものにつきまして,現在,ホームページ上に掲載しております。
 平成29年度に届出を受理しました306件のうち,より詳細な審査が必要であるとして,第2次審査に移行したものは1件でございました。これは平成29年7月に第2次審査に移行しました「株式会社第四銀行及び株式会社北越銀行による共同株式移転」です。この件は,平成29年12月に,特段の措置なく独占禁止法上問題ないと判断いたしまして,公表いたしております。
 また,平成29年度に審査が終了しました事例のうち6事例については,当事会社が申し出た措置を前提として独占禁止法上問題はないと判断しております。これらはいずれも第1次審査で終了した事例です。
 お手元の資料の2頁目の表2でございます。これは,企業結合計画の形態別の届出件数をまとめたものでございます。「水平型」,「垂直型」,「混合型」としておりますが,「水平型」と申しますのは,同一の取引分野に係る事業に関する統合であり,「垂直型」と申しますのは,取引関係,商流等でいえば川上・川下との間での結合関係が生じるもの,それ以外のものは「混合型」というふうに分けております。水平型の企業結合の届出が最も多くなっておりますが,その割合は減少傾向にございます。垂直型の企業結合は増加傾向にあり,全体の4割くらいを占めております。また,混合型の企業結合につきましても全体の4割くらいを占める状況となっております。
 その下の表3は,外国企業を当事会社に含む企業結合計画に係る届出の推移です。独占禁止法上,外国企業であっても,一定の要件に該当する場合には届出の義務が生じることになっております。平成29年度は平成28年度に比べて外国企業を当事会社に含む企業結合計画に係る届出件数は減少しておりますが,外国企業同士の企業結合で問題解消措置が付された事例が複数ありますように,我が国市場における競争への影響を勘案しまして,影響があるというような企業結合事案であれば,国際的なものであっても引き続き適切に対応していく必要があると考えております。
 お手元の資料の3頁目でございます。本日,「平成29年度における主要な企業結合事例」も公表しておりますが,それを一覧にまとめたものでございます。この事例集は,平成5年度以降,毎年公表しているもので,今回で25回目になります。今年度の12件を含めまして,これまでに合計273の企業結合事例を公表してきております。公正取引委員会は,企業結合審査における独占禁止法の適用の考え方を企業結合ガイドラインとして公表しておりますが,個々のケースにおいてそれをどういうふうに適用するのかというのは,事例に即した判断が必要になりますので,そうした企業結合審査の透明性・予見可能性の一層の向上を図る観点から,公正取引委員会が企業結合審査を行った事例のうち他の事業者の方にも参考となると考えられる事例について,その審査結果について公表してきているものでございます。
 平成29年度の事例集に掲載した12事件をここに掲げておりますけれども,そのうち問題解消措置が付された事例は,右から3番目の「問題解消措置等」の欄に○印を付している3件であります。今年度の事例集の特徴としまして,届出の約4割を占めております垂直型,同じく約4割を占めております混合型の企業結合に関して問題解消措置が付された案件を複数掲載している点が挙げられます。近年,情報通信ネットワークの高度化等に伴い,各種機器間において技術的な接続性を確保する必要性が高まってきておりますが,外国の半導体メーカーや通信機器メーカーの企業結合事例である事例の3番,4番においては,企業結合後の各種機器間の接続性の確保が問題となったものであり,企業結合後も競争事業者の機器との接続性を確保すること等を条件に企業結合が問題ないと判断されたものです。そうした機器間の接続性の確保が問題解消措置とされた事例は,これらが初めてでございます。
 また,企業活動のグローバル化の進展を踏まえまして,海外の競争当局との間で情報交換を行う事例も増えてきております。表の一番右側の「海外情報交換」の欄に○印を付した3件が海外当局と情報交換を行った事例です。また,近年力を入れている経済分析については,第2次審査案件として公表しました「株式会社第四銀行及び株式会社北越銀行による共同株式移転」において,その結果を公表しております。
 この事例集は,毎年,公正取引委員会のホームページに掲載しており,多くのアクセスをいただいております。昨年度の事例集につきましては,昨年の6月から今年の3月までの10か月間に約7,200件のアクセスがありました。また,先ほど270以上のケースを掲載していると申し上げましたけれども,こうした多数の事例が蓄積されておりますので,毎年度の事例を御覧いただいて,それを参照するといっても,なかなか統合的に見るのが難しい面がございます。そこで,問題関心に応じて事例を参照いただけるように,例えば,「問題点を指摘した例」,「輸入について検討を行った例」,「当事会社グループの経営状況が考慮された例」など,それぞれの検討事項に応じて,事例を分類いたしまして,そうした観点から参照できるように整理しております。また,一定の取引分野につきましても,どのような取引分野の認定がされてきたのかということが参照できるように,認定例を一覧にしております。これらも,当委員会のホームページの「企業結合」のページで参照いただけるようになっております。
 公正取引委員会としては,引き続き,法運用の透明性の確保に努めるとともに,企業結合を計画している会社において,この事例集が活用され,届出以前にあらかじめいろいろな点を御検討されて届出に臨んでいただくということが,独占禁止法を理解していただく上でも,また届出後の様々な手続・手順を進めていく上でも,お互いのための利益になるというふうに考えておりますので,そうした点での御理解が一層深まることを期待しております。
 なお,個別の事例の内容につきまして,御関心がありましたら,担当課の企業結合課にお問い合わせいただければと思います。

質疑応答

(問) 今回,審査が終了した事例のうち,6事例について会社側から問題解消措置が出て,それで問題なしと判断したということですけども,2頁に「外国企業同士の企業結合で問題解消措置が付された事例が複数あった」とありますが,この事例集にある2件のほかに,何件全部であったんですか。
(事務総長) 外国企業同士という意味でいえば,この事例集に掲載されている2件です。事例集の3番と4番に当たりますけれども。
(問) そうすると,昨年度の結合審査で,外国企業同士で問題解消措置が出されたのを条件に,1次審査で終了したというのはこの2件だけですか。
(事務総長) この2件だけです。
(問) つまり,ほかの4件については全て日本企業。
(事務総長) 日本企業が含まれているということです。
(問) クアルコムとエヌエックスピーについては,EUなんかでは2次審査に行って公表されていますけれども,問題解消措置が採られるということはある程度複雑な案件かと思うんですけれども,それが1次審査で人々の分からないうちに通ってしまうということについては,じゃあ2次審査の意味は何なのか,公表しなくていいのか,それが出てくるかなと思うんですが,どういうふうに説明されるんですか。
(事務総長) 届出,それから届出に付随して提出される資料だけでは,競争に与える影響というのが十分に判断しきれないという場合には,2次審査に移行するということにしております。そういう意味でいえば,例えばですけど,あらかじめ最初の届出の段階で,こうした企業結合を行います,ただし,それに伴う内容として,こうした問題解消措置を同時に採りますということも含めて説明されるということであれば,我々の審査としてはそれも含めて判断するということになりますので,その問題解消措置が採られるということを前提に考えれば,更に2次審査まで行う必要がないという判断になるということは十分にあり得ることです。
 先ほどの私の説明の最後の方に申し上げましたけれども,企業結合ガイドライン,それから事例集を公表することによりまして,どういった点に独占禁止法上の問題が生じるのかということの情報は,十全とまで言えるかどうか分かりませんけれども,差し上げておりますので,そうしたことを踏まえて,計画されている企業統合がこういう点で独占禁止法上問題になり得るのではないかということはあらかじめ御検討できる余地はあろうかと思っております。そうした検討がされていれば,届出の段階で既にこういうことが問題になるであろうから,それについてはこういう対応を採りますということが併せて,我々の方に提供・説明されるということもこれまでにもございましたし,そういう面では,届出時点で,そうしたことも含めてきちんと御説明いただけていれば,それ以上,追加的な調査は必要はないということでございます。
 ですから,今回いくつかあります1次審査で終了しているというのは,そういう観点から終了して差し支えないというふうに判断したものです。
 問題解消措置が提示されていても,それが必ずしも十分ではないというふうに判断されるならば,仮定の話ではありますけど,やはり2次審査が必要だということになることはあり得ると思います。
(問) つまり,申請する側で,最初から問題を認識して,ある程度の提案をしていけば,公開されずに1次審査でクリアするチャンスがあるということですね。
(事務総長) そういうことになります。

(問) 一昨日の政府の「未来投資戦略」の素案でですね,経済・社会構造の変化に対応した競争政策の在り方の検討,というのが明示されてまして,本年度中に競争の在り方について政府全体で検討を進めて結論を得る,という記述があるんですけれども,この議論に公正取引委員会というのは入っているんでしょうか。
(事務総長) 今の御質問の点に関しましては,以前,既に官房長官が記者会見において,地域経済等に及ぼす影響を踏まえた競争の在り方について,政府全体として検討する必要があるのではないかという趣旨のことを発言されたことがあったかと思います。そうした場が設けられるのであれば,公正取引委員会としては,そうした議論に参加してまいりますということは,以前から申し上げておりますし,政府の決定としてそういうことが決められた場合には,私どもとしても,その議論に参加していくことになると思います。
(問) この文言を見ていると,今でもやっているのではないかというようなことが書いてあるんですね。グローバル競争の激化とか経済・社会構造の変化に応じて検討を進めていくと書いてあるんですけど,あえて書いてあるというのは何か意味があるというふうにお感じになってらっしゃいますか。
(事務総長) 競争政策というのはいろいろな観点がありますし,また,その中にはいろいろな要素が含まれるということなので,必ずしもレッセフェールに置いておくというのが競争政策というわけではないと思います。そういった意味で幅広い観点からどうしたことが適切なのか,また,その一方で,やはり根っこの問題としては公正・自由な競争が維持されて,そして消費者の利益が増進される,また,経済全体が発展していくということが基本的なところにあると思いますので,ある意味,考慮すべきといいますか,検討の前提として考えられることはいろいろ置いているということではないかというふうに思いますが。
(問) この戦略をみていると,成長のためにはちょっとルールを変える必要があるというふうに読み取れるんですけれども,そのようなことを感じられたりというのはしますか。
(事務総長) 必ずしも結論を先取りしているようなものではないというふうには思います。

(問) 確か一昨日だったと思うんですけれども,中国の独占禁止法の当局が,米韓の半導体メーカーの調査の話がありますけれども,日本のメーカーは報道を見る限り入ってないんですけど,率直にどう御覧になっているか,関心を持っているのか,あるいは別の国の話なのか,どうお感じでいらっしゃいますか。
(事務総長) いずれにしても個別のケース,また他国の執行活動に関するものでありますので,こうした場でコメントをするのは適切ではないと思います。それぞれの競争法を持っている国,それからその競争当局が,それぞれの市場における競争を制限する行為があったという場合には,当然,その有無を含めてきちんと調査をするというのは至極当たり前のことであります。ただ,違反があったということが今の時点で確定的になっているというわけではないと思いますので,公正取引委員会としても日本市場に影響を及ぼす違反行為があれば,それが国内の企業であれ,外国企業であれ,必要な調査を行うということはやってまいりますので,そうした報道が事実であるならば,競争当局として必要なことをやっているということなのではないかと思います。

(問) 携帯電話市場の意見交換会なんですけど,一段落したかと思いますが,改めて,事業者からどういったヒアリングをされたのかということと,あと,報告書はいつ頃,どのような形でまとまりそうかというスケジュール感を教えてください。
(事務総長) これまで3回,意見交換会を開催してきております。その中で,キャリアの方,それからMVNOの方からの意見も伺っています。それから,私どもが調査しました消費者アンケートについても御紹介した上で,参加していただいている有識者の方,それからオブザーバーの関係省庁の方々からもいろいろ御意見を伺っております。基本的には,出された意見の概要はホームページに掲載しておりますので,現在のところは,そのレベルで御勘弁をいただきたいと思います。
 今後でございますけれども,意見交換会は,飽くまで私どもの報告書をまとめるに当たって,現に事業をされている方,それから有識者の方からいろいろなお考えのインプットをいただくというものでございますので,それらを踏まえて,また私ども自身が調査をしたことも踏まえて,今後,報告書を作成していくことになります。現在,意見交換会が終わったところで,まだ具体的にいつ頃という確定したものを持っているわけではありませんけれども,私どもが責任を持って,結果として公表するものになるわけですから,十分な質を保てるようなものとして検討を重ねた上で,公表するときには,またお知らせしたいと思います。
(問) 目途として,月内とか,例えば,この夏頃とか,大体のイメージでもいいんですけれども,どうなりそうでしょうか。
(事務総長) 率直に申しまして,今すぐにということはないだろうと思います。

以上

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