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平成30年1月10日付 事務総長定例会見記録

平成30年1月10日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

「平成30年度予算案における公正取引委員会の予算及び機構・定員について」(平成29年12月22日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年1月10日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

平成30年度予算案における公正取引委員会の予算及び機構・定員について

 本日は本年初めての会見になります。また,今年もよろしくお願いいたします。
 まずは,平成30年度予算案についてお話しいたします。
 昨年12月22日,平成30年度予算の政府案が決定されました。お手元の配布資料にございますように,公正取引委員会の平成30年度予算は109億7200万円,前年度当初予算と比べまして2億5000万円,2.2%の減となっております。
 項目が幾つか書いてございますけれども,公正取引委員会では,「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」,「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」など五つの重点施策を掲げており,平成30年度予算案につきましては,実績などを踏まえた既定経費の見直しを図るとともに,新たな施策や体制強化に係る経費を予算計上することにより,全般的に必要な予算が確保されていると考えております。
 中身を若干お話しいたします。「厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用」,そして「中小企業に不当に不利益を与える行為の取締り強化」につきましては,違反事件の調査体制の充実・強化を図る観点から,いずれも前年度に比べ増額となる予算措置がなされております。
 また,「競争環境の整備」,「競争政策の運営基盤の強化」につきましても,国内外に向けた広報等関係経費や運営体制の整備に係る経費を計上しており,いずれも前年度に比べ増額となる予算措置がなされております。
 他方,三つ目の項目にあります「消費税転嫁対策」の予算は,金額としましては2億500万円の減となっております。これは本年度直近の契約実績を踏まえた効率化等によるもので,本年度実施している悉皆的な調査,違反行為に対する厳正な取締り,違反行為の未然防止などにつきましては,来年度も引き続き,必要な対策を講じていけるための予算は計上されていると考えております。
 機構につきましては,政策立案過程総括審議官及び官房国際課企画官の新設,定員につきましては,厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用のために8人など,計12人の増員が盛り込まれております。
 公正取引委員会としましては,平成30年度におきましても,こうした予算・組織上の措置を踏まえて,引き続き,積極的かつ的確な競争政策の運営に努めてまいります。

消費者向けeコマースの実態調査の開始について

 二つ目としまして,資料はございませんけれども,消費者向けeコマースの実態調査の開始についてお話しいたします。
 公正取引委員会では,特定の分野における事業活動の実態などについて,競争政策の観点から調査を行い,独占禁止法又は競争政策上問題となるおそれのある取引慣行や契約条件などが見られた場合には調査結果を公表して,事業者による自主的な改善を促してまいりました。
 このような取組の一環としまして,今般,消費財の消費者向けeコマースの取引実態に関する調査を行うことといたしました。本分野に関連する実態調査は10年ほど前に一度行っておりますが,近年,消費者向けeコマースの市場規模が急速に拡大しているなど状況が大きく変わっております。そこで,実態調査を行うことによって,消費者向けeコマースにおける取引慣行,その競争促進効果及び競争阻害効果について幅広く把握し,今後の政策展開に役立てていきたいと考えております。具体的には,消費者がインターネットを介して購入する物品における,メーカーと流通業者との取引条件,メーカーや流通業者のウェブサイトでの販売方法,オンラインモールでの取引の状況等について調査する予定です。
 デジタル市場における公正かつ自由な競争環境を確保することは,政府全体としても重要な課題となっており,消費者向けeコマースの取引実態を把握することは,この観点からも意味のあることと考えております。
 調査の方法につきましては,消費者向けeコマースを行っている小売業者や,消費財を製造しているメーカー等に対して,主にアンケート票を送付することにより実施することを予定しております。アンケート票の送付は今月中旬を予定しておりますので,該当する事業者におかれては,調査の趣旨を御理解いただき,御協力を願いたいと考えております。
 なお,本件の担当は取引部の取引企画課でございます。

質疑応答

(問) 課徴金制度を改正するための独占禁止法の改正についてですけれども,昨年12月に,自民党の競争政策調査会のほうから,秘匿特権も含めた手続保障について,法制化も目指すということの提案があったかと思いますが,それに対して公正取引委員会のほうから,その法案の延期を含めて検討中かと思うんですが,その対応は決まったんでしょうか。これまで,今度の通常国会への提出を目指してきたかと思うんですけれども,自民党のほうでの手続保障に対する要望の声が強く,競争政策調査会のほうでは,部会を設置するなどの動きがあるようなんですけれども,公正取引委員会としては,例えば,その法案の国会の提出を先送りするとか,あるいはどういうふうに対処するのかが決まっているんでしたら教えてください。
(事務総長) 今,御質問にありましたように,昨年12月7日の自民党・競争政策調査会におきまして,課徴金の見直しの御議論をしていただいたわけですけれども,そこにおきましては,独占禁止法の改正に当たって,弁護士・依頼者間秘匿特権の法制化を目指すこと,それと併せて供述調書等の手続保障も議論するとの取りまとめがなされたと理解しております。ただ,従前から申し上げておりますように,弁護士秘匿特権などの法制化ということであれば,我が国の法体系全般に大きく関わる事柄でございまして,公正取引委員会で対応できる範囲を大きく超えているものでございます。ですので,公正取引委員会として何か対応ができるという性格のものではないと理解しております。
 他方,そうした議論がされておるところでございますので,公正取引委員会としましては,法制度全体にわたる大きな枠組みでの議論を待つことなく,法改正作業を進めるということはできないと考えておりまして,次期通常国会への独占禁止法改正法案提出は見送らざるを得ないと判断しております。
 公正取引委員会としましては,今回の課徴金の法改正の内容全体を全く断念してしまうということではございませんで,引き続き検討は進めてまいりますが,この大きな枠組みでの議論を待って,それは進めていかなければならないというふうに考えております。
(問) そうすると,議論のある程度の結論が出ないと,いつ頃,国会への独占禁止法改正案の提出ができるか,まだ見通しもないということですか。
(事務総長) 議論そのものは,先ほども申し上げました,自民党の競争政策調査会での御議論が基になっているものでございますので,そちらの御意向も踏まえながら検討されなければいけないと考えておりますので,私どもとしても,関係省庁も含めてですね,そうした議論には参加していくことになるんだろうとは思いますが,具体的に,それがどういうふうな形で,どういうふうに進められるかというのは,現状で何か決まっているというものではございません。
(問) じゃあ,時期についての見通しは,今のところは立たないということでよろしいですか。
(事務総長) 現状は,取り立ててこの時期までということを持っているわけではありません。
 
(問) その独占禁止法改正の次期国会での改正を見送らざるを得ないという話ですけれども,改正案だと,いわゆる課徴金制度の見直しとか,リニエンシーももうちょっと実効性あるものにというような感じで,いろいろ期待とかもあったと思うんですけど,見送らざるを得ないということについての所感を一言。
(事務総長) 今回,独占禁止法の改正案の検討作業は,独占禁止法研究会での専門的な御議論も踏まえて行ってきており,また,関係する産業界であるとか,法曹界であるとか,あるいは消費者団体であるとか,いろいろな方々との意見交換も踏まえて検討を進めてきたものでございますので,今回,次期通常国会への提出は見送らざるを得ないというのは,いろいろな御議論があった上でのことですから,やむを得ないというふうには考えますが,私どもとしては,今回の課徴金の仕組みの方向性自身が何か大きな問題があるというものではございませんので,引き続きこれの実現ということでは,様々な方々と,また意見の調整・交換はしていきたいというふうに思います。
 
(問) 先ほどのeコマースの調査なんですけれども,こちらの規模はどれぐらいのものかということと,内容公表がいつ頃になるか,あと,小売・物品ということで,サービス,いわゆるプラットフォームサービスなどは含まれないのかということをちょっと教えてください。
(事務総長) まず,最後の点から申し上げます。今回は物品の販売を行っている方々,その取引慣行というのを中心に考えております。と申しますのは,いろいろ,今御指摘のデジタルコンテンツなども当然eコマースの中には含まれているわけですけれども,まだまだ取引額としては,物の販売というのが過半を占めているというデータもございますので,まずは,そちらで実態を把握したいということでございます。
 アンケートの送付先ですけれども,先ほど申し上げた,取引のいろんな段階に所属している方々ですけど,大体4,000ぐらいを,今,想定しております。
 取りまとめの時期ですけれども,具体的にいつまでというのは,まだはっきりしているわけではありません。ですが,いずれまとまった段階では,また公表はさせていただきたいと思います。

以上

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