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平成30年1月24日付 事務総長定例会見記録

平成30年1月24日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見等について(平成30年1月24日公表資料)

[発言事項]

事務総長会見記録(平成30年1月24日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

有識者と公正取引委員会との懇談会で出された主な意見等について

 本日,私からは,有識者と公正取引委員会との懇談会についてお話しいたします。
 この有識者との懇談会は,公正取引委員会の委員が各地区に赴き,有識者との懇談を通じて,公正取引委員会の活動を御紹介するとともに,各地域の実情や,競争政策・公正取引委員会に対する御意見・御要望を伺うことで,今後の独占禁止法,下請法,消費税転嫁対策特別措置法の適切な運用に反映させていくことを目的としたものでございます。
 今年度は,お配りしました資料の別紙1,4頁になりますが,そこに記載してありますように,昨年の10月下旬から11月初旬にかけまして,旭川市を始めとした8都市で開催いたしました。
 この懇談会には,各地区の商工会議所などの経済団体,消費者団体,学識経験者,報道関係者,教育委員会関係者などの有識者の方々に御出席していただきまして,公正取引委員会の側からは最近の活動状況を説明し,その後,御出席していただいた方々から御意見・御要望を頂いております。
 各地区において頂きました御意見・御要望のうち,主なものを御紹介いたします。
 まず,独占禁止法,下請法の運用に関しましてでございます。配布資料の1頁目の「1」の最初の「・」にございますように,「ビッグデータやAIの活用が企業の競争力に格差をつけていくものと思う。1社がそのノウハウを独占することがないように規制・監督をしてほしい。また,公正で自由なデータ市場の創造・活性化に向けて関係機関と連携して取り組んでほしい。」といったように,IT・デジタル分野における積極的な取組を期待する御意見を頂いております。
 また,2頁目の「2」の最初の「・」にありますように,「中小企業は親事業者から濫用行為を受けやすいが,取引の立場上,なかなか言い出せないでいる。今後,消費税増税等で下請事業者に様々な影響が予想されることから,通報者の保護,下請法の遵守を徹底してもらいたい。」といった中小下請事業者の利益確保に向けた一層の取組を期待する御意見も頂戴しております。
 また,消費税転嫁対策特別措置法の運用に関しましては,2頁目の「3」の最初の「・」にありますように,「消費税を正しく転嫁できない取引関係がまだ存在する。公正取引委員会には,事業者がより相談しやすい体制を作っていただきたい。」といった御意見も頂いております。
 公正取引委員会としましては,引き続き,入札談合やカルテル,そして中小事業者に不当に不利益を与える行為に対して,迅速かつ厳正な対応に努めてまいります。また,消費税の円滑かつ適正な転嫁のために必要な施策につきましても,事業者からの御相談や,各種広報活動などを含めて,引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に,広報活動に関する御意見を御紹介いたします。2頁目の「4」の最初の「・」にございますように,「公正取引委員会や独占禁止法に対する馴染みがないという人も多く,相談するための身近な窓口があると良いと思う。消費者センターのように各拠点に相談所を設置したり,一般的な相談を受け付ける窓口としてフリーダイヤルのようなものを導入して,より相談しやすい体制を構築してはどうか。」といった御意見や,3頁目の上から二つ目,三つ目の「・」にございますように,学生向けに実施しております「独占禁止法教室」をもっと工夫してはどうかといった御意見も頂いております。
 これまでも地域や対象者などに応じて分かりやすい広報活動に努めてきておりますけれども,今回,有識者の方々から頂いた御指摘も踏まえ,より多くの方々に御理解いただけるよう工夫をしながら,広報活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 このほかにも,独占禁止法の改正に関する御意見など,様々な御意見・御要望を頂いております。公正取引委員会は,このような貴重な御意見・御要望を踏まえまして,今後も独占禁止法,下請法,消費税転嫁対策特別措置法を的確に運用してまいりたいと考えております。

質疑応答

(問) 昨日,公正取引委員会委員長の国会同意人事の提示があって,公正取引委員会委員長の定年の規定について,質問をさせてください。独占禁止法第30条では,定年70歳に達したら退くと明記されているわけなんですが,この規定,70歳といわれる定年は,手続によって延長することは可能なのでしょうか。
 それから,延長することが可能じゃないと,今回,同意人事が国会で通った場合,わずか3年でまた新しいトップを選び直すことになると思うんですが,現在検討中の独占禁止法改正の中で,この定年規定についての延長というのを,公正取引委員会では視野に入れていらっしゃるのでしょうか。
(事務総長) まず,最初の御質問でございますけれども,今御指摘がございましたように,独占禁止法第30条第3項の規定によりまして,公正取引委員会の委員・委員長の定年は70歳と定められております。
 この規定につきましては,例えば,ほかの任期のある機関にありますような,前任者の任期が満了した場合に,後任者が決まるまで引き続き職務ができるといったような,職務継続規定の部分がございませんし,そのほかにも特段の規定はございませんので,70歳に達したときに職務を離れるということになります。
 後半の御質問でございますが,今回検討しております独占禁止法改正案の中では,この定年の規定について,特段検討はしておりません。

(問) TPP11のですね,署名の発効のめどがようやく立ったということで,おそらく,整備法案というのを今国会で出し直しになると思うんですけれども,独占禁止法についても,同様に整備法案の中でTPP対応で出し直すと考えてよいのかということと,あと,その中で,確約制度とかですね,実際いつから始まるかとか,そういっためどというのはどうなるんでしょうか。
(事務総長) 11カ国によるTPPについて,交渉がかなり進展したということは,私どもも承知しております。
 御案内のように,今御質問がございました確約制度につきましては,一昨年,成立しました独占禁止法改正案では,TPP協定の発効の日に効力を生ずるということになっております。
 ですので,仮にTPP11という形で協定が発効するということになれば,何らかの手当てが必要になるということになると思いますが,それは独占禁止法に限らず,同様のTPP関連の法律がございますので,それは必要に応じて政府の方で検討していくことになるんだというふうに思います。今,具体的にいつからどういうふうにということが決まっているわけではございません。
(問) 先ほどの質問の関連なんですけれども,同意人事で,所信の対象の人事だと思うんですけれども,今後のスケジュールはどういうふうになるんでしょうか。
(事務総長) 公正取引委員会の委員長は,両院の議院運営委員会で所信表明,それから所信に対する質疑が行われる対象になっております。
 それぞれの日程につきましては,衆議院,参議院,それぞれの方でお決めになることでございます。私どもとしては,できるだけ早くそれを行っていただいて,同意に向けた手続を進めていただければと思っております。
(問) 確認ですけど,杉本委員長の1期の任期が切れるのは何月何日なんでしょうか。
(事務総長) 今年の3月4日まででございます。

(問) 杉本委員長の再任に関して,改めてなんですけれども,総長の受け止めと,あと,今回の独占禁止法改正の提出,今国会,流れてしまうということなんですけれども,再任されるということによって,改正がどのように進められるというふうにお考えか,教えてください。
(事務総長) 公正取引委員会委員長は,内閣総理大臣が任命するということになっておりますので,私の方から個々の人事の内容について何かコメントするのは適当でないと思います。独占禁止法の厳正・適正な運用,競争政策の的確な運用について適した方であるということで,内閣の方から提示されたと理解しております。
 御質問の後半の法改正の点でございますけれども,飽くまで公正取引委員会は合議体の組織でございますので,どのような政策や法執行であれ,合議体としての公正取引委員会がどのように進めるかということでございます。もし仮に,両院の御同意をいただきまして,委員長が再任ということになれば,これまでの方針に大きな変更はないというふうに考えますので,再三から申し上げておりますように,私どもとしても検討は引き続き進めていくことになると思います。

(問) 先ほど,懇談会での主な意見を見せてもらいましたが,これで地銀の話が出たというふうに伺っているんですが,どんな話が出たのかというのを教えていただければと思います。
(事務総長) 直接的にですね,地銀のことということではないですけれども,やはり地域で統合が進むと,それが地域経済に良い影響を及ぼすこともあるし,悪影響を及ぼすこともあるので,的確な判断をしていただきたいということだったと思います。
(問) 初めてなので改めて教えてもらいたいんですけども,九州のところの1件,大分長引いてますけども,考え方をもう一度教えてもらえればと思うんですけれども。
(事務総長) 個別の案件につきまして,見通し等をこういう場で結果が出ないうちにお話しするのは適当でないと思います。
 地銀の統合も含めまして,独占禁止法上,企業統合が行われる際の考え方につきましては,昨年の12月6日のこの会見でも基本的な考え方を御説明しましたし,また,新潟の地銀の統合の案件を,昨年12月15日に公表しておりますけれども,その際にも,かなり詳細な審査結果というのを公表しております。
 基本的には,地銀といいますか,銀行,金融業に限らずですね,競争が制限され,その統合が実施されることによって競争が制限されることになるのかどうかということが眼目でございますので,それは,統合の結果生じる企業体に経済力が集中するのかどうか,そして集中するとして,それに対抗するような力が働く要素があるのかどうか,それは直接の競争者の場合もありますし,似たようなサービス,あるいは場所であれば近隣の地域において同様の商品・サービスを提供している企業が,その統合の対象となっている通常の顧客層に対して代替的な選択肢になるのかどうか,そういった点を中心に審査をしていくことになります。

以上

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