[配布資料]
独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成30年度上半期)について(平成30年10月17日公表資料)
[発言事項]
事務総長会見記録(平成30年10月17日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
独占禁止政策協力委員から寄せられた主な意見(平成30年度上半期)について
本日,私の方からは,独占禁止政策協力委員からの意見聴取についてお話いたします。
本日,平成30年度上半期に行いました独占禁止政策協力委員からの意見聴取においていただいた主な御意見を公表いたしましたので,その概要を簡単に御報告いたします。
この独占禁止政策協力委員制度は,平成11年度から行っているものでございまして,上半期と下半期の年2回,競争政策や公正取引委員会の活動等に関する御意見を伺っております。現在,全国各地域の経済界,報道機関,学識経験者,消費者団体から有識者150名の方々に協力委員をお願いしております。
お配りいたしました資料にございますように,平成30年度上半期には「公正取引委員会に対する期待」,「公正取引委員会の施策の効果」,「地域経済の実情と競争政策上の課題」,「優越的地位の濫用規制・下請法の規制」の4つの項目を中心に御意見をいただきました。
1つ目の「公正取引委員会に対する期待」につきましては,例えば,「プラットフォーマーと呼ばれる企業が情報や取引を独占して力を強めており,世界的にも関心が高まっているので,積極的に不公正な取引が行われていないかを監視してほしい。」,「ベンチャー企業は,被害者にも加害者にもなり得るが,独占禁止法等のルールを知らない可能性があるので,ベンチャー企業に対する独占禁止法等の知識の啓蒙が必要である。」といった御意見をいただいております。
次に,「公正取引委員会の施策の効果」につきましては,例えば,「公立中学校の制服の取引実態調査のように消費者の暮らしに直結する案件は,身近なところに独占禁止法や競争政策の問題が潜んでいるという気付きを与えるものであり,ぜひ積極的に取り組んでほしい。」といった御意見をいただいております。
3つ目の「地域経済の実情と競争政策上の課題」につきましては,例えば,「談合情報が頻繁に寄せられており,入札結果は談合情報どおりになることが多く,談合の土壌がいまだにあるのではないかと感じている。」,「災害復旧の分野で様々な需要が増えていく中で,公正取引委員会が目を光らせる必要がある場面が増加している。」といった御意見をいただいております。
4つ目の「優越的地位の濫用規制・下請法の規制」につきましては,例えば,「働き方改革は大手企業が先行して取り組むため,大手企業と取引関係のある中小企業への無理な発注や業務の肩代わりなどのしわ寄せが生じないようにしてほしい。」,「優越的地位の濫用行為の被害にあっても,後で差別的な取扱いを受けるおそれがあると考え,公正取引委員会へ訴え出ることを躊躇することがあると思う。公正取引委員会に訴えても,決して後で不当な取扱いを受けることはないということを世の中に発信していく必要がある。」といった御意見をいただきました。
公正取引委員会としましては,引き続き,こうした独占禁止政策協力委員の方々からの御意見・御要望を踏まえまして,今後の競争政策を適切に運営してまいりたいと考えております。
本件の担当は官房総務課でございます。
質疑応答
(問) ちょっと本日の議論と変わるんですけれども,一部報道で,プラットフォーマーへの取引実態調査を行う検討ということで報じられているんですけれども,今のその検討状況と,改めてですね,そのルール整備の取組の状況などですね,御説明いただければと思います。
(事務総長) 調査を行うといった報道が行われていることは承知しております。今の2つ目の御質問とも関係しますけれども,現在,閣議決定に基づきまして,経済産業省などともに,プラットフォーマーに対する問題について検討といいますか,議論を進めているところでございまして,それについては閣議決定の方向に従って,何らかの成果を出していく必要があると考えております。その中で,必要に応じて何らかのルール作りというものをした方がいいということであれば,そういうところに着手するということもあるかと思いますが,それはまた今後の議論次第ということでございます。
プラットフォーマー,あるいはデジタル関係のビジネスについては,世間一般もそうでしょうけれども,公正取引委員会も関心を持ってきているところでございまして,若干,切り口は違いますけれども,以前にも「データと競争政策に関する検討会」を設けまして,そこからの研究報告もいただいているところでございます。その中では,データの囲い込みであるとか,収集の方法であるとか,そうしたことで独占禁止法あるいは競争政策上の問題があるのではないか,そういった御指摘もいただいているところでございます。また,個別にそういったプラットフォームビジネスを行っている方々について,独占禁止法違反の疑いということで調査を行って,幾つかのケースについては処理の結果を公表してきております。
今,申し上げましたように,従来から,公正取引委員会としましても,こうした分野については多くの関心を持ってきております。そういった意味で,今後,こうした分野における取引慣行について調査をする必要性は高まっているのだろうというふうに考えておりますが,具体的にどういった内容について,さらにいつから,どういう方法でということが固まっているわけではございませんので,それについては,今現在,内部で,どういった切り口があるのかという点も含めて検討しているところでございます。
(問) 調査を検討しているけれども,具体的な方法や時期とかは,まだそれは未定だと,そういう状況だと。
(事務総長) おっしゃるとおりです。
(問) 関連してなんですけれども,先ほどの最後の方に,どういった切り口があるのかということも検討していきたいということだったと思うんですけれども,逆に,どういう切り口があり得るのか。優越的地位の濫用ということなのか,もうちょっと個人情報の管理というようなところの切り口なのか,幾つかあると思うんですけれども,どういったことが考えられるか,一般論でも構わないんですけど。
(事務総長) 諸外国の例を見ましても,プラットフォーマーが,例えばOSが広く普及していることに乗じて,そこで得た力を濫用しているのではないか,あるいはデータの収集の仕方に関連して,個人の自己決定権といいますか,そうしたものを侵害しているのではないか,そうした観点から調査なりが行われているということも承知しております。そうした諸外国の事例でありますとか,先ほど申し上げた検討会の報告も含めてですね,これまで,私どもなり,あるいは国内の他の機関なりがどういった視点で問題を考えているのかということも含めて検討しているところでございます。ただ,飽くまで独占禁止法あるいは競争政策という観点でございますので,間口をどこまで広げるかということについては,私どもの本来やるべき仕事との関係で,一定の限度があるのではないかというふうに思います。
(問) 今の質問とちょっと関連で,先週,発表があったエアビーアンドビーのことなんですけれども,こちらは公正取引委員会としては初めてAPIに関して,競争法的な問題を検討したということで,APIなど,どんどんデータが膨大になるにつれ,使わなければいけないソフトウエアであるとか,そういうものを調べに入ったというのも,今,おっしゃっているプラットフォーマーのビジネスと競争政策の関連の一連というふうに考えてもよろしいでしょうか。
(事務総長) 広い意味では,こうしたビジネスを行う際には,API,それに関連するソフトウエアのようなものを使うということは,よくあることでしょうから,先ほど申し上げた問題関心の範疇に含まれると思います。ただ,飽くまで今の話は個別ケースに関わる話であり,それが独占禁止法違反の疑いにどのように関わっているのかということから取り上げたわけですので,API一般について何かこういうふうにしなければならないというふうなことにまで拡大するのは,若干,行き過ぎなのかなと思います。
以上