令和5年6月30日現在
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development;経済協力開発機構)は、経済・社会分野において多岐にわたる活動を行っている国際機関で、欧州諸国、米国、日本等を含む38か国 によって構成されており、欧州委員会(EC)もOECDの諸活動に参加しています。2,000名を超える専門家を抱えていることもあり、「世界最大のシンクタンク」といわれています。
公正取引委員会は、OECDの活動の中心となる各種委員会のうち、主に競争委員会(Competition Committee、加盟国のほか非加盟国・地域がオブザーバーとして参加)の活動に参加しています。同委員会は、加盟国間における競争法及び競争政策の進展について検討し、また、その整備及び施行に関する加盟国間の協力を促進することを目的としています。
公正取引委員会からは、平成21年10月以降、公正取引委員会委員が副議長の一人としてビューロー(幹部会)メンバーとなっており、競争委員会の活動に積極的に関与しています。
競争委員会では、本会合が通例年2回(6月及び11月又は12月)開催されており、その時々の重要問題について議論が行われるほか、各加盟国等の競争政策に関する年次報告が行われています。
また、本会合の下には、競争と規制に関して議論する第二作業部会及び国際協力と執行に関して議論する第三作業部会が設けられており、本会合に併せて会合が開催されています。
さらに、年1回、非加盟国・地域を招請して議論する「競争に関するグローバルフォーラム」が開催されています。
公正取引委員会は、これらの会合に出席し、各種貢献文書及び年次報告を提出した上で発言やプレゼンテーションを行うなど、積極的にその活動に参加しています。
OECD競争委員会会合
令和6年6月会合
これまでの会合の概要
令和5年12月会合 令和5年6月会合 令和4年11月・12月会合 令和4年6月会合 令和3年11月・12月会合
令和3年6月会合 令和2年11月・12月会合 令和2年6月会合 令和元年12月会合 令和元年6月会合
平成30年11月会合 平成30年6月会合 平成29年12月会合
OECDにおける議論の成果(勧告のリンク先から和英対訳(暫定訳)を御覧いただけます)
OECDの会合における議論は、各国から提出された貢献文書とともに、報告書の形式で取りまとめられます。また、重要な課題については、会合での議論を踏まえ、理事会勧告やガイドラインが策定されています。
最近では、令和5年6月に、「公共調達における入札談合撲滅に関する理事会勧告」(平成24年採択)が、採択時以降の競争法執行の進展を考慮し、世界的なグッドプラクティスを取り入れることを目的として改定されました。また、併せて、全ての知的財産権の利用に伴う制限的商慣行への対処を目的として、「商標及び商標ライセンスの使用に関する制限的商慣行に対する措置に関する理事会勧告」(1978年採択)及び「特許及びノウハウライセンス契約に対する競争法及び競争政策の適用に関する理事会勧告」(1989年採択)を統合した「知的財産権及び競争に関する理事会勧告」が採択されました。
現行の主な理事会勧告は下記のとおりです。
「ハードコアカルテルに対する効果的な措置に関する理事会勧告」(平成10年採択、令和元年改正) (価格カルテルや入札談合に対する国際的な取組の強化を目的として策定) |
「企業結合審査に関する理事会勧告」(平成17年採択) (企業結合審査手続に係る収れんの促進を目的として策定) |
「競争法の審査及び手続における国際協力に関する理事会勧告」(平成26年採択) (競争当局間の国際協力を促進し、反競争的行為による悪影響を軽減することを目的として策定) |
「競争評価に関する理事会勧告」(平成21年採択、令和元年改正) (規制影響分析(RIA)における競争評価の視点の導入等を目的として策定) |
「競争中立性に関する理事会勧告」(令和3年5月採択) (公的機関の活動により全ての事業者に公平な競争条件が提供されることを目的として策定) |
「競争法執行における透明性及び手続の公正性に関する理事会勧告」(令和3年10月採択) (透明で公正な競争法執行に関する共通の基準を確立するために、支持国が遵守すべき原則(競争法執行の透明性及び予測可能性の確保、競争法執行の独立性、公平性及び専門性の確保等)を提示) |
「公共調達における入札談合撲滅に関する理事会勧告」(平成24年採択、令和5年6月改定) (公共調達における競争を促進し、入札談合に対する法執行等を支援することを目的として策定) |
「知的財産権及び競争に関する理事会勧告」(令和5年6月採択) (知的財産権の利用に伴う制限的商慣行への対処を目的として策定) |
OECDの今後の活動
競争委員会では、同委員会において優先的に取り組んでいくテーマを2年ごとに設定しています。現在(2023年~2024年)のテーマは、「競争法の目的」、「競争のアドボカシー活動の重要性」、「デジタル分野」、「国際執行協力の強化の促進」及び「行動経済学の活用」となっており、これらのテーマに関して、様々な側面から議論が行われています。次期(2025年~2026年)の優先テーマとしては、「デジタル経済とAI等の新技術」、「競争と持続可能な環境政策」、「競争促進的な産業政策」、「競争政策の実施手段(企業結合審査、市場調査等)」及び「競争当局の活動の影響評価」を取り上げることが決定されました。
OECD競争委員会の最近の動きに関する詳細は、OECDの公式ホームページ(外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます)(英語版のみ)を御覧ください。