2012年12月

EU

欧州委員会,テレビ用ブラウン管及びコンピューターのモニター用ブラウン管に係る価格カルテルに関して,7の国際企業グループに対し,総額14億7000万ユーロの制裁金を賦課

 2012年12月5日 欧州委員会 公表

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【概要】

 欧州委員会は,テレビ用ブラウン管及びコンピューターのモニター用ブラウン管の分野におけるいずれか又は両方のカルテルに関与したとして,東芝及びパナソニックを含む7の国際企業グループに対し,総額14億7051万5000ユーロの制裁金を賦課した。 
 これらの事業者は,1996年から2006年の約10年の間,共同して,価格協定,市場分割及び顧客割当てを実施し,さらに生産量についても制限していた。
 本件カルテルは,テレビ用ブラウン管及びコンピューターのモニター用ブラウン管のそれぞれについて世界的に実施されており,欧州委員会は,欧州経済領域(EEA)全域における違反を認定した。 
 Chunghwa,LG Electronics,Philips及びSamsung SDIは両方の用途向けのブラウン管のカルテルに,一方,パナソニック,東芝,MT映像ディスプレイ(現在パナソニックの子会社)及びTechnicolor(以前のThomson)はテレビ用ブラウン管のカルテルのみに関与していた。 なお,本件カルテルの存在に関し,最初に情報提供をしたChunghwaは,2006年リニエンシー告示に基づき,制裁金の全額免除を受けている。

欧州上級裁判所, AstraZeneca groupによる市場支配的地位の濫用事件に関し,欧州委員会の決定を大筋で支持した欧州普通裁判所判決を支持

 2012年12月6日 欧州上級裁判所 公表

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【概要】

 欧州上級裁判所は,製薬メーカーAstraZeneca groupによる市場支配的地位の濫用事件における欧州普通裁判所の判決を不服として,AstraZeneca groupが上訴していた件について,欧州普通裁判所は何ら法律上の誤りは犯していないとしてその判決を支持した。
 2005年6月,欧州委員会は,AstraZeneca groupが,(1)抗潰瘍薬のジェネリック薬の参入及びオリジナル薬の並行輸入を妨げるため,加盟国の特許当局に不正な申請を行うことによってオリジナル薬の特許期間の延長を図ったこと,(2)医薬品の販売には加盟国医薬当局への販売承認が必要であり,オリジナル薬の販売承認があればジェネリック薬の販売が容易であるところ,ジェネリック薬の販売及びオリジナル薬の並行輸入を困難にさせるべく特定の国においてオリジナル薬の販売承認登録を解除したことが,市場支配的地位の濫用に当たるとして,AstraZeneca group に対し6000万ユーロの制裁金を賦課した。
 これに対し,AstraZeneca groupは,欧州普通裁判所に対して,同委員会の決定の取消し又は制裁金の減額を求めて提訴したところ,2010年7月,欧州普通裁判所は,欧州委員会の決定の一部を取り消し,制裁金を減額したものの,欧州委員会を大筋で支持する判決を下していた。

欧州委員会,Samsungに対し異議告知書を送付

2012年12月21日 欧州委員会 公表

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【概要】

 欧州委員会は,SamsungがAppleに対し携帯電話の標準必須特許を侵害したとして複数のEU加盟国において差止訴訟を提起していることが,EU法で禁止している支配的地位の濫用に該当するとの予備的見解をSamsungに通知した。差止訴訟は特許権侵害に対する救済措置となり得る一方,標準必須特許に関連するものであり,かつ,潜在的なライセンシーが公正,合理的かつ非差別的な条件(以下「FRAND条件」という。)でのライセンスについて交渉する意思がある場合,濫用行為となる可能性がある。
 問題となっているSamsungの標準必須特許は,携帯及び無線業界において重要な規格である,欧州電気通信標準化機構(ETSI)の3G UMTS規格に関連する特許である。この規格が欧州において採用された際,Samsungは,FRAND条件で当該特許権をライセンスすることを誓約していたが,2011年,同社はAppleが当該標準必須特許を侵害したとして,差止訴訟を複数のEU加盟国において提起した。

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