2012年4月

EU

保護主義と闘うための国際協力(第11回ICN年次総会でのJoaquin Almunia競争担当副委員長のスピーチ)

 2012年4月18日 欧州委員会 公表

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【概要】

 この20年,アジア,アフリカ及びラテンアメリカ諸国の台頭により,グローバル経済は様変わりした。グローバル経済の発展により,世界市場はより一体化してきている。そしてこの状況は,競争当局にも影響を与えている。例えば,欧州委員会は,企業結合案件に係る決定の約3分の1,カルテル事件に係る決定の約40%,その他の反トラスト事案に係る決定の約半分に関して,それぞれ他の当局と協力した。我々が,責任を持って自らの義務を遂行するためには,二国間及び多国間での協力を強化しなければならないことは明らかである。そして,当局間が異なる制度の下で活動しているからといって,この協力が阻まれてはならない。我々は常に基本原則において合意しており,収れんのために努力し,共に働くための効率的な方法を見出すことができるのだ。ICNには,世界の競争当局の大半が加盟しており,カルテル事件や企業結合案件について当局間の協力が進んでいる。例えば,電子書籍の件では,欧州委員会は米国の司法省と並行して審査を行った。異なる制度や歴史を持つにも関わらず,重要なカルテル事件,企業結合案件,そしてその他の反トラスト事案に対し積極的に協力しようとする精神を讃えたい。そしてもう一つ,当局間の協力が重要であることの理由として,国際貿易のための競争政策の重要性が挙げられよう。関税,輸出入割当て,その他保護貿易主義の障壁だけでなく,公的企業及び民間企業による反競争的行為もまた国際貿易に損害を与えることは我々も知るところである。また,欧州における国家補助についても,貿易及び成長を妨げる保護主義的な方法でなされてはならない。
 我々の究極の目標は,保護主義と闘うために共に努力することである。いずれの政府も経済危機の間は,障壁を作りたがるものだが,保護主義は解決策とはならない。国際貿易において対等な競争条件を築くことこそが全てに恩恵をもたらすことになるだろう。欧州連合はG20のメンバーとして,保護主義的な措置の回避を誓約しており,今後も二国間及び多国間の貿易において市場の開放を進めていく。

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