EU
欧州普通裁判所,2004年の欧州委員会決定に基づく義務を遵守していなかったとして,Microsoftに対し履行強制金を課した2008年の欧州委員会決定を基本的に支持
2012年6月27日 欧州普通裁判所 公表
【概要】
2004年3月24日,欧州委員会は,Microsoftが,競争事業者に対し特定の相互運用性に関する情報を開示することを拒否し,競争事業者がその情報を使ってワークグループサーバーOSの市場における同社の競合品を開発・販売することを認めなかったことは,支配的地位の濫用に該当するなどとして約4億9700万ユーロの制裁金を課した。欧州委員会はまた,是正措置として,競争事業者による当該情報へのアクセスを認め,合理的かつ非差別的な条件で利用できるようにすることをMicrosoftに命じた上で,当該決定の遵守を確保するため,同社の援助を受け,同社の情報,文書,施設,従業員及び関連する同社製品のソースコードにアクセスする権限を有する,欧州委員会とは独立した監視受託者を同社の負担により任命するよう求めた。
その後,Microsoftと欧州委員会は,相互運用性に関する情報へのアクセスを可能とするための仕組みを設けるための話合いを行っていた。しかし,Microsoftが完全かつ正確な相互運用性に関する情報の開示を怠ったこと及び当該情報へのアクセスに対する料金が合理的ではなかったことを踏まえ,2006年7月,欧州委員会は同社に対し2005年12月から2006年6月までの間,2004年の決定を遵守していなかったとして,2億8050万ユーロの履行強制金を課した。
2007年9月,欧州普通裁判所(旧欧州第一審裁判所)は,監視受託者に関する部分を除き,2004年の決定を支持した。
さらに,欧州委員会は2008年2月,2006年6月から2007年10月の期間について,Microsoftが相互運用性に関する情報へのアクセスに対し非合理的な価格を求めたとして8億9900万ユーロの新たな履行強制金の支払を命じた。Microsoftはこの決定の取消し又は履行強制金の取消し若しくは減額を求め,欧州普通裁判所に提訴した。
欧州普通裁判所は,今回の判決において,決定の取消しに係るMicrosoftの主張を退け,基本的に欧州委員会の決定を支持した。他方で,欧州委員会がMicrosoftに宛てた2005年6月1日付けの書簡に,2004年の欧州委員会決定に対する欧州普通裁判所の判決が下されるまで,Microsoftは一定の製品の配布を制限することができると記されていたことを考慮し,履行強制金の額を8億9900万ユーロから8億6000万ユーロに減額した。
欧州委員会,水管理製品の価格カルテルに関して,2事業者に対し,総額約1300万ユーロの制裁金を賦課
2012年6月27日 欧州普委員会 公表
【概要】
欧州委員会は,EU競争法に違反し,冷暖房及び衛生システムに利用される水管理製品の価格カルテルに参加したとして,同製品の製造事業者であるFlamco及びReflexに対し,総額1366万1000ユーロの制裁金を賦課した。本件は,和解手続の適用によって,上記2社の制裁金がそれぞれ10%減額されており,和解手続が利用された6件目の事案となる。
なお,Pneumatexは,本件カルテルに関与したものの,欧州委員会に対して本件カルテルの存在を明らかにしたため,2006年リニエンシー告示に基づき,制裁金を全額免除された。
Flamco及びReflexは,2006年6月から2008年5月までの間,ドイツ市場においてPneumatexと共に本件カルテルを行っていた。さらに,Reflex及びPneumatexは,2006年秋から3か月の間,他のEU加盟13か国にまで反競争的行為を拡大させていた。