EU
欧州委員会のヴェステアー委員,電子商取引分野に係る実態調査を近く開始する旨公表
2015年3月26日 欧州委員会 公表
原文
【概要】
欧州委員会のヴェステアー委員(競争政策担当)は,ベルリンの会議において,電子商取引分野に係る実態調査(e-commerce sector inquiry)を近く開始する旨公表した。
欧州では,インターネットを通じて売買される商品やサービスが増加の一途をたどっている。他方,EU域内における国境を越えたオンライン上の販売件数は緩やかな増加にとどまっている。この原因の一部は,言語の障壁,消費者の選好及びEU加盟国間での法制の相違であるが,一部の事業者が国境を越えた電子商取引に対して制限的な措置を講じている可能性もある。今回の実態調査では,こうした制限的措置をより的確に特定し対処することに重点的に取り組むことになるが,これは,連結したデジタル単一市場を創り出していくという欧州委員会の最優先業務の一環である。ヴェステアー委員は,欧州委員会に対し,今後数週間のうちにこの提案を行う所存である。
欧州市民は,オンラインサービスの熱烈な利用者である。2014年には,EUの消費者の約半分がオンライン上で買い物をしたが,他のEU加盟国に拠点を置く売り手からオンライン上で買い物をしたのはEUの消費者の約15%に過ぎなかった。これは,電子商取引分野において,国境を越えた障壁がEU域内に未だに相当程度存在することを示している。例えば,地域制限(geo-blocking)などの技術的な障壁により,居住地又はクレジットカード情報に基づいて,消費者は,特定のウェブサイトへのアクセスを妨げられている可能性がある。
今回の実態調査においては,デジタルコンテンツや電子商品に係る国境を越えた電子商取引を制限する,民間部門による障壁,特に契約に関する障壁について焦点を当てるつもりである。欧州委員会は,今回の実態調査の期間中に,全EU加盟国にわたって多くの関係者から情報を集めたいと考えている。
実態調査を通じて集めた情報は,電子商取引分野における競争法の執行活動だけでなく,デジタル単一市場を促進するために欧州委員会が計画している様々な法案提出に向けて役立つことになるだろう。