2015年10月

米国及びEU

南アフリカ競争委員会,日本郵船等の海運業者が,南アフリカ発着の自動車海運市場において,価格調整,市場分割及び入札談合を行っていた旨公表

2015年6月30日 南アフリカ競争委員会 公表

原文1
原文2

【概要】
1 司法省は,General Electric Company(以下「GE社」という。)がAlstom S. A.(以下「アルストム社」という。)を約138億ドルで買収する計画について,これを阻止する反トラスト民事訴訟を連邦地方裁判所に提起するとともに,競争上の懸念を払拭するためにGE社に対しアルストム社の子会社であるPower System Mfg. LLC(以下「PSM社」という。)の売却を求める同意判決案を提出した。

 司法省は,訴状において,アメリカに所在するGE社製7FAガスタービンのアフターケアサービス市場にはGE社,PSM社を含め3社しかいないこと,PSM社が1998年に当該市場に参入したことにより大幅な価格の下落と多くの新しい部品の開発につながったことから,独立した競争者としてのPSM社が失われることによりGE社製ガスタービンの所有者,ひいては消費者を害することになり,アフターケアサービス市場における競争が害されるとしている。他方,同意判決案においては,GE社がPSM社をAnsaldo Energia S.P.A.(以下「アンサルド社」という。)に売却するか,あるいは政府が認める売却先に売却することによって競争上の懸念が払拭されるとしている。

2 欧州委員会は,詳細審査の結果,GE社によるアルストム社のエネルギー事業の買収計画について,アルストム社の大型ガスタービン事業の中核部分をアンサルド社に売却するという条件付きで承認した。

 大型ガスタービンとは,主にガス火力発電所で利用されるものであるが,欧州委員会は,この買収計画により大型ガスタービン市場における重要な競争者の1つが消滅し,技術革新の減退,価格の高騰が起こることを懸念していた。

 欧州経済領域内の大型ガスタービン市場においては,GE社を筆頭に,Siemens社,アルストム社,三菱日立パワーシステムズの4社にシェアが集中し,5位のアンサルド社とは差があるところ,本件買収によりGE社は欧州経済領域内において50パーセント以上のシェアを有することとなるが,このような措置がとられた場合,大型ガスタービン以外の分野について,GE社とアルストム社は,重複的ではなく補完的な関係にあるため本質的な競争上の懸念はないと,欧州委員会は判断した。

EU

欧州委員会,反競争的協定を締結している疑いで,英国の有料テレビ放送局Sky UK及び米国の映画会社6社に対し,異議告知書を送付

2015年7月23日 欧州委員会 公表

原文

【概要】

 欧州委員会は,Sky UK及び米国の大手映画会社6社(ディズニー社(Disney),NBCユニバーサル社(NBC Universal),パラマウント・ピクチャーズ社(Paramount Pictures),ソニー社(Sony),21世紀フォックス社(Twentieth Century Fox)及びワーナー・ブラザーズ社(Warner Bros))に対し,異議告知書を送付した。

 米国の映画会社は,通常,一つのEU加盟国(又は共通の言語を使用する何か国かのEU加盟国をまとめて)について1社の有料テレビ放送局に対し,映画等の視聴用コンテンツをライセンスしている。

 欧州委員会は,2014年1月に審査を開始し,映画会社6社とSky UKとのライセンス契約において,Sky UKに対し,ライセンスを受けた国(英国及びアイルランド)以外の国に居住する消費者がインターネット上の有料テレビサービスや有料テレビの衛星放送を通じて映画を視聴できないよう遮断すること(いわゆる「国別アクセス制限(geo-block)」)を求める条項を特定した。そのような条項は,国外に居住する消費者,すなわち,Sky UKが積極的に販促活動を行っていない又は自社のサービスを宣伝していない(いわゆる「受動的販売(passive sales)」),EU加盟国に居住する消費者からの同社の有料テレビ提供に対する飛込みの注文(unsolicited requests)を受入れるSky UKの能力を制限するものである。また,一部の契約では,映画会社に対し,Sky UK以外の放送局とライセンス契約を行う際は,これらの放送局が英国及びアイルランド内で有料テレビサービスの提供を行わないことを保証することを求める条項を含んでいる。結果として,これらの条項は,Sky UK又は他の放送局に対して,「絶対的地域独占権(absolute territorial exclusivity)」を与え,有料テレビ放送局間の国境を越えた競争を制限し, EU域内市場を国境によって分割するものである。欧州委員会の予備的結論によれば,説得力のある正当化事由がない場合,当該条項は,反競争的協定を禁止するEU法制(EU機能条約第101条)に対する重大な違反行為となるものである。

 また,欧州委員会は,本件の映画会社とEUの他の大手放送局(フランスのカナルプリュス社(Canal Plus),イタリアのスカイ・イタリア社(Sky Italia),ドイツのスカイ・ドイチェランド社(Sky Deutschland)及びスペインのDTS社)との間でのライセンス契約に関して,既に懸念を示しており,EU加盟国内における有料テレビへの国境を越えた接続について引き続き審査する。

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