2016年4月

EU

欧州委員会,外航海運の運賃に係る慣行に関して定期コンテナ船事業者が提案した確約案について,意見募集

2016年2月16日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,協調行為に関する欧州委員会の懸念に対処するために定期コンテナ船事業者(以下,「船社」という。)15社が提案した確約案について,利害関係者に対し意見募集を開始した。当該確約は,3年間適用される予定である。 
 定期コンテナ船は,複数の港湾(例えば,上海・香港・シンガポール)から異なる複数の港湾(例えば,ロッテルダム・ハンブルク・サウサンプトン)までの決められた運航スケジュールを設定して運送するコンテナ輸送である。コンテナ輸送においては,海上輸送によって運ばれるばら荷以外の貨物が大部分を占めている。
 船社15社は,将来的に自社の運賃を引上げる意向があることについて,自社のウェブサイト,報道等の様々な媒体を通じて定期的に公表している。これらの船社とは,中海集運社(中国),CMA CGM社(フランス),中国遠洋運輸集団社(中国),長栄海運社(台湾),ハンブルク・スド社(ドイツ),韓進海運社(韓国),ハパックロイド社(ドイツ),現代商船社(韓国),マースク社(デンマーク),商船三井(日本),MSC社(スイス),日本郵船(日本),東方海外国際社(香港),UASC社(アラブ首長国連邦)及びZIM社(イスラエル)である。
 運賃の一斉引上げ(GRI)として知られるこのような価格公表は,関係するサービス料金の最終的な決定を意味するわけでなく,輸送コンテナ1単位(20フィートコンテナ換算,TEU)当たりの米ドルでの値上げ額,影響を受ける航路及び値上げ実施予定日を示しているに過ぎない。値上げは,一般的にTEU当たり数百米ドルと相当程度の規模となる。
 運賃の一斉引上げの公表は,通常,実施予定日の3から5週間前に行われ,予定日までの間,その他の船社のうちの数社又は全ての船社は,同一又は類似の航路において運賃を値上げする意向と同一又は類似の実施日を公表する。公表された運賃の一斉引上げは,船社のうちの数社によって時々延期又は変更され,他の船社らが公表した運賃の一斉引上げと同一になる場合がある。
 欧州委員会は,運賃の一斉引上げについて,新価格に関する完全な情報を顧客に提供しないだけでなく,船社が価格設定に関する互いの意図を探り合いながら,設定について調整することを可能にしているのではないかと懸念している。当該行為は,EU及びEEAの競争法(EU機能条約第101条及びEEA協定第53条)に違反するおそれがある。
 欧州委員会の懸念に対処するために,船社が提案した確約は次のとおりである。
・ 船社は,運賃の一斉引上げ,すなわち,変更額又は変更率だけを単に示した価格変更については,公表及び通知を中止する。
・ 顧客が価格公表を理解し当該公表を信頼することができるようにするためには,船社が公表する価格変更について更に透明性を図ることが有効であり,運賃を構成する少なくとも5つの主運賃(基本運賃〔base rate〕,燃料油割増料金〔bunker charges〕,保安対策料金〔security charges〕,港湾施設内コンテナ取扱料金〔terminal handing charges〕,及び該当する場合は,繁忙期割増料金〔peak season charges〕)を明らかにする。
・ 今後の公表は,一定期間内,上限価格として船社に対し拘束力を有するものとする(船社は上限価格より低い価格を提示してもよい。)。
・ 価格の公表は,価格変更を実施する31日以上前(通常,顧客が相当量の船積み予約を開始する時期)には行わない。 

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