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2018年8月

EU

欧州委員会は,カルテルによって間接購入者及び最終消費者が被った経済的損害を算定するためのガイドライン案を公表するとともに,パブリックコメントを開始

2018年7月5日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,カルテルによって間接購入者及び最終消費者に転嫁された価格の増加分を加盟国裁判所が算定するためのガイドライン案を公表するとともに,パブリックコメントを開始した。意見提出の締切りは2018年10月4日までである。
 欧州損害賠償指令は,欧州競争法の違反行為によって被害を受けた欧州市民や企業が損害賠償を請求するためにある。同指令は,カルテルを行っていたと認定された企業の直接の顧客だけでなく,間接購入者及び最終消費者にも適用される。直接の顧客がサプライチェーンを通じてカルテルによる超過額の全額又は一部の額を間接購入者や最終消費者に転嫁することが可能であるときに,間接購入者や最終消費者もカルテルによって損害を被るとされる。
 加盟国裁判所は,間接購入者等に対する転嫁によって生じた補償額の水準を,個別事案に応じて決めている。しかしながら,間接購入者に転嫁された正確な超過額の総計を決めることは困難を極める。こうした理由から,損害賠償指令においては,加盟国裁判所が間接購入者に転嫁された超過額の負担分を算出することを支援するために,欧州委員会が拘束性の無いガイドラインを発出することとしている。
 当該ガイドラインの目的は,加盟国裁判所や他の利害関係者に対し法的・経済的ガイダンスを提供することである。ガイドライン案では,間接購入者に対して転嫁された超過額を評価する際に加盟国裁判所が利用可能な手続的手法及び転嫁された超過額の総額を算出するための加盟国裁判所の権限を記載している。また,当該ガイドラインは,転嫁された超過額を定量化するための最も一般的な経済的手法の概要を示すとともに,2013年に発出した損害算出に関する実践ガイドを補足することを意図している。
 

背景

 カルテルや支配的地位の濫用といった欧州競争法違反は,経済全体だけでなく特定の事業者及び消費者に対し,非常に深刻な損害を与えるものである。例えば,これらの者は,市場が閉鎖されることによって生じた高価格又は低利益によって損害を被ることになる。
 こうした被害者は,この損害による補償を受けるに値し,加盟国裁判所に損害賠償請求訴訟を提起することによって補償を受けることができる。欧州損害賠償指令は,加盟国が2016年12月27日までに加盟国の法制度において実施しなければならないものであり,反競争的行為の被害者が補償を受けることを容易にするための制度である。
 

欧州委員会は,Googleが,インターネット総合検索サービス市場,モバイルOS市場及びAndroid OSのアプリケーションストア市場における支配的地位を濫用し,Android端末製造業者及び移動体通信事業者に対し制限を課していたとして,同社に対して総額43億4000万ユーロの制裁金を賦課

2018年7月18日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,Googleが,インターネット総合検索サービス市場,モバイルOS市場及びAndroid OSのアプリケーションストア市場における支配的地位を濫用し,Android端末製造業者及び移動体通信事業者に対し制限を課していたとして,同社に対して総額43億4000万ユーロの制裁金を賦課し,90日以内に是正措置が採られない場合は親会社Alphabetの全世界1日当たり平均売上高の最大5%までの制裁金を賦課する旨公表した。
 

Googleの経営戦略と欧州委員会による調査の対象

 Googleは,収益の大部分を主力製品である検索エンジンに依存している。同社は2000年代半ばに始まったデスクトップPCからモバイルインターネットへの移行によって,Googleの検索アプリであるGoogle Searchが根本的に変化することを早くから認識していた。そして,Googleはこの移行が及ぼす影響を予見し,携帯端末でも,ユーザーがGoogle Searchを使用し続けることを確保する経営戦略を策定した。
 2005年,Googleは,モバイル端末向けオペレーティングシステム(OS)であるAndroidのオリジナル版を開発したAndroid社を買収し,それ以降,Androidの開発を継続してきた。そして,今日,欧州及び世界全体のモバイル端末の約80%はAndroidを搭載している。
 Googleは,Androidの新バージョンを開発する際に,そのソースコードをオンライン上に公開している。このことによって,第三者は,原則として,自由にコードをダウンロードし,修正し,改造版Android(Androidフォーク)を作成することができる。Androidのソースコードで自由に利用できるのは,モバイル端末向けOSの基本機能に関する部分であり,Googleが有するAndroid向けのアプリやサービスは含まれない。したがって,端末製造業者が,GoogleのAndroidアプリやサービスを利用するには,Googleとライセンス契約を結ぶ必要があるが,その中で,Googleは一定の制限を課している。また,Googleは,特定の大手移動体通信事業者が最終消費者向けに販売する端末にどのアプリやサービスをプリインストールするかを決定する場合に,これらの事業者とも契約を結び,同様の制限を課している。
 欧州委員会の決定は,Googleが端末製造業者及び移動体通信事業者に課した3種類の契約上の制限に関するものである。これらの制限を課すことで,Googleは,同社がインターネット検索エンジンに関して有する支配的な地位を維持・強化する手段としてAndroidを利用している。言い換えれば,今回の決定は,Androidが採用するオープンソースモデルやAndroid自体を問題とするものではない。
 

Googleの支配的地位の認定

 欧州委員会は,決定の中で,以下のとおり,Googleがインターネット総合検索サービス,ライセンス可能なモバイルOS及びAndroidのアプリストアの市場において支配的地位にあると認定した。
 
インターネット総合検索サービス
 Googleは,欧州経済圏(EEA)加盟31カ国全てのインターネット総合検索サービスの市場において支配的地位にあり,ほとんどのEEA加盟国で90%以上のシェアを有している。そして,これらの市場における参入障壁は高い。この点は2017年6月のGoogleショッピングに係る決定でも認定されている。
 
ライセンス可能なモバイル端末向けOS
 Androidは,モバイル端末向けOSをライセンスしている。 このことは,グーグル以外のモバイル端末製造業者は,ライセンスを取得すれば自社のモバイル端末上でAndroidを実行することが可能となることを意味する。Googleは,Androidのライセンスを支配することで,中国を除く全世界のライセンス可能なモバイル端末向けOS市場で95%以上のシェアを有する支配的地位にある。また,モバイル端末向けOSにはネットワーク効果が働く。すなわち,Androidを搭載する端末を利用するユーザーが増えるほど,より多くの開発業者がAndroid向けにアプリを開発することとなり,その結果,さらに多くのユーザーが Android搭載端末を利用することとなる。加えて,新たにモバイル端末向けOSを開発してライセンスするには膨大な費用が必要となる。
 Androidは,モバイルOSのなかでも,ライセンスされるという点で,垂直統合型メーカーが自ら開発して自社製品でのみ使用するOS(Apple iOS,Blackberry等)とは異なる。垂直統合型メーカーのモバイルOSは,他の端末製造業者にはライセンスされ得ないことから,Androidとは同一の市場を構成していない。
それにもかかわらず,欧州委員会は,川下のエンドユーザーを巡るAppleとAndroidの間のモバイル端末間の競争があることによって,川上において,Googleが端末製造業者に対し市場力を行使することが間接的に抑制されるかを調査した。その結果,川下におけるAppleとの競争は,以下のような理由から,川上におけるGoogleによる市場力の行使を有効に抑止するものではないと判断した。
 ・ エンドユーザーのモバイル端末の選択は,モバイルOSからは独立した,ハードウェアの機能や端末のブランドといった様々な要素から影響を受ける。
 ・ アップルの端末は,通常,Android搭載のモバイル端末よりも高いため,大部分のAndroid端末のユーザーにとって,購入対象とならない。
 ・ Androidの端末ユーザーは,Appleデバイスに切り替える際,アプリ,データ,連絡先を失うほか,新たに使用方法を習得することが必要となる。
 ・ さらに,仮にエンドユーザーがAndroid搭載の端末からAppleに切り替えた場合でも,Googleの中核ビジネスに与える影響は限定的である。なぜなら,Google SearchはAppleのモバイル端末においてもデフォルトの検索エンジンとして搭載されていることから,Appleのモバイル端末を利用するようになっても,ユーザーは,引き続きGoogle Searchを使用して検索を続ける可能性が高いからである。
 
Android向けアプリストア
 Googleは,中国を除く全世界のAndroid向けアプリストアの市場において支配的地位にある。Play Storeは,Googleのアプリストアであり,Android搭載端末上でダウンロードされたアプリの90%以上は,Play Storeを利用したものである。そして,この市場も参入障壁が高いという特徴を有しており,また,既に上記で述べたことと同じ理由から,Googleのアプリストア市場における支配的地位が,AppleのiOS搭載デバイス専用のアプリストアであるAppストアによって有効に抑止されるとは認められない。
 

欧州競争法違反の認定

 欧州競争法の下で,市場支配的な地位にあること自体が違法となることはない。しかし,市場支配的な地位にある事業者は,同地位にある市場又はそれ以外の市場において競争を制限することによって,市場における強力な立場を濫用してはならないという特別な責任を負う。Googleは,インターネット総合検索サービスにおける同社の支配的地位を維持・強化するために,次の3つの制限行為を行っていた。
 
Googleの検索アプリとブラウザアプリに係る違法な抱き合わせ
 Googleは,Play Store,Google Search及びGoogle Chromeを一体で端末製造業者に提供している。欧州委員会による調査の一環で,モバイル端末のユーザーが当然にPlay Storeがプリインストールされていることを期待しているため,端末製造業者はPlay Storeが「必須」アプリであることを認めていた。欧州委員会は,決定の中で,Googleが以下の二つの違法な抱き合わせを行っていたと認定した。
 ・ GoogleはPlay StoreとGoogle Searchとの抱き合わせを行うことで,EEAで販売される,ほぼ全てのAndroid搭載端末に,Google Searchアプリがプリインストールされることを確立した。検索アプリは,モバイル端末上の検索クエリにとっての重要な入口となるもので,欧州委員会は,Android用のアプリストアの市場でGoogleが支配的な地位となった2011年の時点から,この抱き合わせ行為が違法に行われていたと認定した。
 ・ Googleは,Play StoreとGoogle Chromeとの抱き合わせを行うことで,EEAで販売されるほとんど全てのAndroid搭載端末に,Googleのモバイルブラウザがプリインストールされることを確立した。ブラウザも,モバイル端末上の検索クエリにとっての重要な入口となるもので,Google SearchはGoogle Chromeのデフォルトの検索エンジンである。欧州委員会は,GoogleがGoogle ChromeブラウザをPlay Storeと一体として提供するようになった2012年の時点から,この抱き合わせ行為が違法に行われていたと認定した。
 アプリをプリインストールすることによって,特定のアプリがインストールされているという中立的でない現状が生まれる。端末に検索アプリとブラウザアプリがプリインストールされていれば,ユーザーはそれを利用し続けやすくなる。例えば,欧州委員会は,Google Searchについて,ダウンロードしなければならないWindows Mobile端末よりも,プリインストールされているAndroid搭載端末において,Google Searchが常に多く利用されているという証拠を得ている。このことは,プリインストールによって得られる営業上の利益を相殺するほどには,ユーザーが競合他社のアプリをダウンロードしていないことを意味する。
 例えば,2016年において
 ・Google Search及びGoogle ChromeがプリインストールされているAndroid搭載端末では,すべての検索クエリの95%以上がGoogle Searchにより入力されたものであった。
 ・それに対して,Google Search及びGoogle ChromeがプリインストールされていないWindows Mobile端末では,Google Searchにより入力されたものは25%未満であった。検索クエリの75%以上が,Windows MobileデバイスにプリインストールされているマイクロソフトのBing検索エンジンにより入力されていた。
 したがって,Googleは,上記の制限行為により,競合する検索アプリやブラウザアプリをダウンロードするユーザーのインセンティブを減殺させるだけでなく,モバイル端末製造業者が,それらのアプリをプリインストールするインセンティブも減殺させていた。このことによって,競合他社はGoogleと有効に競争する能力を減殺させられていた。
 また,欧州委員会は,Google Search及びGoogle Chromeの抱き合わせが必要であるとするGoogleの主張,特にAndroidに対する投資を収益化する手段として必要であるとの主張を検討したが,結論としては,これらの主張は立証が不十分であると認定した。Googleは,Play Storeだけでも年間数十億ドルの収益を達成しており,Android端末から同社の検索及び広告ビジネスにとって価値のある多くのデータを収集している。抱き合わせを行わなくても,検索連動広告によって莫大な利益を達成し続けていくと考えられる。
 
Google Searchの排他的プリインストールを条件とする違法な金銭提供
 Googleは,一部の大手端末製造業者及び移動体通信事業者に対して,Google Searchを排他的にプリインストールすることを条件として多額の金銭的インセンティブを提供していた。これにより,競合する検索アプリをプリインストールするインセンティブは大幅に削減され,競争が阻害される。欧州委員会は,調査の結果,競合する検索エンジンが,大手端末製造業者及び移動体通信事業者に対し,Googleから支払われるはずであった金銭を補填した上で,利益を上げることは不可能であると判断した。何故ならば,仮に競合する検索エンジンが一部の端末にプリインストールされたとしても,大手端末製造業者及び移動体通信事業者が販売する全ての端末に関してGoogleから支払われる金銭の損失分を補填しなければならなくなるからである。
 欧州委員会は,最近のインテルに対する欧州司法裁判所の判決に基づき,金銭的インセンティブが付与された条件及び総額,当該取決めによって影響を受ける市場シェア並びに金銭的インセンティブの提供期間などを考慮した。
 これを基に,欧州委員会は,2011年から2014年までの間に行われたGoogleの行為を違法であると認定した。Googleは,欧州委員会が本件の調査を開始した2013年から徐々に金銭的インセンティブを前提としたプリインストールの要求を止めており,違法行為は2014年までには事実上取り止められていた。
 また,欧州委員会は全てのAndroid搭載端末について,Google Searchを排他的にプリインストールするために金銭的インセンティブを提供する必要があるととするGoogleの主張を詳細に評価した。この点について,欧州委員会は,Androidと連携した端末を製造するよう端末製造事業者及び移動体通信事業者を納得させるには,排他的にプリインストールすることを条件とした金銭提供が必要であるとするGoogleの主張を却下した。
 
競合Android OSの開発・頒布の不当な妨害
 Googleは,端末製造業者が,Googleの承認を得ていないAndroidフォークを使用することを禁止している。端末製造業者は,Play StoreやGoogle SearchなどのGoogleアプリを端末にプリインストールできるようにするためには,Androidフォークを搭載した端末を開発,販売しないことを取り決める必要があった。欧州委員会は,GoogleがAndroid OSのアプリストア市場の支配的地位を有した2011年時点から,当該行為は濫用行為であると認定した。
 こうした取引方法により,Androidフォークを搭載した端末が開発され,販売される機会が減少した。例えば,Googleによる当該行為によって,多数の大手端末製造業者が,AmazonのAndroidフォークであるFire OSを搭載した端末を開発,販売することが妨害されているとの証拠を欧州委員会は入手している。
 さらに,Googleは,前記の制限行為によって,競争事業者が,Androidフォークに搭載されるアプリ及びサービス,特に総合検索サービスを普及させるための重要なチャネルも塞いでいた。こうしたGoogleの行為によって,ユーザーは,より革新的なAndroid OSの改造版を搭載した端末を利用することができなくなるという,直接的な影響を受けていた。言い換えれば,どのOSが成功するかを決定するかは,ユーザー,アプリ開発業者及び市場ではなく,Googleが判断することになっていたのである。
 欧州委員会は,Androidのエコシステムが崩壊してバラバラになることを防ぐためには,これらの制限が必要であるとのGoogleの主張を詳細に検討したが,その根拠が十分でないと判断した。第一に,Googleは,Androidフォークの出現を排さずに,自社のアプリやサービスを使用するAndroid OS搭載端末を自社の技術的要求に適合させることを確保できたはずである。第二に,Googleは,Androidフォークが,技術的障害の影響を受ける,又はアプリに適応しないことについて信憑性のある証拠を何ら提出していない。
 

Googleの違法行為の影響

 欧州委員会は,モバイルインターネットの重要性が著しく成長した時期において,Googleが,インターネットの総合検索における支配的地位を強固にするために,全般的な経営戦略として前記3つ濫用行為を行っていたと認定した。
 まず,Googleの行為によって,競合する検索エンジンは実力での競争を行うことができなくなった。前記の抱き合わせ行為によって,Googleの検索エンジン及びブラウザが全てのAndroid搭載の携帯端末にプリインストールされることになり,排他的な金銭提供によって,端末業者及び移動体通信事業者が競合する検索エンジンをプリインストールするインセンティブは失うことになった。
 また,Googleは,トラフィック数(注:通信量)を確保するために,競合する検索エンジンにプラットフォームを提供するAndroidフォークの開発を妨害した。Googleは,この戦略によって,競合する検索エンジンが,モバイル端末を介して検索ワードや位置情報など重要なデータを収集することも妨げ,同社が検索エンジンにおいて有する支配的地位を強固なものとした。
 さらに,Googleは,これらの取引方法によって,単なるインターネット検索の枠を超えた,より広範囲なモバイル空間における競争とイノベーションを阻害した。なぜならば,Googleの取引方法によってGoogle Chromeブラウザがプリインストールされ,競合する他のモバイルブラウザはGoogleと有効に競争することを阻害されていたからである。さらに,Googleは,他のアプリ開発業者が成長するためのプラットフォームを提供するAndroidフォークの開発を妨害した。

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