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2019年2月

EU

欧州司法裁判所は,UPSによるTNT Expressの買収を禁止する欧州委員会の決定について,手続上の不正行為のために取り消すと判示

2019年1月16日 欧州司法裁判所 公表
原文

【概要】

 欧州司法裁判所(以下「司法裁判所」という。)は,大要,以下のように判示して,欧州委員会がUPSの防衛権を侵害しているとした一般裁判所の判断を支持した。
  欧州委員会は,2013年1月30日にUPSによるTNT Expressの買収計画について,15加盟国において,欧州経済領域(EEA)内の宅配便市場における有効な競争を阻害することになるとして,同計画を禁止する決定を下した。同決定の根拠となった決定的要因は,欧州委員会が,計量経済分析に基づき,当該計画が実行されると,関連市場の大部分で価格が上昇するリスクがあると結論付けたことにあった。
  UPSは,上記決定の取消しを求める訴訟を欧州一般裁判所(以下「一般裁判所」という。)に提起した。2017年3月7日の判決で,一般裁判所は,UPSの防御権が侵害されたとして欧州委員会の決定を取り消した。一般裁判所は,欧州委員会が価格と集中度の関係を分析するため最終的に用いた計量経済モデル(価格集中度モデル)が,調査の過程でUPSに提示されたものと相当程度に異なるため,UPSはモデルの変更点について意見を述べる機会が付与されるべきであったが,実際には付与されていないと判断した。
  欧州委員会は,一般裁判所の判決を不服として司法裁判所に上告した。本日の判決において,司法裁判所は,防御権の遵守という観点から,企業結合規制に関する決定が採択される前に,決定の名宛人は,欧州委員会が決定の根拠と考える全ての事項につき,それらの内容の正確性と事件との関連性に関して有効に意見を述べる機会が付与されなければならないとした。そして,欧州委員会が,自らの決定の根拠に計量経済モデルを用いるのであれば,決定の名宛人が,その内容に関して意見を提出できるようにしなければならない。計量経済モデルは,その特質と目的を考えれば,欧州委員会が企業結合審査を行う際,企業結合がもたらす影響を予想するのに適した定量的な手法である。したがって,同モデルを用いる分析方法は,分析結果に何らかの偏りが生じることのないよう,可能な限り客観的なものでなければならない。そして,分析方法の客観性が確保されることは,欧州委員会が下す決定の公平性と質を高め,最終的には,欧州委員会による企業結合規制の正当性に対するEU市民及び企業の信頼を確保する基礎となる。
  だからこそ,分析で用いられる計量経済モデル及び分析方法は,欧州連合基本権憲章の第41条に明記される優良行政の原則に従って,開示される必要がある。
  欧州委員会は,防御権の遵守と企業結合規制一般に求められる迅速性の確保を調整することが求められる。その際,異議告知書を開示した後に,同書の根拠とする計量経済モデルの内容を修正しながら,それを関係事業者に周知せず,意見を提出できないようにすることは,防御権の遵守の観点から認められない。
  したがって,司法裁判所は,本件決定を採択する前に,事前届出の提出者に最終的に用いた計量経済の分析モデルを開示することは求められていないとする欧州委員会の申立てを却下するとした一般裁判所の判断には法律上の瑕疵はないと判断する。
  加えて,分析で用いられた計量経済モデルが企業結合の当事者に対して開示されないことによって,たとえその非開示の内容が僅かなものであっても当事者が自らを防御する機会を与えられなかったことが立証された場合,欧州委員会の決定は取り消されるとする一般裁判所の判断を,司法裁判所は支持する。つまり,手続上の当該不正行為がなければ,決定の内容が異なるものとなっていたことが立証される必要はないということである。
  企業結合の影響を予想する上で,計量経済モデルを用いた分析は重要である。このことを踏まえれば,計量経済モデルの分析手法の不開示によって防御権の侵害に基づく決定の取消しの立証水準を引き上げてしまえば,欧州委員会に計量経済モデルの分析方法の透明性を確保させるという目的に反する上に,その決定に対する事後的な司法審査の有効性が損なわれる。
  欧州委員会による手続上の不正行為がなかったならば,自らを防御する機会が増したであろうことがUPSによって十分に立証されたことをもって,UPSの防御権が侵害されたことを理由として欧州委員会の決定を取り消すとした一般裁判所の認定に法律上の瑕疵はないと,司法裁判所は結論付ける。
  したがって,本裁判所は欧州委員会の上告を却下する。

 

欧州委員会は,マスターカードが,加盟店小売業者による国境を越えたカード決済サービスへのアクセスを妨害したとして,同社に対して約5億7000万ユーロの制裁金を課すことを決定

2019年1月22日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,マスターカードが欧州競争法に違反し,加盟店小売業者が欧州単一市場内のその他の地域に所在する銀行から有利な条件を受ける機会を妨げたとして,同社に対して5億7056万6000ユーロの制裁金を課す決定を下した。
 ヴェステアー委員は,「欧州の消費者は,食料や衣服を購入したり,オンラインで購入する際に,カード決済を利用している。マスターカードは,加盟店小売業者が,他加盟国に所在する銀行が提供するより良いサービスを享受することを制限することで,カード支払い費用を意図的に引き上げ,欧州の消費者及び加盟店小売業者に不利益を与えた。」と述べた。
 マスターカードは,欧州経済領域における消費者向け支払い用カードの発行枚数及び取引額で第二位のカード決済ネットワークである。また,マスターカードのスキームの下,銀行は共通のカードブランドであるMastercard及びMaestroでの決済関連のサービスを提供している。同社は,プラットフォームとして機能しており,このプラットフォームを通じて,カード発行銀行(issuing bank)はカード保有者に支払い用カードを発行し,加盟店小売業者で行われたカード支払決済を保証し,加盟店銀行(acquiring bank)に送金する。
 カード決済は,欧州単一市場において,国内取引だけではなく,国際的な取引,また,インターネット経由での支払いにも重要な役割を果たしている。ヨーロッパの消費者及び企業は,現金以外の支払いの半分以上をカード払いで行っている。
 消費者が,加盟店小売業者の店舗又はオンラインでデビットカード又はクレジットカードを使用した場合,加盟店銀行はカード発行銀行にインターチェンジフィーと呼ばれる手数料を支払う。加盟店銀行は加盟店小売業者に当該手数料の支払いを転嫁し,加盟店小売業者は,当該手数料を,その他の費用と同様に,全ての消費者に対する最終価格に含める。
 マスターカードの規約では,加盟店銀行に対して,加盟店小売業者が所在する国のインターチェンジフィーを課すことを義務付けていた。2015年12月9日に「インターチェンジフィーに関する規則」により上限が設定されるまでは,欧州経済領域内の各国でインターチェンジフィーは大きく異なっていた。しかしながら,(マスターカードの規約があるために,)インターチェンジフィーが高い国の加盟店小売業者は,他の加盟国の加盟店銀行が支払っている,より安価なインターチェンジフィーから生ずる恩恵を受けることができなかった。
 2013年4月,欧州委員会は,マスターカードによる「cross-border acquiring」規約が欧州競争法に違反しているかを評価するため,正式な調査を開始し,2015年7月に同社に対して異議告知書を送付した。
欧州委員会は,調査の結果,マスターカードの規約によって,加盟店小売業者は,カード支払い分の金額を受け取る際に発生する銀行手数料を支払うに当たり,当該加盟店小売業者がより低い銀行手数料を自由に選択できる場合に比べて,割高な額を支払うことになり,その結果,小売業者や消費者向けの価格が上昇し,国境を越えた競争が制限され,欧州単一市場が人為的に分断されることになっていたと判断した。
 欧州委員会は,マスターカードは,EU競争法に違反して,加盟店小売業者が安価な手数料の便益を得る機会を妨げるとともに,加盟店銀行の間の国際的な競争を制限していたと結論付けた。当該違反行為は,「インターチェンジフィーに関する規則」が発効され,マスターカードが規則を修正するまで継続していた。
 これらのことから,欧州委員会はマスターカードに対して制裁金を課すことを決定した。
 
調査協力
 マスターカードは,事実関係及び欧州競争法に違反していたことを認め,調査に協力した。このため,欧州委員会は制裁金を10%減額することとした。
 
インターチェンジフィーに関する規則
 2015年9月以降,「インターチェンジフィーに関する規則」によって,欧州経済領域内のインターチェンジフィーは,デビットカードを利用した場合は取引価格の0.2%,クレジットカードを利用した場合は取引価格の0.3%を上限とすることになった。それ以前は,インターチェンジフィーは欧州経済領域内の国々で著しく異なっていた。同規則が発効してからは,欧州経済領域内のインターチェンジフィーは下がり,その結果,加盟店小売業者のコストは著しく削減された。
 
マスターカードに対する継続中の調査
 欧州委員会は,2015年のマスターカードに宛てた異議告知書で,欧州経済領域外で発行されたデビットカード及びクレジットカードが同領域内での支払いに利用された場合に適用されるインターチェンジフィー(「地域間MIF」)が,欧州競争法に違反する可能性があるとする暫定的な判断を示した。
 欧州委員会は,マスターカードが設定する地域間MIFによって,欧州経済領域外で発行されたカード支払いを受ける欧州の小売業者の販売価格は反競争的に上昇し,その結果として,同領域内の消費財・サービスの価格が上昇につながることを懸念している。この点については現在も調査中である。
 2018年12月,欧州委員会は,マスターカードから上記の懸念に対応するための確約案が提出されたことから,利害関係者からの意見を求めることとした。

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