2019年12月

EU

欧州委員会は,Broadcom社に対して,取引先に対する排他的購入義務の適用停止を命じる暫定措置を発出

2019年10月16日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,Broadcom社に対し,テレビ及びモデム用チップセットの主要販売先6社(以下「主要販売先6社」という。)との契約における一定の条項の適用停止を求める暫定措置を命じた。Broadcom社による当該行為は,反証のない限り立証されたとみなすに十分な程度に(prime facie)競争法に違反しているとみられ,競争に重大かつ回復不能な不利益を生じさせるおそれがある。
 暫定措置は下記の要素に基づき決定された。
⑴ Broadcom社は,一見したところ(at first sight),テレビセットボックス,fibreモデム及びxDSLモデム用Systems-on-a-chip(注)(以下,単に「チップセット」という。)市場において,支配的地位を有している。
⑵ Broadcom社は,上記⑴の支配的地位を濫用して,テレビ及びモデムを製造する主要販売先6社との間で,下記の排他的条項を含む契約を締結していた。
① 上記⑴の支配的地位を強化するため,Broadcom社から上記⑴のチップセットの排他的購入義務の賦課及び排他的購入を条件とする商業上のメリット(リベート及びその他の非価格的な利益(例えば,技術への早期アクセスやプレミアムテクニカルサポート))の提供
② 上記⑴の支配的地位を,別のケーブルモデム用チップセット市場に活用するため,Broadcom社から同チップセットを排他的に購入した場合に,商業上のメリット(リベート及びその他の非価格的な利益)の提供
 暫定措置の内容は下記のとおりである。
⑴ Broadcom社は,上記⑵の反競争的条項の適用を停止すること。また,主要販売先6社にその旨を通知すること。
⑵ 主要販売先6社との間で,同条項又は同等の目的若しくは効果を有する条項への合意の禁止。また,主要販売先6社に対して,同等の目的又は効果を有する処罰又は報復行為の禁止。
 暫定措置は,3年間又はBroadcom社に対する最終決定の採択日若しくは欧州委員会による調査の終了日のいずれか早い日まで適用される。


 (注)単一ユニットで多様な要素の電子回路を統合する集積回路であり,ユーザーによるテレビ信号の受信及びデジタル通信への接続に必要不可欠。

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