2020年5月

EU

欧州委員会は,ルーマニアからの天然ガスの輸出を促進するため,同国の国営企業Transgazからの確約を容認

2020年3月6日 欧州司法裁判所 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,Transgazから提出された確約案に欧州競争法上の法的拘束力を持たせることを決定した。Transgazは,ルーマニアから近隣EU加盟国,とりわけハンガリー及びブルガリアに対する天然ガスの輸出において重要な自社の設備を利用に供することとなる。
 
欧州委員会の懸念
 欧州委員会は,2017年7月,ルーマニアの国営天然ガス移送システム管理業者のTransgazが,ルーマニアからの天然ガスの輸出を制限することにより欧州競争法に違反しているかどうかを評価するため,正式調査を行っていることを公表した。
 とりわけ,欧州委員会はTransgazが以下の制限行為を実施していた可能性があると懸念を示していた。
・ ガスの輸出用インフラ設備の建設への過小投資又は建設遅延
・ 採算上,輸出を不可能とする接続料金
・ 根拠のない技術的議論を口実とした輸出制限
 こうした制限によって,EU域内で最大の天然ガスの産出国であるルーマニアからハンガリー及びブルガリアへの天然ガスの越境取引への障壁が維持され又は創り出された可能性がある。これは,競争メカニズムや資源の最適利用に基づいた,エネルギーの自由な越境取引を達成するためのエネルギー連合(Energy Union)の目的に反するものである。

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