2022年6月

EU

欧州委、パーカーによるメギットの買収を条件付承認

2022年4月11日 欧州委員会 公表
原文
【概要】
 欧州委員会(以下「欧州委」という。)は、EU企業結合規則に基づき、Parker(以下「パーカー」という。)によるMeggitt(以下「メギット」という。)の買収(以下「本件買収」という。)計画を承認した(訳注:本件買収計画は、2022年2月21日に届出が行われた。)。本件買収計画は、パーカーが提示した問題解消措置が完全に遵守されることを条件に承認された。
 パーカー及びメギットは、いずれも世界的な航空宇宙部品サプライヤーであり、様々な製品群を抱える。両社は、特に、航空機のホイール及びブレーキ並びに航空宇宙用空気圧バルブの設計、製造、供給等で競合している。
 
欧州委の審査
 当事会社が業界で世界有数の事業者であることを踏まえて、欧州委は、本件買収計画が特定の種類の航空機のホイール及びブレーキの設計、製造及び供給における競争に与える影響について審査した。
 市場調査の結果、本件買収によって、小型一般航空機、ビジネスジェット、民間・軍用ヘリコプター及び軍用固定翼型ドローン用のホイール及びブレーキ市場において、既に限られているサプライヤーの数が更に減少するおそれがあることが判明した。合併後の企業は、当該市場における最大のサプライヤーとして更に強化され、これらの重要な部品の価格及びイノベーションが、悪影響を受けることになる。競合他社は、総じて、当該航空機のホイール及びブレーキの供給市場における存在感は小さく、多くの場合、全種類のブレーキは提供していない。
 欧州委は、航空宇宙用空気圧バルブを含む、当事会社が競合する他の航空宇宙部品市場においては、本件買収後も十分な代替となるサプライヤーが活動し続けるため、競争上の懸念はないと判断した。
 
問題解消措置案
 欧州委の競争上の懸念を解消するために、パーカーは、航空機用ホイール及びブレーキ部門全体の事業を売却することを約束した。本問題解消措置には、米国オハイオ州に所在するパーカーの工場を売却することのほか、売却される事業の購入者が当該事業を継続し、合併後の企業から独立して運営できるようにするための様々な条項が含まれる。
 これらの問題解消措置によって、パーカーとメギットの間での航空機用ホイール及びブレーキの設計、製造及び供給における重複は、全世界で完全に解消される。したがって、本問題解消措置によって、欧州委が競争上の懸念があると判断した市場における競争は維持され、顧客の選択肢が確保されることとなる。
 したがって、欧州委は、本問題解消措置によって修正された本件買収計画については、競争上の懸念は生じないと判断した。本決定は、本問題解消措置が完全に遵守されることを条件としている。

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