2024年1月

EU

欧州委、日立レールによるタレスの陸上交通事業の買収計画を条件付きで承認

2023年10月30日 欧州委員会 公表

原文

【概要】
 欧州委員会(以下「欧州委」という。)は、EU企業結合規則に基づき、日立レールによるタレスの陸上交通事業の買収計画を承認した。この承認は、日立レールが提案した問題解消措置を完全に履行することを条件としている。
 日立レール及びタレスは、欧州経済領域(EEA)における鉄道幹線信号サービスの主要サプライヤーである。両社は、共に列車の衝突を防止するための連動装置(Interlockings)と列車の運転士が幹線信号による指令に反応できないリスクを軽減する自動列車保護システム(Automated train protection wayside systems)を供給している。また、日立レールは幹線及び都市鉄道用の車両を製造・供給している。
 
1 欧州委の審査
 欧州委の審査により、当初届出されていたような買収が実施されれば、フランス(連動装置及び自動列車保護システムのプロジェクトなど)及びドイツ(自動列車保護システムのプロジェクトなど)の幹線信号プロジェクト市場における競争を減殺し、価格上昇及びイノベーションの低下をもたらすことが明らかになった。
 これらの市場において、本件買収は密接に競争している2社を統合するものであり、合併後の企業は非常に高い市場シェアを獲得することになる。
 
2 問題解消措置案
 欧州委の当初の競争上の懸念に対処するため、日立レールは、フランス及びドイツにおける連動措置及び自動列車保護システムに関する幹線信号プラットフォームの売却を申し出た。
 この問題解消措置は、欧州委が示した競争上の懸念に完全に対処するものであり、フランス及びドイツの幹線信号プラットフォームにおける連動装置及び自動列車保護システム市場における当事会社の水平的な重複を解消し、競争を維持するものである。
 この問題解消措置は、欧州委と当事会社との建設的な協議の結果、国際的な拠点を含むフランス及びドイツにおける日立レールの独立した事業の売却の提案に至ったものであり、この問題解消措置により、分割された事業の購入者はその市場において有効な競争力として継続的に事業を運営することが可能となる。
 欧州委は、欧州委による承認が必要な分割事業の適切な購入者の選定を含め、事業分割プロセスを注意深く監視する。
 欧州委は、問題解消措置のマーケットテストに際して寄せられた肯定的な意見を受け、当該問題解消措置により変更される買収計画は、もはや競争上の懸念を生じさせるものではないと判断した。欧州委の決定は、問題解消措置を完全に履行することを条件とするものである。
 なお、英国競争・市場庁(以下「CMA」という。)も当該買収を審査し、CMAの懸念に対処するため、日立レールは英国における幹線信号事業の売却も約束している。

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