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海外当局の動き

最近の動き(2019年3月更新)

EU

欧州委員会は,競争法の活発な執行によって,手頃で,イノベーティブな医薬品の供給が促進されることを示した報告書を公表

2019年1月28日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,製薬業界に対するEU及び加盟国における競争法の活発な執行によって,医薬品のより安価な購入が可能となり,患者及びヘルスケアシステムにとって選択肢が増加し,更なるイノベーションが促進されることを示した報告書を公表した。
 欧州委員会のヴェステアー委員(競争政策担当)は次のとおり述べた。「欧州の患者及び医療システムが手頃かつイノベーティブな医薬品を入手できるようにすることは,欧州の主要課題かつ目的の一つである。欧州の競争当局は,製薬市場におけるこの目標が達成されることを確保するための取組みを行っているところであるが,本日公表した報告書では,こうした価値ある業務に対して,極めて重要な考え方を提供している。重要なことは,私たちがこの分野の業務に高い優先度で取り組み続けていくことである。」
 当該報告書では,製薬業界における反トラスト規制及び企業結合規制の執行の概要を示し,競争法の執行によって,患者が手頃かつイノベーティブで必須な医薬品をどのようにして入手できるようになったかを記載している。また,当該報告書では,欧州委員会が製薬業界に対する競争上の調査を実行した2009年以降の期間に焦点を絞っている。
 欧州委員会は,28加盟国の競争当局と密接に協力して当該報告書案を作成した。欧州委員会は,欧州競争ネットワーク(ECN)のもとで加盟国の競争当局と協力している。
 報告書から得られた考え方を基礎として,欧州委員会及び加盟国の競争当局は,製薬業界における執行に尽力し続けることとしている。このことは,経済的かつ人々の健康及び生活へのインパクトという観点から製薬業界の重要性を考慮した場合,引き続き優先度の高い課題である。
 
報告書における主要な知見
医薬品の公正な価格
 競争制限的協定及び市場支配的地位の濫用事件の観点から,欧州委員会及び加盟国競争当局は,2009年以降,100件以上の調査をし,さらに,医薬品の供給に係る違法な行為に対する29件の決定を採択した。
 - これらの事案において,競争当局は,医薬品の価格を高騰させる反競争的行為に対し調査をした上で制裁を下した。
 - それら反競争的行為は,以下の行為からなる。
  (1) ジェネリック医薬品の市場参入を遅らせる排他的行為
   (2) 市場分割行為又は価格カルテル行為
   (3) ペイ・フォー・ディレイ協定,つまり,先発医薬品の製造者及びジェネリック医薬品の製造者が共謀してジェネリック医薬品を市場に参入させず,ジェネリック医薬品の市場不参入によって得た先発医薬品製造者の利益を共有すること
  (4) 特許切れの医薬品の超価格設定(excessive prices)
 - 前記の決定では,総額10億ユーロ超の制裁金を賦課する又は反競争的行為を解消する確約による法的な拘束をしている。
 また,価格の高騰は,製薬業者の企業結合によって当該企業の価格力が強化されることによっても起こる。医薬品市場の過度の集中化を予防するため,欧州委員会は,製薬業界における80件以上の企業結合計画を審査した。このうち,19件の企業結合計画に競争上の懸念があり,当該企業結合計画によって,特にジェネリック医薬品及びバイオ後続薬の価格が高騰する可能性があった。欧州委員会は,現在の価格競争を維持するために,当事会社が事業の一部を売却する旨を確約した後などに限り,当該企業結合計画を承認していた。
 さらに,競争当局は100件以上の市場調査及び唱導活動を実施した。こうした活動によって,市場の機能に対する考え方が示され,市場の参加者に参考となる情報を提供し,一部の個別事案では競争法上の審査の契機となった。唱導活動が規制及び法制の企画に影響を与え,有効かつ公正な競争を促す条件を創出又は修復する一助となっていた。
 
執行によるイノベーションと選択肢の増加
 当該報告書では,競争当局が,イノベーションへのインセンティブを歪める可能性がある行為に対し,競争法による介入を通じて,製薬業界におけるイノベーションのレベルを維持する手助けをしてきたことを示した。インセンティブを歪める行為は,とりわけ市場におけるジェネリック医薬品の参入を遅れさせようとする行為である。こうした一連の行為によって,事業者は,新しく,イノベーティブな医薬品と競争しないで,古い医薬品からの利益を不当に得ることが可能となっている。
 また,欧州委員会の企業結合規制に係る活動も,新薬開発を立ち上げるため又は既存の医薬品の治療目的を拡大するための研究開発に関する取組みを損うような取引を防ぐことによって,医薬品のイノベーション及び選択肢の増加に寄与した。
 
今後の執行活動の見通し
 当該報告書で引用される競争法違反事件及び企業結合案件が示すのは,製薬業界において,競争当局による緊密な調査が必要であるということである。欧州委員会及び加盟国当局の執行に関する経験は,当該分野において競争当局が機能し,集中した執行活動を行い続けるための,確固たる基盤を提供している。
 しかし,当該報告書で論じられる事案は,競争法の執行が価格競争のセーフガードとなり,また,イノベーションを刺激する一助となっていることを示しているものの,一方で,競争法ができることにも限界がある。特に,手頃でイノベーティブな医薬品の継続的な入手を保障するという社会的課題に対応するためには,全ての利害関係者が継続的に努力することが必要とされる。
 

欧州委員会は,シーメンスによるアルストムとの買収計画を禁止したことを公表

2019年2月6日 欧州委員会 公表
原文

【概要】

 欧州委員会は,EU企業結合規則の下,シーメンスによるアルストムの買収計画を禁止した。当該企業結合により,鉄道信号システム市場及び超高速鉄道列車市場における競争が阻害されると判断した。当事会社は,この懸念を解消するのに十分な改善案を提示しなかった。
 ヴェステアー委員(競争政策担当)は,「ヨーロッパ内の無数の乗客が,毎日,現代的で安全な鉄道を利用している。シーメンスとアルストムの両事業者は,鉄道産業のチャンピオンである。十分な改善案が無ければ,この企業結合計画によって,乗客の安全を確保する信号システム及び次世代の超高速列車の価格が高騰することになる。両事業者は当方の重大な競争上の懸念を解消しようとしなかったことから,欧州委員会は本件企業結合計画を禁止した。」と述べた。
 本日の決定は,欧州委員会による本件買収計画の詳細審査に基づいたものである。買収計画では,シーメンス及びアルストム両事業者の輸送設備事業及び輸送サービス事業はシーメンスが全面的に管理する新会社に統合されることになっていた。また,買収計画では,ヨーロッパにおける鉄道及び地下鉄の信号システム並びに車両の供給に関する二大事業者を結合するものであった。両事業者は世界的にみても主導的地位にある。
 この企業結合が実現されれば,一部の信号システム市場における比類のないマーケットリーダーが,また,超高速列車市場における支配的な事業者が創設されていた。その結果,鉄道運行事業者及び鉄道設備管理者等の顧客から供給業者及び製品の選択肢が奪われ,前記市場における競争を大きく低下させることとなっていた。
 欧州委員会は,詳細審査の間に,顧客,競合事業者,事業者団体及び労働組合から申立てを,また,欧州経済領域内の加盟国競争当局の一部からも,否定的なコメントを受領している。
利害関係者は,当該企業結合計画が著しく競争を阻害するものであり,信号システム及び超高速鉄道車両のイノベーションを低下させ,より小規模の競合業者を締め出し,価格を高騰させ,顧客の選択肢を減らすこととなると懸念していた。当事会社はこうした懸念を解消するための適切な問題解消措置を提示しようとしなかったことから,欧州委員会は,欧州鉄道産業における競争を保護するために,当該企業結合計画を阻止した。
 真の欧州鉄道市場を創設するには,ETCS(European Train Control System)規格に適合する信号システムが競争価格で利用できるかということに大きく左右される。ETCS規格に適合する信号システムに投資することによって,列車が,加盟国間の国境を越えて,安全かつ円滑に運行できるようになる。鉄道車両に新たに投資をすることは,環境によりやさしく,また,持続可能なモビリティへの移行のために重要なことである。
 
欧州委員会の懸念
 欧州委員会が重大な懸念を有していたのは,当該企業結合計画が,以下の主要2分野において,有効な競争を著しく阻害する可能性があったことである。
(1) 信号システム:衝突防止により,鉄道及び地下鉄の安全を保持するのに不可欠である。
(2) 超高速列車:時速300キロメーター超で運行される列車である。
 特に,欧州委員会が調査したところ,以下のことが判明した。
(1) 信号システムに関しては,当該企業結合計画によって,非常に強力な競合業者が複数の主要路線及び都市部における信号システム市場から排除される可能性があった。
○ 結合後企業が複数の主要路線の信号システム市場における圧倒的な力を有するマーケットリーダーとなり,特に,欧州経済領域内におけるETCS規格の自動列車保護システム(列車搭載のシステム及び線路に沿って配置しているシステムの両方を含む。)市場又は複数の加盟国のスタンドアローンタイプのインターロック装置システム市場において,圧倒的な力を有するマーケットリーダーとなる可能性がある。
○ 地下鉄の信号システムは,地下鉄のシステムに不可欠な要素であるところ,結合後企業が,最新のCBTC(Communication-Based Train Control)地下鉄信号システムにおいて圧倒的な力を有するマーケットリーダーとなる可能性がある。
(2) 超高速列車に関しては,当該企業結合計画によって,欧州経済領域における超高速列車の二大製造業者のうちの一つがなくなることで,超高速列車供給事業者の数が減ることになっていた。結合後企業は,欧州経済領域並びに韓国,日本及び中国(中国における当該市場は,そもそも開かれた競争市場ではない。)を除く世界の市場において,高い市場シェアを有することになる。結合後企業は,著しく競争を減殺し,欧州の顧客を害する可能性があった。当事会社は,当該企業結合計画が企業結合による特定の効率性を作り出すとする理由を説明するために,その裏付けとなる実証的な論拠を提出しなかった。
 前記市場の全てにおいて,他の競合業者からの競争圧力は,効果的な競争を保障するのに不十分であった。
 また,欧州委員会は,調査の一部として,欧州経済領域外の他の市場における競争上の見通しも十分に考慮した。特に,欧州委員会は,中国の供給業者による中国市場外における将来的な世界規模での競争の可能性についても調査した。
- 信号システムに関し,欧州委員会の調査によって,現在は中国の供給業者は欧州経済領域に存在せず,現在まで入札に参加しようとしたことさえもなく,それゆえ欧州の設備管理者にとって信頼に足る供給業者となるには非常に長い時間がかかる見込みである,ということが明らかになった。
- 超高速列車に関し,欧州委員会は,中国からの新規参入が,予見可能な将来において,結合後企業に対する競争上の牽制力となる可能性は著しく低いと考えた。
 
当事会社による問題解消措置案
 当事会社から提案された問題解消措置案は,欧州委員会による競争上の懸念を完全かつ恒久的に解消するものでなければならない。当事会社間の直接的な競争がなくなるという懸念が生じる場合,構造的な問題解消をもたらす問題解消措置の方が他のタイプの問題解消措置案よりも基本的には望ましい。なぜなら,こうした問題解消措置は,企業結合によって失われることになった競争を即座に埋め合わせるからである。こうしたタイプの構造的問題解消措置を,過去の事案においても,当事会社が提案し,欧州委員会がそれを承認している。例としては,BASFによるSolvayのナイロン事業買収,ThalesによるGemaltoの買収,LindeとPraxairの企業結合,GEによるAlstomの発電事業及び送電事業の買収,HolcimによるLafargeの買収が挙げられる。
 しかし,本件において,当事会社から提案された問題解消措置案は,特に以下の点に関し,欧州委員会の競争上の懸念を適切に解消しなかった。
 - 主要路線の信号システムに関する問題解消措置案は,シーメンス及びアルストムの資産を複雑にミックスするもので,具体的には,特定の資産の全部又は一部を譲渡し,他の資産の一部をライセンスしたり複製したりするといった内容であった。事業及び生産用の資産が分割されなければならなかったが,その際,両事業者の人材上の移管が一方ではなされるものの,他方ではなされなかった。さらに,資産の買い手は,多数のライセンス及びサービスの同意を得るために,結合後企業に依存し続けなければならないという内容であった。問題解消措置案は,欧州委員会が評価した結果,買い手が効果的かつ独立して結合後企業と将来的に競合することが可能となる内容となっていなかった。
 - 超高速列車に関しては,当事会社はアルストムのPendolinoのように,現在は超高速では運行できない列車,又は,その代わりとしてシーメンスのVelaroで使われる超高速の技術ライセンスを譲渡する問題解消措置案を提示した。しかしながら,当該ライセンスは複数の制限条項及び例外条項を条件とするものであり,買い手に対して競合可能な超高速列車を開発する能力及びインセンティブを事実上付与するものではなかった。
 欧州委員会は,問題解消措置案のパブリックコメントを行ったところ,寄せられたコメントは両分野ともネガティブなものであった。
 これにより,シーメンスから提案された問題解消措置案は,重大な競争上の懸念を解消し,価格の高騰並びに鉄道運行事業者及び設備管理事業者の選択肢の減少を防止するのに不十分であるとする欧州委員会の見解が裏付けられた。
 したがって,欧州委員会は,当該買収計画を禁止した。
 
事業者と製品について
 シーメンスは,ドイツに本社があり,複数の産業分野で世界的に活動する事業者である。同社のモビリティ部門においては,車両生産,鉄道の自動運転及び信号機処理,電気鉄道システム,道路交通技術,ITソリューション及びその他鉄道及び道路による人及びモノの輸送に関する製品及びサービスを広範に提供している。
 アルストムは,フランスに本社があり,鉄道運送産業で世界的に活動する事業者である。同社は多岐にわたる輸送ソリューション(高速鉄道から地下鉄,路面電車及び電気バス),関連サービス(設備のメンテナンス及び更新)及び信号ソリューション,乗客,インフラ設備,電気鉄道システム及びデジタル・モビリティに関する製品を広範に提供している。

その他

ドイツ

ドイツ連邦カルテル庁は,Facebookに対して,多様なソースからユーザーデータを統合することを禁止した旨を公表

2019年2月7日 ドイツ連邦カルテル庁 公表

原文

【概要】

 連邦カルテル庁は,Facebookに対して,多様なソースからユーザーデータを統合することを禁止した。

1.2019年2月7日,ドイツ連邦カルテル庁は,Facebookに対して,ユーザーデータの利用に関する広範囲に渡る制限を課した。 
 Facebookの利用規約によれば,これまでのところ,ユーザーがFacebookを利用する際には,同社がFacebook上のサイト以外にインターネットやスマートフォンアプリ上に存在するユーザーデータを収集し,これらのデータをフェイスブックのユーザーアカウントに結び付けることを前提条件としていた。    WhatsApp及びInstagramといったFacebookが所有するサービスや第三者のサイトを通じて,Facebookのサイトに集められた全てのデータは,統合され,Facebookのユーザーアカウントに結び付けられることが可能となっていた。
 今般の決定は,異なるデータソースを対象としている。
①WhatsAppやInstagram等,Facebookが所有するサービスを通じてユーザーのデータを収集することは引き続き容認される。しかしながら,当該データをFacebookのユーザーアカウントに結び付けることは,ユーザーの自発的な同意(voluntary consent)がある場合のみ可能とする。同意が得られない場合は,当該データは,それぞれのサービス内にとどまり,Facebookのデータと統合されて処理されてはならない。
②第三者のサイトからデータを収集し,当該データをFacebookユーザーアカウントに結び付けることもまた,ユーザーの自発的な同意がある場合のみ可能とする。
 Facebookが所有するサービス及び第三者サイトからのデータについて同意が得られない場合には,Facebookは自社のデータの収集及び統合を十分に制限しなければならない。また,Facebookは,この問題に関する是正措置を提案することとしている。
 連邦カルテル庁ムント長官は次のように述べている。「我々は,Facebookのデータ処理の今後の方針について,Facebookのデータを内部的に分離するともいえることを実施している。将来的にFacebookは,Facebook以外のデータを無制限に収集し,Facebookのユーザーアカウントに結び付けることを,ユーザーに強制的に同意させることはもはやできなくなる。Facebookがデータソースを統合することはFacebookが個々のユーザーごとに固有のデータベースを構築し,それによって市場力を獲得することが可能となったという事実に貢献していた。将来的に,消費者は,Facebookが自分のユーザーデータを無制限に収集し利用することを防ぐことができるようになる。Facebookのユーザーアカウント内の全てのデータを事実上無制限に統合してきたこれまでの慣行は,今後はユーザーの自発的な同意を得なければならなくなる。「自発的な同意」とは,ユーザーがFacebookを利用する際に,Facebookが前記の方法でデータを収集・統合することにユーザーが同意することを条件とするものであってはならないことを意味する。ユーザーが同意しない場合であっても,Facebookは当該ユーザーを自社サービスから除外してはならず,また,様々なソースからのデータを収集し,統合することはしてはならない。」

2.Facebookはソーシャルネットワーク市場における支配的地位を有する。
 2018年12月時点で,Facebookは,一日あたりで15.2億人,ひと月あたり23.2億人のアクティブユーザーを有していた。同社はドイツ国内のソーシャルネットワーク市場において市場支配的地位を有しており,一日あたりで2300万人(市場シェアは95%),ひと月あたりで3200万人(市場シェアは80%以上)のアクティブユーザーを有している。他方で,競合事業者であるGoogle+は,最近,2019年4月までに自社のソーシャルネットワークを停止することを発表した。Snapchat,YouTube,Twitterなどのサービスや,LinkedInやXingなどのプロフェッショナルネットワークは,ソーシャルネットワークのサービスの一部しか提供していないため,関連市場には含まれない。仮にこれらのサービスが関連市場に含まれるとしても,子会社であるInstagram及びWhatsAppを含むFacebookグループは,依然として非常に高い市場シェアを獲得しており,独占化のプロセスを示している可能性が非常に高い。
 ムント長官は次のように述べている。「支配的な企業であるFacebookは競争法上の特別な義務を負っている。同社は,自社のビジネスモデルを運営するにあたっては,Facebookユーザーが実質的には他のソーシャルネットワークに切り替えることができないことを考慮しなければならない。Facebookの卓越した市場力(superior market power)を考慮すれば,同社の利用規約の同意欄への「義務的」なチェックを根拠として,前記のような集中的なデータ処理を行うことは適切ではない。ユーザーは,データの包括的な統合を受け入れるか,同社のソーシャルネットワークの利用を控えるかの選択肢しか有していないのである。このような困難な状況におけるユーザーの選択を,自発的な同意と称することはできない。」

3.ユーザーアカウント内のデータの収集,利用及び組み合わせの範囲に基づく市場力の濫用
 Facebookが,自発的な同意を得ることなく,ユーザーアカウント内のデータを収集し,統合し,利用する範囲は,市場支配的地位の濫用を構成する。
 今回の決定は,Facebook自身のウェブサイトを利用して生成されたデータの処理が競争法上どのように評価されるかということに関するものではない。これらのデータは特定のサービスに結び付けられるため,ユーザーは,これらデータが収集され利用されることは一定程度認識している。これは,ソーシャルネットワーク及びそのデータに基づいたビジネスモデルの重要な構成要素である。
 しかし,諸条件の中でも,ネットワークをプライベートに利用する際に,Facebookが第三者ソースからほぼ無制限の量のあらゆる種類のユーザーデータを収集することができ,それらをFacebookアカウントに結び付け,莫大なデータ処理プロセスに利用することができることが条件となっていることについては,多くのユーザーは認識していない。この第三者ソースには,InstagramやWhatsApp等のFacebookが所有するサービスだけではなく,「いいね」や「シェア」ボタンのようなインターフェースが埋め込まれた第三者ウェブサイトも含まれる。そのような目に見えるインターフェースがウェブサイトやアプリに埋め込まれている場合,これらウェブサイトが読み込まれたりこれらアプリがインストールされた時点で,既にFacebookへのデータフローが始まっている。例えば,「いいね」ボタンをスクロールしたり,クリックしたりする必要さえないのである。「いいね」ボタンが埋め込まれたウェブサイトを読み込むと,データフローが始まる。そのようなインターフェースは,ドイツのウェブサイトや,アプリケーション上に何百万と存在している。
 たとえウェブサイトのFacebookのマークが見えなくとも,多くのウェブサイトからFacebookに対してユーザーデータが送信される。これは,例えば,ウェブサイト運営者がユーザー分析を実行するために,バックグラウンドで「Facebook Analytics」サービスを利用している場合に発生する。
 ムント長官は次のように述べている。「自社のウェブサイト,自社所有のサービス及び第三者のサイトの分析から得たデータを統合することで,FacebookはFacebookユーザーの非常に詳細なプロファイルを取得し,彼らがオンラインで何をしているのかを知ることができる。」

4.搾取的濫用を審査するための基準としての欧州のデータ保護規則
 Facebookの利用規約及び同社のユーザーデータの収集の方法及び範囲は欧州のデータ保護規則に違反し,ユーザーに損害を与えている。ドイツ連邦カルテル庁は,関連するデータ保護に係る問題を明らかにするために,主要なデータ保護当局と密接に協力した。
 当局の評価によると,Facebookの行為は,とりわけ,いわゆる搾取的濫用(exploitative abuse)に当たる。支配的な企業は,市場の反対側(本件ではFacebookを利用している消費者)に損害を与える形での搾取的な慣行を用いてはならない。これは,当該搾取的慣行によって,埋蔵された宝物ともいえるような大量のデータを集めることができない競合他社を妨げる場合,とりわけ当てはまる。競争法に基づくこのようなアプローチは新しいものではなく,超価格設定(excessive price)のみならず, 不適切な契約条件も搾取的濫用を構成する, という連邦裁判所の判例に対応するものである(いわゆる搾取的な取引条件)。
 ムント長官は次のように述べている。「今日においてデータは競争における決定的な要素である。Facebookの事例においては,データは,同社が支配的地位を確立するための不可欠な要素となっている。無料でユーザーに提供されるサービスがある一方で,広告スペースの魅力及び価値はユーザーデータの量及び詳細さに応じて高まるものである。したがって,データ収集及びデータ利用の分野において,支配的企業であるFacebookは,ドイツ及び欧州で適用される規則と法律を遵守する必要がある。」
 連邦カルテル庁の決定はまだ最終的に確定したものではない。本決定についてFacebookは,1か月以内にデュッセルドルフ高等裁判所に上訴することができる。

 
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