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海外当局の動き

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米国

FTC、セブン・イレブンに対して、2018年の同意命令違反で7700万ドルの民事制裁金の支払を求め提訴

2023年12月4日 米国連邦取引委員会 公表

原文

【概要】
1 米国連邦取引委員会(以下「FTC」という。)は本日(2023年12月4日)、コンビニエンスストア・チェーンであるセブン・イレブンが、FTCに事前に通知することなく、フロリダ州のセントピーターズバーグに所在するガソリンスタンドを併設するコンビニエンスストア(以下「ガソリンスタンド併設コンビニ」という。)を買収したことにより、2018年のFTCの同意命令に違反したとして、セブン・イレブンを提訴した。
 
2 FTCの訴状には、セブン・イレブンの親会社である株式会社セブン&アイ・ホールディングスの名前も挙げられており、セブン・イレブンによるセントピーターズバーグの店舗の買収は、2018年の同意命令に明白に違反し、反競争的であり、これにより、セブン・イレブンがセントピーターズバーグの店舗の近隣地域でより高い燃料価格を課すことをおそらく可能にした。FTCは、セブン・イレブンが(同意命令上)必要とされている事前通知を行わずに同店舗を買収した時点から4年間の違反期間の民事制裁金を求めており、その額は最大7700万ドル以上となる。
 
3 上記同意命令は、セブン・イレブンが2018年にSunoco(以下「スノコ」という。)からガソリンスタンドを1,000店舗以上、併設されるコンビニエンスストアとともに33億ドルで買収した際に出されたものである。セブン・イレブン及びセブン&アイ・ホールディングスは、この買収により特定の地方市場におけるガソリン及びディーゼル燃料の小売市場における競争を阻害し、その結果、消費者がより高い燃料価格を支払うことになるというFTCの懸念を解消するための同意命令に同意した。この同意命令では、セブン・イレブンがセントピーターズバーグの店舗周辺を含む、多くの地方市場でスノコのガスリンスタンド併設のコンビニを買収することを禁止し、セブン・イレブンが特定の地方市場で特定の第三者のガスリンスタンド併設のコンビニの権益を取得する前にFTCに通知することを10年間義務付ける条項も盛り込まれた。
 
4 訴状によると、セブン・イレブンによるセントピーターズバーグの店舗の買収は、FTCへの事前通知なしに買収できない店舗として具体的に記載されていたため、2018年の同意命令に対する明白な違反となる。セブン・イレブンはこの買収に関連して虚偽のコンプライアンス報告書をFTCに提出した。FTCは、公共の利益を保護し、全米で燃料小売店を買収し続けているセブン・イレブンやその他の事業者が将来の同意命令に背くことを抑止するため、セブン・イレブンの同意命令違反に対して民事制裁金の支払を求めている。
 
5 FTCは3対0の賛成多数で議決し、民事制裁金を求めることを承認した。訴状はコロンビア特別区連邦地方裁判所に提出された。

FTC及びDOJ、2023年合併ガイドラインの成案を発表

2023年12月18日 米国連邦取引委員会 公表

原文(FTC公表文)

合併ガイドライン本体等

参考(DOJ公表文)

【概要】
 2023年12月18日、連邦取引委員会(以下「FTC」という。)及び司法省反トラスト局(以下「DOJ」という。)は、2023年合併ガイドライン成案(以下「合併ガイドライン」という。)を公表した。
 
1 公表文の概要
(1)2023年12月18日、FTC及びDOJは、共同で合併ガイドラインを公表した。合併ガイドラインは2年にわたる社会的な議論の集大成であり、現代における市場の現実、経済や法の進展、多様な当事者の生きた経験を反映したものである。
 
(2)FTCのリナ・カーン委員長は、「公正で開かれた競争的な市場は米国のダイナミックで繁栄的な経済にとって必要不可欠であり、違法な合併を取り締まることは、有害な合併に対する我々の防衛の最前線である。合併ガイドラインは、現代経済における企業のビジネスの在り方の新しい現実を反映するとともに、制定法と判例に沿ったものとなっている。米国労働者、消費者、起業家、農家、企業経営者、その他一般市民から提出された何千もの意見に感謝している。これらの意見はガイドラインに直接反映されるとともに、我々が現実の利害関係をより良く理解しながらこの仕事を進めることを可能にした。」と述べた。
 
(3)メリック・ガーランド司法長官は、「合併ガイドラインは、DOJが現代経済において、違法な反競争的慣行の顕在化から米国民を守る方法について透明性を提供するものである。合併ガイドラインを2023年の夏に公表して以来、我々は全米の利害関係者と連携し、その結果として、合併ガイドラインをより強固なものとした。DOJは引き続き、競争を保護し、全ての米国民を守るために強力に法律を執行していく。」と述べた。
 
(4)ジョナサン・カンター司法省反トラスト局長は、「本日公表する合併ガイドラインは、法律に忠実であり、現代の市場において競争がどのように行われているかを反映するものである。合併に対する執行が競争の保護を確実にすることは、我々の北極星である。競争的な市場と全ての米国民のための経済的機会は密接な関係にある。     
 我々は合併ガイドラインをまとめるにあたり、全米の作家、看護師、農家、その他関係する市民から意見を聞くことができたことに感謝している。彼らの意見は非常に貴重であり、その結果、我々の執行はより良いものになるだろう。」と述べた。
 
(5)本日発表された合併ガイドラインは、2023年7月19日に公表された合併ガイドライン案を修正したものであり、FTC及びDOJが3回開催したワークショップにおける弁護士、エコノミスト、学者、執行当局、その他政策立案者など広範な参加者を含む、多くの意見に対応したものである。合併ガイドラインは、価格競争から雇用条件競争、プラットフォーム競争に至るまで、ダイナミックで複雑な競争の性質を重視している。これにより、競争当局が決定を下す際に、米国現代経済における実態を評価することができ、合併の執行があらゆる形態の競争を確実に保護することができる。
 
(6)競争当局は反トラスト法やその他の競争関連の連邦法の執行を通じて競争を保護している。1968年以来、競争当局は執行の透明性を高め、認識を促すために合併ガイドラインを公表してきた。これまでも、1982年、1984年、1992年、1997年、2010年、2020年など、法律や市場の現実の変化を反映させるために、合併ガイドラインを定期的に改正してきた。
 
(7)今回の合併ガイドライン改正手続は2022年1月から開始された。FTC及びDOJは2010年の水平合併ガイドライン及び2020年の垂直合併ガイドラインの改正の可能性を評価するイニシアティブを公表するとともに、合併の執行の近代化に関する意見募集を行うことを公表したところ、FTC及びDOJに5,000件以上の意見が寄せられた。意見では、業界を超えた過度な市場集中が強調され、合併への執行を強化するように求めるものが圧倒的であった。また、4回にわたる公聴会では、企業経営者、労働者、弁護士らが、食品から農業、ヘルスケアに至るまで、合併・買収が、開かれて活気に満ちた競争のある市場を弱体化させる可能性について強調した。
 
(8)様々な方面からの意見、競争当局の経験及び専門知識、そして市場、法律及び経済学の進展に基づき、FTC及びDOJは、2023年7月に合併ガイドライン案を共同で公表したところ、30,000件を超える意見が、消費者、労働者、学者、団体、弁護士、執行当局、その他様々な分野の米国経済に関連する人々から寄せられた。また、FTC及びDOJはワークショップを3回開催し、合併ガイドライン案について議論を行い、これらから得られた意見も本日の合併ガイドラインの発表に至るまでの検討の過程で反映された。
 
(9)合併ガイドラインは、以前の水平・垂直合併ガイドラインと同様に、それ自体に法的拘束力はないが、競争当局の意思決定プロセスの透明性を向上させるものである。
 
(10)合併ガイドラインは、FTC及びDOJによる執行措置を事前に決定するものではない。合併ガイドラインは、合併審査を行う際に、競争当局が考慮する事項や枠組みを示すものだが、執行の決定を行う際にはいずれのケースであっても事実に左右され、引き続き当局の裁量及び判断が必要となる。
 
2 合併ガイドラインの概要(合併ガイドラインの「1. Overview」に基づく)
 合併ガイドラインでは、合併審査における11の原則を示しているところ、それらの概要は以下のとおり。
 
原則①:合併が高度に集中的な市場における集中を著しく増大させる場合、合併が違法性の推定を惹起
 市場集中度は合併が競争に影響を及ぼす可能性について、しばしば有用な指標となる。したがって、FTC及びDOJは、十分な反証や反論がない限り、競争者間の合併が著しく集中度を高め、高度に集中した市場を形成又は更に統合する場合、競争を実質的に減退させる可能性があると推定する。
 
原則②:合併が事業者間の実質的な競争を排除する場合、合併が法律に違反する可能性
 合併は合併当事者間の競争を必然的に排除することになるため、合併当事者間の競争が実質的なものであるかどうかを審査する。
 
原則③:合併が協調のリスクを増大させる場合、合併が法律に違反する可能性
 FTC及びDOJは、合併が反競争的な協調のリスクを増大させるかどうかを審査する。高度に集中的な市場や、過去に反競争的な協調が行われたことのある市場は、本質的に脆弱であり、反証の提示次第であるものの、合併が競争を実質的に減退させる可能性があることが前提として推測される。高度に集中的ではない市場では、FTC及びDOJは、市場構造だけからよりも、事実が協調のリスクを示唆するかを審査する。
 
原則④:合併が集中的な市場における潜在的な参入者を排除する場合、合併が法律に違反する可能性
 FTC及びDOJは、集中的な市場において合併が(a)潜在的な参入者を排除するか、又は(b)潜在的な参入者とみなされる者からの現在の競争圧力を排除するかを審査する。
 
原則⑤:合併が競合事業者が競争のために用いる製品やサービスへのアクセスを制限する可能性がある場合、法律に違反する可能性
 合併により、競合事業者が競争のために用いる製品やサービスへのアクセスを制限する可能性のある企業が生じる場合、FTC及びDOJは、当事会社が競合事業者のアクセスを制限したり、競争上機微な情報への当事会社によるアクセスを増加させたり、競合事業者が市場に投資することを抑止したりするリスクがどの程度生じるかを審査する。
 
原則⑥:合併が支配的地位を強化又は拡大させる場合、合併が法律に違反する可能性
 FTC及びDOJは、合併当事者の一方が既に支配的地位を有しているかを審査し、合併が支配的地位を強化するか、それによって独占を生み出す傾向にあるかどうかを審査する。また、合併がその市場支配的地位を拡大し、競争を実質的に減退させるか、又は他の市場で独占を生み出す傾向があるかどうかも審査する。
 
原則⑦:ある産業が統合傾向にある場合、合併が競争を実質的に減退させ又は独占を生み出す傾向にあるリスクが増加するかを検討
 統合傾向は、合併がもたらす競争に対するリスクを理解する上で重要な要素となり得る。FTC及びDOJは、原則①~⑥の枠組みを適用する際に、この証拠を慎重に検討する。
 
原則⑧:合併が一連の複数の買収の一部である場合、FTC及びDOJは一連の合併を審査
 個々の合併が、事業者による複数の買収の一部である場合において原則①~⑥の枠組みを適用する際に、FTC及びDOJは、一連の買収の累積的効果(cumulative effect)を考慮する。
 
原則⑨:合併が多面的プラットフォームに関連する場合、FTC及びDOJはプラットフォーム間、プラットフォーム上又はプラットフォームを代替するための競争を審査
 多面的プラットフォームには、競争を悪化させたり加速させたりする特徴がある。FTC及びDOJは、原則①~⑥の枠組みを適用する際に、多面的プラットフォームの特徴的な性質を考慮する。
 
原則⑩:合併が競合する買い手を含む場合、FTC及びDOJは、労働者、クリエーター、供給者又は他の提供者の競争を実質的に減退させる可能性があるかを審査
 FTC及びDOJは、原則①~⑥の枠組みを適用し、使用者を含む買い手間の合併が競争を実質的に減退させるか、独占を生み出す傾向があるかどうかを評価する。
 
原則⑪:買収が部分的所有権や少数株主持ち分を含む場合、それらの競争への影響を審査
 FTC及びDOJは、原則①~⑥の枠組みを適用し、部分的所有権や共有持ち分の取得が競争を実質的に減退させる可能性があるかどうかを評価する。

EU

欧州委員会、アドビによるフィグマの買収計画に対し異議告知書を送付

2023年11月17日 欧州委員会 公表

原文

【概要】
 欧州委員会(以下「欧州委」という。)は、アドビに対し、同社が計画しているフィグマの買収は、双方向性のある製品設計ツール及びその他の創造的な設計ソフトウェアツールのグローバルな供給市場における競争を制限する可能性があるとの予備的見解を示した異議告知書(Statement of Objections)を送付した。
 アドビは、創造的な設計ソフトウェアツール(イラストレーター、フォトショップ等)、双方向性のある製品設計ツール(アドビXD)等を提供する世界的なソフトウェア企業である。フィグマは、双方向性のある製品設計のためのウェブ上のコラボレーションツール(フィグマデザイン)やホワイトボードツール(訳注:オンライン会議用のホワイトボード)を提供している。
 双方向性のある製品設計ソフトウェアツールは、主にウェブサイト、モバイルアプリケーション、その他のデジタル製品を設計するために使用される。創造的な設計ソフトウェアを使えば、ユーザーは写真(いわゆる「ラスター画像」)、グラフィック・イラスト(いわゆる「ベクター画像」)、動画などのデジタルコンテンツを作成又は編集することができる。
 
1 異議告知書の概要
 2023年8月7日、欧州委は、アドビによるフィグマの買収が、双方向性のある製品設計ツール、ベクター編集ソフトウェア、ラスター編集ソフトウェアの供給市場における競争に影響を及ぼすかどうかを評価するため、詳細審査を開始した。
 この詳細審査の結果、欧州委は、本件買収計画が、以下のとおり、(1)双方向性のある製品設計ツールの供給分野並びに、(2)ベクター編集ツールの供給及びラスター編集ツールの供給における各世界市場において競争を著しく制限する可能性があるとの予備的な結論に達した。
 
(1) フィグマは、双方向性のある製品設計ツールの供給分野において、首位の事業者であることは疑義がなく、アドビは同社の最大の競合相手である。本件買収の実行は、両者の市場における地位を一体化させることを通じて、独占的な事業者を創出する。さらに、アドビ独自の双方向性のある製品設計ツールであるアドビXD及びその後継品の製造が中止されるため、いわゆる「逆キラー買収」となる。
 
(2) アドビは、ベクター編集ツール及びラスター編集ツールの供給分野において、潜在的な競争相手であるフィグマを排除することにより、これらの分野における自社の市場支配力を強化することとなる。フィグマは、アドビのベクター編集ツールであるイラストレーターや、ラスター編集ツールであるフォトショップに対して、既に大きな競争圧力をもたらしている。さらに、本件買収が実行されなければ、フィグマは上記分野に参入し、効果的な競争力を持つ企業に成長する可能性がかなり高い。
 
 欧州委は、本件買収の潜在的な影響を把握するため、広範な審査を実施してきた。この審査には、当事会社から提供された内部文書の分析、競合するソフトウェアプロバイダー及び顧客からの情報及び見解の収集等が含まれる。
 
 欧州委は、初期審査及び詳細審査のいずれにおいても、他の競争当局と緊密に協力しており、詳細審査の残りの期間中もこのような協力を継続する予定である。
 
2 当事会社及びその製品
 アドビは米国の世界的ソフトウェア企業であり、フォトショップ、イラストレーター、プレミアム・プロ、XDといったデジタルコンテンツの作成及び配信が可能な製品を提供している。アドビは、世界各国及び欧州経済領域(EEA)において大規模な事業を展開している。アドビは、多くのツールを単独で提供する他、いわゆるクリエイティブ・クラウド・バンドルといったセット販売でも提供している。
 
 フィグマは、フィグマ・デザイン(コラボレーション設計ソフトウェア)やフィグ・ジャム(ホワイトボードツール)といった双方向性のある製品設計ツールを提供する、世界的な米国のソフトウェア企業である。
 
3 背景
 異議告知書は、欧州委が当事会社に対して提起する異議の内容を書面で通知するもので、審査における正式な手続である。
 異議告知書の送付は、審査の結果を予断するものではない。アドビは現在、欧州委の異議告知書に回答し、口頭審理を要求する機会を与えられている。
 本件買収は、企業結合規則第22条に基づき、16か国から欧州委に移送された後、2023年6月30日に欧州委に届出がなされた。欧州委は2023年8月7日に詳細審査を開始し、2024年2月5日までに最終決定を下す。

欧州委員会、アマゾンによるアイロボットの買収計画に対し異議告知書を送付

2023年11月27日 欧州委員会 公表

原文

【概要】
 欧州委員会(以下「欧州委」という。)は、アマゾンに対し、同社が提案しているアイロボットの買収は、ロボット掃除機市場における競争を制限する可能性があるとの予備的見解を示した異議告知書(Statement of Objections)を送付した。
 
1 当事会社
 アマゾンは、小売業者が商品(ロボット掃除機を含む)を広告し、ユーザーに販売できるオンラインマーケットプレイス(アマゾンストア)を提供している。アマゾンは、アマゾンストアで様々な製品(ロボット掃除機を含む)の小売業者として活動している。アイロボットは、ロボット掃除機を製造・販売し、アマゾンのオンラインマーケットプレイスにおいても販売している。
 
2 異議告知書の概要
 2023年7月6日、欧州委は、アマゾンによるアイロボットの買収が、(i)ロボット掃除機の製造・供給市場における競争を制限する可能性があるかどうか、(ii)サードパーティー販売者に対するオンラインマーケットプレイスのサービス市場(関連広告サービスを含む)及びその他のデータ関連市場におけるアマゾンの地位を強化することになるかを評価するため、詳細審査を開始した。
 この詳細審査の結果、欧州委は、アマゾンが、競合するロボット掃除機メーカーの効果的な競争力を阻害することにより、欧州経済領域(EEA)又は各国のロボット掃除機市場において、競争を制限する可能性があることを懸念している。特に以下の点を指摘している。
 
(1) アマゾンは、競合事業者がアマゾンのオンラインマーケットプレイスにおいてロボット掃除機を販売することを阻害したり、競合事業者のアクセスを低下させたりすることを目的として、以下のような閉鎖戦略を行うことにより、アイロボットの競合事業者を排除する能力及び動機を有している可能性がある。
(ア) 競合事業者の掃除機を検索結果のリストから除外すること。  
(イ) アマゾンのオンラインマーケットプレイスにおける無料検索結果(オーガニック検索)及び有料検索結果(広告付き検索)の両方において、競合事業者のロボット掃除機を目立たなくすること。
(ウ)特定のウィジェット(「こちらもおすすめ」に表示される他の製品リストなど)又は特定の商業的に魅力的な製品ラベル(「Amazon's choice」や「Works With Alexa」など)へのアクセスを制限すること。
(エ)アイロボットの競合事業者がアマゾンのオンラインマーケットプレイスでロボット掃除機を宣伝及び販売するコストを直接的又は間接的に引き上げること。
 
 アマゾンのオンラインマーケットプレイスはフランス、ドイツ、イタリア及びスペインでロボット掃除機を販売するために特に重要なプラットフォームであるため、アマゾンは同プラットフォームからアイロボットの競合事業者を閉め出す能力を持つ可能性がある。これらの国のロボット掃除機のユーザーは、製品を発見することにおいても、最終的な購入決定においても、アマゾンに強く依存している。
 
(2) アマゾンは、経済合理性の観点から、アイロボットの競合事業者を排除するインセンティブを持つ可能性がある。本件買収が実行された場合、当事会社にとっては、アイロボットの競合事業者やその関連商品のアマゾンストアでの販売が減少した場合に失う利益よりも、アイロボットのロボット掃除機を追加で売り上げることから得る利益の方が多いと考えられる。このような利益には、アイロボットのユーザーから収集した情報から得られる利益も含まれる。
 
(3) このような排除戦略が実施されると、ロボット掃除機市場における競争を制限し、価格の上昇、品質の低下及び消費者に利益をもたらすイノベーションの低下を招くおそれがある。
 
 欧州委は、本市場と本件買収による潜在的な影響を理解するため、両当事会社から提供された内部文書の分析、ロボット掃除機その他のスマートホーム機器のサプライヤー、オンライン販売チャネルのプロバイダーなどの市場参加者からの意見募集などを含む広範な審査を実施した。
 欧州委は、初期審査及び詳細審査のいずれにおいても、他の競争当局と緊密に協力しており、詳細審査の残りの期間中もこのような協力を継続する予定である。
 
3 今後の手続
 アマゾンは現在、欧州委の異議告知書に回答し、欧州委の事件資料を参照し、口頭審理を要求する機会を与えられている。本件買収計画は2023年6月1日に欧州委に届出書が提出され、欧州委は2023年7月6日に詳細審査を開始しており、2024年2月14日までに最終決定を下す。

オーストラリア

ACCC、デジタル・プラットフォームに対する新たな規制案について、オーストラリア政府の基本合意を歓迎

2023年12月8日 オーストラリア競争・消費者委員会 公表

原文

【概要】
 オーストラリア競争・消費者委員会(以下「ACCC」という。)は、ACCCがデジタル・プラットフォームによる悪影響の対処に向けた新たな競争・消費者法の提言について、オーストラリア政府が基本合意に達したことを歓迎している。
 
 ACCCは、2022年9月に公表したデジタル・プラットフォームサービス調査報告書の中で、反競争的行為を防止するために、特定のデジタル・プラットフォームに対する義務的な行動規範を求める提言を行った。
 
 同報告書で指摘された反競争的行為には、プラットフォームが検索結果やアプリストア内で自社サービスを優遇する自己優遇、開発者が最大30%の手数料を徴収するアプリストアのアプリ内決済システムを強制的に利用させられるなどの抱き合わせなどが含まれる。
 
 また、同報告書は、プラットフォームに依存して顧客を獲得している中小企業に対する不公正で恣意的な取引事例についても指摘している。
 
 カトリオナ・ロウACCC委員長代理は、次のように述べた。
「グーグル、アップル、メタ、マイクロソフト、アマゾンのような事業者は、ほとんどのオーストラリア国民が毎日利用するサービスを提供している。これらのデジタル・プラットフォームは、しばしばオーストラリアの事業者と消費者の間の避けられない「ゲートキーパー」であり、経済全体に多大な影響を与えている。
 提案されている改革は、中小企業に対してより公正で透明性の高い取引を保証し、オーストラリア国民がデジタル経済に参加することによる恩恵を十分に享受できるようにする。
 この改革は、デジタル市場における競争を促進することで、消費者により多くの選択肢、より質の高いサービス、より公正な取引条件を提供することになる。」
 
 また、政府は、詐欺、有害アプリ及び虚偽レビューによる消費者被害に対処することについても原則合意した。本合意には、デジタル・プラットフォームが2024年7月までに自主的な内部紛争解決基準を策定するよう要請することや、プラットフォームに対する内部及び外部の紛争解決要件を策定するためのさらなる作業が含まれる。
 
 また、政府は11月下旬、詐欺に対処するため、デジタル通信プラットフォームを含む業界に、義務的な業界規範を導入することを約束した。
 
 本日(2023年12月8日)の発表は、競争及び消費者に損害を与える大手デジタル・プラットフォームによる行為に対処するための、世界各国の政府及び規制当局の行動とも整合するものである。
 
 ロウACCC委員長代理は、次のように述べた。
「英国、ドイツ、日本及びEUは既に、デジタル・プラットフォームに対する重要な競争・消費者規制を新たに発表又は実施している。プラットフォームが特定の法域で実施された法制の変更を他の法域にも拡大したことはほとんどなかったため、オーストラリア政府は、消費者や中小企業が取り残されないよう、これらの改革を迅速に実施することが重要である。」
 
【規制改革に関する提言】
 本日、政府が基本合意した提言は、ACCCのデジタル・プラットフォームサービスに関する調査の第5回報告書に記載されたものである。同報告書では、オーストラリアの消費者、中小企業及び競争に対する悪影響に対処するための様々な提言がなされた。
 提言には、法定要件に基づき指定される「指定デジタル・プラットフォーム」に対して、サービスごとに義務付けられた新たな行動規範を課す内容が含まれている。
 この新たな規制枠組みは、オーストラリアの既存の競争法と並行して機能するもので、定められる各規範は、各デジタルサービスに最も関連する種類の反競争的行為に対処するための的を絞った義務を導入するものである。
 また、ACCCは、詐欺、有害アプリ及び虚偽レビューに対処するため、全てのデジタル・プラットフォームに対する新たな義務を提案した。
 
 第5回報告書の中で、ACCCは、不公正な契約条件及び不公正な取引方法の改正を含む、オーストラリア消費者法の改正を経済全般に影響を与えるものとして改めて支持した。不公正な契約条件の改正は2023年11月初めに施行されている。また、不公正な取引方法の改正に関しては、財務省が最近意見募集手続を終了したところである。
 
【背景】
 ACCCのデジタル・プラットフォーム担当部署は、2020年の財務大臣からの指示に従い、オーストラリアにおけるデジタル・プラットフォームサービスの供給市場並びにデジタル・プラットフォームサービスの競争及び消費者への影響について、5年間にわたる調査を実施している。
 ACCCは、様々な種類のデジタル・プラットフォームサービスを調査し、6か月ごとに政府に報告している。
 2024年3月に政府に提出される予定の第8回報告書では、データブローカーについて検討する。

韓国

KFTC、企業結合審査基準の改正案に対する意見募集を開始

2023年11月14日 韓国公正取引委員会 公表

原文(韓国語)

【概要】
 韓国公正取引委員会(以下「KFTC」という。)は、現代のデジタル経済の各種特性がよく反映されるよう企業結合の審査方式を現代化する内容の「企業結合審査基準」(以下、「審査基準」という。)の改正案を取りまとめ、2023年11月15日から同年12月5日まで意見募集を行う。改正案は、市場における競争を効果的に保護し、デジタル経済特有のイノベーションを更に促進するため、デジタル分野の企業結合の競争制限効果と効率性の増大効果がバランスよく審査されるように作成された。
 
 デジタルサービスを提供する事業者らは、これまでの事業者らとは異なる特性を持っている。あるサービスは無料で提供されることがあり、既に多くの利用者が特定のサービスを利用しているということ自体が当該サービスへの需要を喚起する要因となる「ネットワーク効果」も主な特徴である。これらの特徴は、KFTCの企業結合審査実務において既に考慮されてきたが、審査基準には反映されておらず、事業者の予測可能性が高くない面があった。
  今回の改正案は、このような問題を解消するためのものであり、KFTCは、改正案の整備過程において、これまでの国内外の法執行の傾向、学術的な議論だけでなく、デジタル経済における企業結合の主な主体であるオンラインプラットフォーム事業者やスタートアップら、そして関係省庁等の意見を幅広く聴き、その意見も忠実に反映した。
 
1 市場画定   
 企業結合審査の第一段階は、当事会社の競合事業者を識別し、結合の効果が及ぶ市場の範囲を特定する「市場画定」である。現行の審査基準によれば、Aサービスの価格引上げ時にBサービスに需要代替が行われる場合、AとBは競合事業者として、同じ市場にあると画定される。
 しかしながら、消費者に無料でサービスを提供する代わりに広告を見させるタイプのデジタルサービスプロバイダらには、このような方法論の適用が困難になる。改正案は、このような場合、価格の上昇ではなく、サービス品質の悪化等による需要代替の確認など他の方法を用いて市場を画定できるようにした。
 また、当事会社がAサービスの利用者とBサービスの利用者間の取引を仲介するサービスを提供する事業者である場合、Aサービスの利用者の数がBサービスの利用者のサービス需要にプラスの影響を与える場合などには、サービス別に別個の市場を画定するのではなく、一つの「多面市場」を画定できるようにした。
 さらに、イノベーション活動(研究開発等)が活発な事業者間の企業結合の場合、これらが価格競争ではなくイノベーション競争をしていることを考慮し、「イノベーション市場」を別途、画定することができる。
 
2 競争制限性のおそれの評価方法の整備
 改正案は、競争制限効果を分析する際にネットワーク効果を考慮しなければならないことも明確にした。デジタルサービスプロバイダの企業結合は、当該サービスの利用者数や当該事業者が保有するデータ量の増加につながる可能性がある。このような場合、当該サービスに係る追加需要が喚起され(ネットワーク効果)、当事会社の市場における支配力が更に大きくなることがあり、その効果が相当程度ある場合、当事会社が単独で価格を引き上げる可能性も生じることになる。改正案は、競争制限のおそれを評価する際に、この側面も考慮できるようにした。
 また、無料サービスの提供事業者間の結合が行われる場合は、価格引上げのおそれよりもサービス品質の低下等の非価格面での弊害のおそれを中心に、競争制限性を評価できるようにした。
 さらに、需要が多いA商品とそうでないB商品の混合型結合の場合、当事会社は抱き合わせ戦略を駆使し、B商品の競争事業者を排除したり、B商品市場への新規参入を困難にさせたりする可能性がある。改正案は、この可能性を企業結合審査の際に考慮する必要があることを明示した。
 
3 効率性を増大する効果の補完
 改正案は、競争制限のおそれだけでなく、デジタル分野特有の効率性を増大する効果の事例も補強し、企業結合のプラスの効果もバランスよく審査できるようにした。企業結合の結果、革新的なサービスが創出されたり、スタートアップらが買収されることにより、投下資本が回収されて、新規のスタートアップの創業がなされたりする等の効果が企業結合の審査時に考慮されるようにした。
 
4 簡易審査の対象の整備
 改正案は、簡易審査の対象を整備した。現行の審査基準は、市場に及ぼす影響が微々たるものである企業結合は、関連する事実関係の真偽のみを確認する形で「簡易審査」を行うようにしつつ、その対象を列挙している。
 改正案は、オンラインプラットフォームが自己のサービスと補完関係等に無いサービスを供給する他業種の事業者を買収する場合であって、買収される事業者が、月平均500万人以上に商品やサービスを供給し又は、年間の研究開発費として300億ウォン以上を支出する場合には、一般審査がなされるようにした。これは、我が国の人口の約10%に相当する顧客を有していたり、相当な規模の研究開発を通じてイノベーティブなサービスを創出する可能性が高い事業者が、多くの利用者を既に確保しているオンラインプラットフォームによって買収されたりする場合、その経済的影響が微々たるものであるとは認められないという点を考慮した結果である。
 
※ ただし、企業結合審査は、届出がなされた企業結合を対象として行われるため、上記のように一般審査を受けるには、被買収企業が企業結合届出要件(売上額又は資産総額が300億ウォン以上)も満たさなければならない。
 
 上記のとおり審査基準が改正される場合、デジタル分野における企業結合を通じた人為的な独占力の創出及び強化がより効果的に防止され、イノベーティブなベンチャー・中小企業及び消費者厚生がよりよく保護され得るものと期待される。また、企業結合を実施しようとする事業者らの審査に係る予測可能性も高まるものと期待される。KFTCは、今後、改正される審査基準に基づき、デジタル分野の企業結合をスピード感をもって審査し、企業結合を通じたイノベーションの創出を積極的に支援していく。
 
 KFTCは、意見募集期間中に利害関係者の意見が十分に収れんした後、KFTCの委員全員が出席して開催される全員会議の議決等の関連手続を経て、改正案を迅速に確定・施行する予定である。

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